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人間と自然の共生について皆で考え未来に繋げていきたい…『唄う六人の女』豪華登壇者を迎え舞台挨拶開催!

2023年10月29日

事故をきっかけに深い森の中で六人の女性たちに囚われた、正反対の二人の男性を描く『唄う六人の女』が全国の劇場中。10月29日には、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマに竹野内豊さん、山田孝之さん、桃果さん、武田玲奈さん、石橋義正監督を舞台挨拶が開催された。

 

映画『唄う六人の女』は、竹野内豊さんと山田孝之さんがダブル主演を務め、美しく奇妙な六人の女に監禁された二人の男の運命を描いたサスペンススリラー。父の訃報を受けて帰郷した萱島と、萱島の父が所有していた土地を譲り受ける予定の宇和島は、車で山道を走る途中で事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、二人は謎めいた六人の女たちによって森の奥深くの屋敷に監禁されていた。竹野内さんが萱島、山田さんが宇和島を演じ、二人を監禁する六人の女には、クールな雰囲気の“刺す女”役に水川あさみさん、妖艶な“濡れる女”役にアオイヤマダさん、神秘的な雰囲気の“撒き散らす女”役に服部樹咲さん、好戦的な“牙を剥く女”役に萩原みのりさん、純粋な雰囲気を持つ“見つめる女”役に桃果さん、優しい雰囲気の“包み込む女”役に武田玲奈さんを起用。『ミロクローゼ』「オー!マイキー」シリーズの石橋義正監督がメガホンをとった。

 

今回、竹野内豊さん、山田孝之さん、桃果さん、武田玲奈さん、石橋義正監督が登壇。京都や奈良がロケ地となった本作の魅力が伝わってくる和やかな舞台挨拶が繰り広げられた。

 

竹野内豊さんと山田孝之さんの共演が久しぶりとなった本作。竹野内さんは、山田さんについて「10数年前に戦争映画で共演しました。その時から異質な空気感がありました。彼が内に秘めているものが同世代の役者さんとは違うなぁ」と現場で感じ「当時の役柄も今回の役柄も、プライベートで仲良く話すような関係ではない。撮影中はほとんど話をすることもない。でも、本当に素晴らしい役者さんだなぁ」と讃えた。これを受け山田さんは喜びながら、竹野内さんについて「多くを語る方ではないので雑談することもないのですが、異質な程に穏やかで大らかな方なので、近くで見ているだけで勝手に和みます。いつも遠目で見ています」と呼応していく。

 

 

この2人のキャスティングについて、石橋監督は「萱島と宇和島という役柄をピッタリに演じて下さる、と信じてしました。その通り以上の素晴らしいパフォーマンスを見せて頂けた。この2人でないと成立しない」と受けとめている。なお、竹野内さんは、以前に別作品で関わったスタッフから前作の『ミロクローゼ』をお薦めされて観たことがあり「独創的な世界観でおもしろかった」と楽しみながらも「こういう作品の監督とは自分は縁がないんだろうな」と捉えていた。だが、数年後にオファーを頂くことになり「新たな自分が発見できるかな」とワクワクすると共に光栄に感じている。『ミロクローゼ』には殺陣やダンス等の様々なアクションが含まれており、山田さんは「監督はダンスが無茶苦茶上手いんですよ。ダンスのレッスンを何度もしたんです。役では10cmぐらいのヒールを履くので凄く難しくて…。その時に監督が実際に見せてくれたら無茶苦茶上手くて綺麗でしたよね」と振り返り、石橋監督は「(ダンスの経験は)全くないんですが、踊るのは好きです」と飄々と話す。

 

 

宇和島と萱島が遭遇する六人の女について、桃果さんは、演じた”見つめる女”に関して「女の中で一番純粋で無垢な少女の役。演じている時も、純粋でいよう、という気持ちを保っていた。宇和島から悪いことされた時は『この人は自分に興味があるのかな』という純粋な気持ちを保って演じていました」と振り返る。武田さんは2つの役を演じており「場所や衣装が全く違う。女達の衣装は役に合わせてデザインされたので、裏地等の細部にも拘っている。衣装等から様々な力をもらえたので、自然と切り替えが上手く出来ました」と話す。

 

 

