先祖を追憶する“死者の日”、11月2日を迎えるエストニアの寒村を舞台に世にも不可思議な純愛を描く『ノベンバー』がいよいよ関西の劇場でも公開!
(C)Homeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017
11月の“死者の日”を迎えるエストニアの寒村を舞台に、村娘の不可思議な恋を描く『ノベンバー』が12月30日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『ノベンバー』は、「死者の日」を迎える11月のエストニアを舞台に、不思議な純愛の行方を幻想的なモノクロ映像で描いたダークラブストーリー。亡き先祖を追憶する「死者の日」を迎えるエストニアの寒村。戻って来た死者は家族を訪ね、一緒に食事をとりサウナに入る。精霊や人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは「使い魔クラット」を使役して隣人から物を盗み、極寒の冬を無事に乗り切るべく行動する。農夫の娘リーナは、村の青年ハンスに想いを寄せる。一方、ハンスはドイツ人男爵の謎めいた娘への恋心を募らせ、森の十字路で悪魔と契約を結ぶ。
本作は、エストニアの作家アンドルス・キビラークのカルト的ベストセラーを原作に、ライナー・サルネ監督がアニミズムの思想をベースに異教の民話とヨーロッパのキリスト教神話を盛り込みながら撮りあげた。『ムカデ人間』で知られ、2020年2月に他界したドイツの俳優ディーター・ラーザーが男爵役を演じ、本作が遺作となった。
(C)Homeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017
映画『ノベンバー』は、関西では12月30日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
不思議な世界観をもつ幻想的なモノクロ映像で描かれた作品である。アレクセイ・ゲルマン監督の『神々のたそがれ』を観た時の感覚を思い出した。“全てのものには霊が宿る”というアニミズムの思想を基にしており、冒頭から、意思を伴った金属体の演技を見せられ、シュールレアリスムも伴った独特な世界観が描かれていく。舞台となっているのは、亡き先祖を追憶する「死者の日」を迎えるエストニアの寒村。貧富の格差があまりにも酷い。故に、欲望を抱く人間は数多と存在する。そこで悪魔と契約する者が…美しさ、或いは、富に満ちた者と結ばれようとするならば、最終的には悲劇へと追い込まれていく。その波に巻き込まれてしまったら、最悪の結末しかない。だが、本作は、甘美な悪夢として描いており、不思議な感覚をずっと抱き続けられる独特な世界を存分に堪能できる唯一無二の作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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