皆より2年早く台詞を覚え始めているけど、覚え方は言語化できない…『ミステリと言う勿れ』菅田将暉さんと松下洸平さんを迎え公開御礼トークショー開催!
天然パーマがトレードマークで独自の価値観と持論で謎を解く大学生が、遺産相続騒動に巻き込まれる様を描く『ミステリと言う勿れ』が全国の劇場で公開中。9月20日(水)には、大阪・梅田のうめきた広場に菅田将暉さんと松下洸平さんを迎え、公開御礼トークショーが開催された。
映画『ミステリと言う勿れ』は、田村由美さんの人気漫画を菅田将暉さん主演で実写化した連続テレビドラマ「ミステリと言う勿れ」の劇場版。原作で人気のエピソード「広島編」をもとに、広島の名家・狩集家をめぐる遺産相続事件の顛末を描く。天然パーマでおしゃべりな大学生の久能整は、広島で開催される美術展を訪れるため同地にやってくるが、そこで犬童我路の知人だという女子高生の狩集汐路と出会い、あるバイトを持ちかけられる。それは、狩集家の莫大な遺産相続に関するものだった。当主の孫にあたる汐路ら4人の相続候補者は、遺言書に記されたお題に従って謎を解いていく。やがて彼らは、時に死者さえ出るという狩集家の遺産相続に隠された衝撃の真実にたどり着く。汐路を原菜乃華さん、彼女と遺産相続を争う狩集理紀之助を町田啓太さん、波々壁新音を萩原利久さん、赤峰ゆらを柴咲コウさん、狩集家の顧問弁護士の孫である車坂朝晴を松下洸平さんが演じる。『信長協奏曲』の松山博昭さんが監督を務め、『本能寺ホテル』の相沢友子さんが脚本を担当した。
4000人がうめきた広場に駆け付けた中で、菅田将暉さんと松下洸平さんが登壇。2人のトークに終始笑いが絶えない賑やかなトークショーが開催された。
劇場公開を迎え、菅田さんは、公開した安心感と馴染みの場所に対する不思議な気持ちに満たされている。松下さんは、
朝ドラで8,9ヶ月間も大阪で暮らしていたこともあり、もう一つの故郷のような感覚で喜んでいた。菅田さんは、御家族が鑑賞したことを聞き「2回観たよ。2回目は犯人が違うかな、と思ったけど、2回目も犯人は同じやったなぁ」と、とぼけた感想を聞いてしまう。松下さんは、レイトショーで鑑賞した友人から「パンパンだった。沢山の人が来ていたよ」聞き、お客さんに届いていることを実感していた。
大阪に来た時にすることについて聞かれ、菅田さんは「何しているんでしょうねぇ。地元なんでねぇ。16歳まで大阪にいたので、16歳までの行動範囲でしか大阪を知らない。最終地点は梅田ないしは心斎橋。古着をちょっと見るなら中崎町とか。阪急電車に乗って緑の座席に座る、みたいな」と挙げながら「この辺なんて、帰る度に変わっているイメージですね。行きたいところに行けない。めっちゃむずいっすよね。開発が進んでビルが繋がったり繋がっていなかったりするから、10m先に行きたいだけなのにずっと移動しているイメージですね」と漏らす。松下さんは食べ物を気に入っており「今日も控室に大阪の美味しいものがテーブルの上に全部乗っかっていた。全部持って帰ってやろう、と思った。お好み焼きやイカ焼きも食べましたね」と喜んでいる。
シリーズ最大級の謎が描かれている本作。今回は、2人のミステリな部分について、事前に共演者の皆さんから聞いており、尋ねてみることに。なお、松下さん自身は、自らをオープンマインドな人間だと表すが、すかさず菅田さんが「人間、そんなにオープンマインドなわけないから。何かあるんじゃないか、と勘繰っちゃいますよ」とツッコミ。まずは、菅田さんに対して、萩原利久さんから「現場でごはんを食べているところを目撃したことがない気がします。いつ何を食べているか」と問われてしまう。菅田さんは「食べますよ」と即答。松下さんは「現場で食べ物を口に入れているさまは…」と思い返すと、菅田さんは「整君は喋るので、おなか一杯になり過ぎると、脳が動かない。甘いものは食べますけど、あまり炭水化物をとらないように現場ではしていました」と明かす。原菜乃華さんから「とてつもない台詞量のはずなのに、全くNGを出さないところがミステリ」と指摘。菅田さんは「台詞、かみますよ」と冷静に応えるが、松下さんは「ほんとぉ…」と素の状態になりながらも「NG出さないし、台詞もちゃんと覚えてくるので、やめてほしいな、と共演者としては思う。そういう前例を作らないでほしい」と困惑。菅田さんは、ドラマと映画について比較し「ドラマは3ヶ月かけて10話を撮っていく。覚える量も多いんですよね。1週間弱で1話撮っていく。映画の台詞量の半分を1週間で喋らないといけない。それに比べて映画1本は楽」と解説する。町田啓太さんから「そこしえない存在そのものが不思議。前世の記憶とかありそうですよね。偶に拝みたくなる時があります」と言われてしまい、菅田さんは「拝みたいのは、こっちの方ですよね。生の町田啓太は無茶苦茶美しいですからね。