女子大生がアダルトグッズショップで人生を学ぶ『セールス・ガールの考現学』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©2021 Sengedorj Tushee, Nomadia Pictures
モンゴルの都市を舞台に、アダルトグッズ・ショップで働く女子大学生が、オーナーや客と関わる中で生き方を学んでいく『セールス・ガールの考現学』が5月19日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『セールス・ガールの考現学』は、アダルトグッズショップで働くことになった女性の成長をユーモアたっぷりに描いたモンゴル映画。モンゴルの首都ウランバートルで家族と暮らしながら大学で原子工学を学ぶサロールは、ひょんなことから怪しげなアダルトグッズショップでアルバイトすることに。人生経験豊富な女性オーナーのカティアが営むその店には大人のオモチャが所せましと並んでおり、毎日さまざまなタイプの客たちがやって来る。サロールはカティアや客たちとの交流を通して、自分らしく生きることを学んでいく。
本作では、オーディションで300人の中から選ばれたバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルが映画デビュー作にして主演を務め、モンゴルを代表するベテラン俳優エンフトール・オィドブジャムツがオーナーのカティアを演じた。なお、第20回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルでグランプリに輝いている。
©2021 Sengedorj Tushee, Nomadia Pictures
映画『セールス・ガールの考現学』は、関西では、5月19日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
昨年の大阪アジアン映画祭のコンペティション部門では『セールス・ガール』として公開された本作。モンゴルの映画で、アダルトグッズショップで代理アルバイトをするハメになる女性が主人公!?と驚いた。だが、モンゴルに対して抱いていたパブリック・イメージを見事に打ち砕かれた青春物語として充実した作品。冒頭からギャグみたいな出来事から始まっていくが、どこかオシャレである。そして、アダルトグッズショップで働くことになった女性は、都会の箱入り娘っぽさがあり、親の願い通りに大学に通い学問に励んでいるだけで、自分の意思があっても上手く表現できない様子。だが、アダルトグッズショップに訪れるお客さんは、決して変態な人ばかりではなく、どこかに悩みを抱えている雰囲気が伝わってくる。ショップの女性オーナーは人生経験が豊富そうで、世の中を達観した視点で眺めていそうだ。でも、決して完璧過ぎる人間は滅多にいないもので、このオーナーにも人生でなかなか一歩前に進めずいることがありそうで。そんな人間だからこそ学ぶことだってあると気づかされていく。日本版タイトルとして加えられた「考現学」とは、現代の社会現象を場所・時間を定めて組織的に調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。本作が意図していることを言い得て妙な雰囲気を醸しだす表現である。作品のイントロダクションからは予想だに出来ない、おもしろくもあり爽やかな気持ちで観終えられる一作であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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