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“男性版モナ・リザ”と云われる「サルバトール・ムンディ」をめぐるミステリーノンフィクション『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』がいよいよ劇場公開!

2021年11月23日

(C)2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions – FTV

 

男性版“モナ・リザ”とも称され、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作とされている“サルバトール・ムンディ”を巡るドキュメンタリー『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』が11月26日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』は、レオナルド・ダ・ビンチの最後の傑作とされる絵画「サルバトール・ムンディ」が史上最高額の510億円で落札された2017年の出来事をもとに、アート界の闇を暴いたドキュメンタリー。ある美術商が名もなき競売会社のカタログから13万円で落札した1枚の絵。彼らはロンドンのナショナル・ギャラリーに接触し、その絵は専門家の鑑定を経てダ・ビンチの作品として展示される。お墨付きを得たこの絵に、投資目的の大財閥や手数料を騙し取ろうとする仲介人、大衆を利用して絵の価値を釣り上げるマーケティングマンと利用されるハリウッドスター、国際政治での暗躍が噂される某国の王子など、それぞれ思惑を抱えた人々が世界中から集まってくる。その一方で、「ダ・ビンチの弟子による作品だ」と断言する権威も出現。そしてついに510億円の出所が明かされるが、それはルーブル美術館を巻き込んだ新たな謎の始まりだった。今なお謎が深まるばかりのこの絵画にまつわる疑問をひも解いていくと共に、知られざるアート界のからくりや闇の金銭取引の実態を生々しく描き出す。

 

(C)2021 Zadig Productions (c) Zadig Productions – FTV

 

映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』は、11月26日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。

本作の原題は「The savior for sale」、直訳すると「競売にかけられた救世主」というニュアンスが近い。発見された名画が鑑定され競売に出されると、大富豪達が奪い合うように落札する様子はなんとも浮世離れしており必見である。しかし、今作では「この作品の価値とは?」そして「そもそも美術品の価値を決めるということは、どういうことなのか?」と問い質し、過熱した美術界を冷ややかな視点で距離を置いて解説していく。後半になると、ルーブル美術館が本気を出す総力戦となり、鑑定の件は観ていて身を乗り出すほどにドラマチックであり、結果は劇的だ。

 

貴重な作品を発見したことを奇跡のように称えるでもなく、修復の作業を偉業として賞賛するわけでもない本作。作品を手に入れようとする「超」大富豪達の熱狂的で滑稽にすら見える様子を映し出し、重要な作業を担いつつも、饗宴を見守るしかない学芸員や研究者ら関係者達の冷静なコメントが次々と語られていく。彼等の思考をどのように判断するか、観賞する側に委ねられる。実にクールな構成を呈する作品だ。何億ドルの資産を動かす富裕層の生活は想像もできないが、彼らへの取材も、よくぞここまで追った!という深追いぶり。さらに、美術品等を厳重な警備で保管して関税もかからないという、超富裕層向けの世界各地にある倉庫「フリーポート」を映し出す。ある港のフリーポートで厳重に保管される絵画や、エーゲ海に停泊するヨットの上から秘書を通して画商とコンタクトする身分を隠した大富豪の姿は、劇映画で見せるワンシーンのようだ。

 

美術品のドキュメンタリーは、専門用語や作品と人物の固有名詞があふれがちだが、本作は情報量も充実していながら、多過ぎて追いつけないレベルではない。予備知識を持たず絵画や美術館に詳しくなくても、ドラマとして十分に楽しめる。誰にでもお勧めしたい、秀逸なドキュメンタリーだ。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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