毎朝観たいもん。ギリシャ神話とかに出てきそうな…劇中は眼鏡かけてくれて良かったですよね。抑えてくれていないと演技できないから」と本音が出てきてしまう。そして「前世の記憶はないですね」と冷静に返していく。柴咲コウさんから「憑依的な演技がミステリアス。映画での整君の膨大な一人喋りがありましたが、同じシーンをご一緒した際、かなりの長台詞もまるで天からスゥッと言葉が下りてきているかのように滑らかに発していらっしゃって感動を覚えました。一体、いつどのように台詞を覚え、まるで常々思っている風に感覚的に言葉を発するに至るのでしょうか。台詞覚えはどのようなシチュエーションが多いですか」と問われ、菅田さんは「一生懸命覚えてやるしかないんです。本作に関しては、数ヶ月前から監督らと打ち合わせている。この作品は、ドラマは2年前から『やりたいね』と話していたので、俺は皆より2年早く覚え始めているから、2年を経て『常々思ってます』が出来る」と説く。台詞覚えについては「言語化できない。学校のテストに向けて覚えて書くことと近いと思います。終わったら即効で忘れますから。一夜漬けに近い状態にはなっているのかな」と顧みる。さらに「オンとオフが定かではありませんが、時々収録等でも無精髭にかなりユルめの表情の時があります。本番とはまた違う味を醸し出しているのかな、と思います。お芝居以外ではカメラに映るとしても力が抜けるものですか」と聞かれ「撮影以外の時は、なるべく力を抜きながら生きている。ずっと本気で生きていられないので」と正直に話していた。
そして、松下さんに向けて、柴咲コウさんから「性格がミステリアス。本当に全ての人に対等で優しい方です。一体いつガス抜きしているんでしょうか。嫌なことがあったら、どう対処されているんですか」と聞かれ「さほど何も考えていない。難しく物事を考えない性格なんですよ。深いところまで潜れない体質なんですよ。”ライフかなづち”というか。表面でしか泳げない」と独特の言い回しで応えていく。演技とは違っているように見受けられるが「あれは役だから。僕じゃないんで。役になれば、こういうことを考えている人がいるよな。役として潜っている」と謙虚の姿勢だ。これを受け、菅田さんは「現場で見ていて、鳥肌が立つんですよ。演劇を舞台の上でやっている人の1つ1つの重さ。映像では映り切らない人の圧が凄くて。よもやヘラヘラしている人間には思えない」と指摘。松下さんは「映画は他人事として見ていますから。凄く客観的に見ています」と冷静だ。萩原利久さんから「ボタニカル、というか。現場の温度が上がる、というか。何故だろう、と真剣に考えてみたら、松下さんという存在が謎に思えてきました。何者ですか」と問われ、松下さんは「そんなにややこしい人間じゃないですけどね。利久君が見ているそのままの人間が僕の全て、というか。現場で皆さんが楽しくお話して下さるので、良い気になって皆とワイワイ話していた。僕は特別な意識はないんですけど、皆さんが笑ってくれて良かったな」と一安心のようだ。町田さんから「映画公開初日、早朝から電波ジャックされていた松下さんにお会いした時、ひたすら爽やかな御尊顔をされていて、全く眠くないようでした。思い返していると、映画撮影中、一度たりとも眠そうにしていたのを見たことがありません。もしかしたら、松下さんは生まれてから一度も寝ていないのでは。そのぐらい不思議です。なんでそんなに爽やかなのか。ずっと隣にいてほしいです」と告げられ、松下さんは「ちゃんと寝てますから。仕事場に行くと、なんとなくスイッチが入る。町田君と会った時は菅田君と会っていて嬉しいし、パッと目が覚める。現場に行く時も、キャストやスタッフさんらと一緒に話していると嬉しくて目が覚めるんですよ」と話す。菅田さんは「人間なので、昼ご飯を食べた後の撮影とか晩御飯を食べて後のドライ、連日撮影が続いて深夜から朝を迎えると、当然眠くなることがある。この人からはあくびを見たことがない」と指摘すると、松下さんは「嚙み殺しあくびは何回もしましたよ」と明かし、口で噛んでいる仕草をする。これを受け、菅田さんもチャレンジするが、あごが出るような形になり、あくびは隠せなかった。
久能整化(天然パーマ・マフラー)したビリケンさんのフォトセッションを経て、最後に松下さんは「まだご覧になっていない方は是非ご覧になって頂いて、整君の数々の名言を身体中に浴びて頂きたいな」とメッセージ。菅田さんからも「『ミステリと言う勿れ』映画も漫画も宜しくお願いします」と思いを伝え、トークショーは締め括られた。
映画『ミステリと言う勿れ』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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