作品に込められたテーマについて、石橋監督は「自然との共生が基本的なテーマになっています。人間が欲望や自分達の都合を以って様々な人生を歩んでいるのを否定するのではなく、人間らしさを持ちながら自然と共生していけるのか、をテーマにしています。この映画を観て頂いて一緒に考えていって未来に繋げていけたらいいな」と自身の思いと合わせて伝えていく。森の中でのシーンは、京都府南丹市美山町にある芦生の森で撮影されたが「京都大学が管理する原生林なので、簡単に立ち入ることが出来ない。管理されており、希少生物が沢山いるので、撮影は難しいだろうなぁ」と当初は予想していた。ガイドの方と初めて芦生の森に入った時に「美しさを体で感じた。この感動をなんとか映画に表せられないかな。ここで撮ることに意味があるんじゃないか。スタッフ・キャストと一緒に入って、自分達で感じたものを体現してもらえることが映画の大事なことかな」と考え、厳しい条件があった中で、撮影許可を頂けることに。

 

 

本作の注目ポイントについて、竹野内さんは「この映画を観た時、映画を観ることに関する固定概念を一切無しにして、心の3D眼鏡をかけているような感覚で、心の目で捉えて頂きたい」と提案。これを受け、石橋監督さんは「映画を観る、というより、体験して頂きたい。大きな劇場のサウンドで体感することを理想の状態として編集しています」と喜んで話す。山田さんは「”六人の女”の皆さんには台詞というものがない。それぞれが何かしらを表現している。最後のエンドロールまで観てもらえれば分かる」と添えて「台詞がない中で表現することは難しいこと。それよりもっと難しいのが…水川あさみさんが凄く五月蠅くて…今回は台詞がないので溜まっていたのか、空き時間でべらぼうに喋るんです。それを聞きながら集中してやった俺は芝居がよく出来たな」と笑わせながら感慨深げに話す。武田さんは「衣装や小道具も細部まで拘っていた。萱島さんが子供の頃に好きだったものが部屋の中にあった。撮影中は思わず観てしまう小物が多かったので、細部までも観て頂けたら嬉しい」とアピール。桃果さんは「宇和島の悪いところと萱島の優しい部分があります。宇和島に怖いことを沢山された中で萱島さんとのシーンで救われた部分もあったので、悪と優しさも人間の中身であり、人間が持っているものだと思うので、映画の中で表現しています。観終わった後は人それぞれに捉え方が違うと思うので、語り合って楽しんでもらえたらいいな」と提案していく。

 

 

最後に、竹野内さんは「感覚的に捉え方が難しい描写もあるかもしれないんです。コロナ禍以降、自分の人生観や生きている意味と向き合う中で様々に考えたと思います。石橋監督が映画に込めたメッセージ、私達の意識の奥深くに大切なメッセージを込めているので、心で感じて頂けたら」とメッセージ。山田さんは「何故このタイミングで、この人達が集まって、この映画が出来たのか、言葉では説明できないんですけど、きっと意味があるものだと思っています。そういったものを感じてもらえると思います。映像や音楽は美しく、単純に芸術作品としても楽しめます。あとは、山田孝之の芝居が凄い上手い。山田孝之は絶対にこんな人じゃないのによくこんなことが出来るな、ということでも良いのかもしれません。それでは、その一部始終を御賞味頂くということでお楽しみ下さいませ」と自画自賛で笑わせていく。石橋監督は「キャストの皆さんが素晴らしいパフォーマンスを見せて下さいました。それは、皆さんがこの映画に対する愛情を持って携わってくれたおかげだと思っています。まずは、それを楽しんで頂けたら」と思いを込めると共に、芦生の森に携わる先生からのメッセージがあったことを伝え「森はCG加工を一切していない。そのままを映し出しています。この映画を通して、どのようにして人間と自然が共生していくか皆で一緒に考えていきたい。それを未来に繋げていきたい、と思ってこの映画を作りました。観て頂いて心に引っかかるところがあれば、是非多くの人に伝えて頂いてこの映画が長く子心に届くことになればいいな。そして、議論のきっかけになれば良いな」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『唄う六人の女』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や烏丸の京都シネマ、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸のOSシネマズ神戸ハーバーランド等で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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