映画監督デビューという長年の夢を奪われてしまった女性が理不尽な世界に反撃する『愛にイナズマ』がいよいよ劇場公開！
©2023「愛にイナズマ」製作委員会
映画監督デビューを控えた女性が、立ち寄ったバーで運命的な出会いを果たし成功を掴もうとする『愛にイナズマ』が１０月２７日（金）より全国の劇場で公開される。
映画『愛にイナズマ』…
２６歳の折村花子は幼少時からの夢だった映画監督デビューを目前に控え、気合いに満ちていた。そんなある日、彼女は魅力的だが空気を読めない男性・舘正夫と運命的な出会いを果たす。ようやく人生が輝き始めたかに思えた矢先、花子は卑劣なプロデューサーにだまされ、全てを失ってしまう。失意の底に突き落とされた花子を励ます正夫に、彼女は泣き寝入りせずに闘うことを宣言。花子は１０年以上音信不通だった“どうしようもない家族”のもとを訪れ、父や２人の兄たちの力を借りて、大切な夢を取り戻すべく反撃を開始する。
本作では、松岡茉優さんと窪田正孝さんが主演を務め、『舟を編む』『茜色に焼かれる』の石井裕也監督がオリジナル脚本で描いたコメディドラマ。花子の父である治を佐藤浩市さん、長兄の誠一を池松壮亮さん、次兄の雄二を若葉竜也さんが演じる。
©2023「愛にイナズマ」製作委員会
映画『愛にイナズマ』は、１０月２７日（金）より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のＭＯＶＩＸ京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
緩さを兼ね備えたしなやかな物語の中に、その時折々に合わせた社会派作品の要素を盛り込んだ作品を最近は手掛けている石井裕也監督の最新作。本作前半では、映画制作現場界隈で直面する理不尽や軋轢、時代に逆行するような閉鎖性やいかがわしさをこれでもかとたっぷりと描いている。プロデューサーと助監督ってこんな関係性なのか！？と疑いたくなるような映像を見せつけられ意気消沈としてしまうが、現実にはこんな現場もあるのだろう。そんな状況下で犠牲になってしまうのは主人公の花子。リアリティを伴った表現を実現するべく、がむしゃら過ぎる姿には、応援したい気持ちと、落ち着いてほしいという願いも伴ってしまう。だが、結局は、業界の”しきたり”によって打ちひしがれてしまうしかない。されど、そこからは本作の見せ所。一度は破綻したかのように思える家族が再会し、紆余曲折を経て連帯していく。現代における家族の在り方を考えさせられる作品でもある。「Masked Heats」という英題に込められた思いが十分に伝わってくる一作だ。
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- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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