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商いの才と人情に長けた近江商人が、働いていた米問屋の借金返済のため知恵を絞る『近江商人、走る!』がいよいよ劇場公開!

2022年12月28日

(C)2022 KCI LLP

 

奉行の罠で借金を負った奉公先の米問屋を救うために、電話もネットもない時代に価格差を利用した作戦に挑む男の姿を描く『近江商人、走る!』が12月30日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『近江商人、走る!』は、江戸時代、大坂や伊勢と並ぶ日本三大商人に数えられた近江商人たちの活躍を描いた時代劇。現代の経済においては「裁定取引」(アービトラージ)と呼ばれる取引方法に着目した近江商人たちが、そろばん片手に知恵をふりしぼり、商売で勝負に出る姿を痛快に描く。ある近江商人との出会いから、大津の米問屋・大善屋で丁稚奉公することになった銀次は商才を発揮し、店の仕事はもちろん、ケガをして働けなくなった大工を救済する方法を考えたり、閑古鳥が鳴く茶屋に客寄せのアイデアを出したりするなど、さまざまな方面で町の人たちを助けていた。そんなある時、悪らつな奉行の罠で大善屋が千両もの借金を背負わされてしまう。銀次は店を守るため、大津と15里(60キロ)離れた堂島の米の価格差を利用した裁定取引を思いつく。飛脚でも半日かかかる距離を越え、情報を迅速に入手するため銀次は仲間とともに作戦を練る。

 

本作では、銀次役は『許された子どもたち』で注目された上村侑さんが務めた。銀次の先輩である蔵之介役に『ちはやふる』シリーズなどで活躍する森永悠希さん、銀次や蔵之介とともに働く楓役に『アルプススタンドのはしの方』の黒木ひかりさんが演じている。監督は『老人ファーム』『鬼が笑う』の三野龍一監督が務めた。

 

(C)2022 KCI LLP

 

映画『近江商人、走る!』は、12月30日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

時代劇は舞台設定であり、特定の映画ジャンルを示すものではないのだけれど、ビジネスものをあつかった作品は珍しい。しかも、「裁定取引」(アービトラージ)と呼ばれる取引方法の一つである先物取引の謂れを説く作品だと知り驚いた。

 

将来の決められた日に、今取り決めた価格でお米を買う約束をしておけば、期日が来た時に、市場価格が上がっていても、市場価格より安い価格でお米を買うことが出来る。また、反対に市場価格が下がっている場合には、市場価格より高い価格で買うことになるため、一見損をしたように見えるが、あらかじめその価格で定食の材料費を計算しているため、利益は当初の想定と変わらない。お米を売る農家側から考えると、一定の値段でお米を売る約束をすることになる。お米が豊作で市場価格が下がった場合は、市場価格より高く売ることができるが、凶作で市場価格が上がった場合は安く売らなければならない。ただし、あらかじめその価格で収入を計算しているので、影響はない。こういったことを考え出すなんて、近江商人はどれだかインテリジェンスなんだ。”売り手よし、書いてよし、世間よし”の三方良しの心得は理想ではあるが、実現させるにはどれだけの苦労があったろうか。見事に1つの作品に仕上げていた。

 

なお、本作を手掛ける三野龍一監督。これでは、『老人ファーム』『鬼が笑う』といった重苦しい空気が漂う見応えあるインディペンデントな作品を劇場公開していただけに、シネコンで公開される作品において、自らの作品性を表現しながら、エンターテインメントな作品として仕上げていた。今後も、このスタンスがぶれずにおもしろい作品を手掛けてくれることを楽しみにしたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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