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8年間でやりたかったことを全て出し切って作り上げた…『すずめの戸締まり』原菜乃華さんと松村北斗さんと新海誠監督を迎え舞台挨拶開催!

2022年11月17日

平穏に暮らしていた少女がある青年との出会いがきっかけで災いを呼び込む扉の存在を知り、戸締まりの旅に出る『すずめの戸締まり』が全国の劇場で公開中。11月17日(木)は、神戸・大阪の劇場で舞台挨拶を開催しており、今回、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に原菜乃華さんと松村北斗さんと新海誠監督を迎えた模様をレポートする。

 

映画『すずめの戸締まり』は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉める旅に出た少女の冒険と成長を描いた長編アニメーション。九州で暮らす17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、扉を探しているという旅の青年である宗像草太と出会う。彼の後を追って山中の廃墟にたどり着いたすずめは、そこだけ崩壊から取り残されたかのようにたたずむ古びた扉を見つけ、引き寄せられるようにその扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。扉の向こう側からは災いがやって来るため、すずめは扉を閉める「戸締まりの旅」に出ることに。数々の驚きや困難に見舞われながらも前へと進み続けるすずめだったが…
本作では、『君の名は。』の世界的ヒット以来、国内外で高く評価されている新海誠監督が、美しい色彩と音楽で描きだす。『罪の声』『胸が鳴るのは君のせい』等に出演してきた若手俳優の原菜乃華さんが、オーディションを経て主人公すずめ役の声優に抜擢。音楽はRADWIMPSと陣内一真さんが担い、「すずめ feat.十明」「カナタハルカ」が主題歌として奏でられる。

 

今回、上映後に原菜乃華 さんと松村北斗さんと新海誠監督が登壇。質問コーナーも設けられ、公開後の素直な反応が聞ける貴重な舞台挨拶となった。

 

公開から1週間近く経ち、新海監督は「大変落ち着かない日々を送っております。20年近くアニメーション映画を作っていますが、これほど公開後が怖くて毎日ドキドキして眠れない映画は初めてです。それだけの熱意を持って作ったのかな」と受けとめつつ「演者の皆さんに頂いたものが最高だし、音楽が最高だし、画も最高でした。あとはどれだけ届くか、僕の責任なんだな」と思い、落ち着かない日々を送っている。原さんは、公開前より落ち着きつつあり「公開後、今までお世話になった先輩方や友達から『凄く良かった』とメッセージを頂けて『新海誠の作品、どう?そうでしょ』と胸を張って言えるような作品に巡り会えて凄く幸せだな」と嬉しそうだ。松村さんは、周囲からの反響を感じ取りながら、客席を眺め「皆が観終わった時は同じ目の輝きをしている。凄く力のある作品なんだな」と更に実感している。新海監督も同じように受けとめており、感謝の言葉を伝えていた。

 

よく来阪している松村さんは、大阪について「反応が良く、積極的。コミュニケーションの濃さといった良さがある」というイメージがあり、お客さんからの力のある視線を感じていた。原さんは、先日USJに来たり、粉もんが好きだったりと大阪を気に入っており、美味しくて楽しいイメージがあり、最近は大阪のうどんに興味津々だ。なお、本作には神戸の街並みが描かれているが、新海監督は2年前頃にロケハンをして組み立てていっている。大阪はニアミスだったが、「大阪の方とは近い感覚があり、今までの作品での舞台挨拶で大阪が登場するリクエストがあった。でも神戸にしちゃったから、今日は後ろめたさもあるんですが…」と心配しながらも「近いですから。もしかしたら、次に、あるいはその次ぐらいに大阪を直接描きたい」と考えていた。伊藤沙莉さんが話す関西弁について、原さんは「ルミさんにしか聞こえなくて…」と印象深く、ポテトサラダ入り焼うどんを食べた後の台詞がお気に入り。関西人にとっては、本作で神戸の街が描かれることは喜ばしく、新海監督は「日本全国をだんだん旅していく話ですので、二人は方言がなかったんですが、他のメインキャストの方は、ほぼ皆が方言を使わなければいけなくて。本当に微妙なニュアンスを変えており、それぞれに方言指導の方がいる。方言を使うことで出てくる温かさもきっとある」と説く。

 

そして、お客さんからの質問コーナーを設けられた。今回、東京から関西へ移動してきた中では発見したことを聞かれ、原さんは、鈴芽と同じように新幹線から富士山を見れなかったことを挙げ、新海監督と松村さんも共感。なお、新海監督は、新神戸駅に到着した時に「映画と同じだ」と実感し「改札を出たら、扉のスタンディがあった。駅ごと歓迎してもらっているようで嬉しくなった。特別な場所になったな」と歓迎深げだ。松村さんは、新幹線で移動することが多いが「通り過ぎていってしまうけど『そこにも生活があって、人の思いがあるんだよなぁ』と思うと、ただの移動より人とすれ違っているような。作品を観終わってから、人を感じるようになりました」と明かす。新海監督も小説版『すずめの戸締まり』を書いていた時に同様のことを感じていた。

 

次に、好きな場面を聞かれ、新海監督は「神戸で草太と鈴芽が一生懸命に子供のお守りをする場面ですね。皆が友達のようで、一瞬だけの幸せな時間をコミカルに描けたので好きですね」と挙げていく。松村さんは「草太がドリンクが倒れそうなところを頑張っているのが可愛らしくて好きでした」とお気に入り。原さんは「ルミさんのスナックでポテトサラダ入り焼うどんを作るシーンが大好き。草太さんの反応が妙にツボで可愛らしくて大好きです」とにこやかに語った。

 

さらに、次作のテーマについて聞かれ、新海監督は「次に何が観たいか皆さんの意見を参考に作らないと…今は空っぽになってしまいまして…」と告白。今作について「『君の名は。』を作っていた8年前から作り始めた映画のような気がするんですよね。『君の名は。』や『天気の子』でやりたかったことをもっと上手く真っ直ぐ伝わるようにできないか、と思って8年かけて作った映画です」と明かし「今、8年分全部出してしまって空っぽなので、舞台挨拶しながら、皆さんが次に何を見たいんだろうな、と感じながら…次にどんな映画作ればいいんでしょうね」と困惑ぎみ。松村さんは、驚きながらも、この3作の統一したテーマを感じており「次はガラッと違うテーマが主軸の作品ですよね」と尋ねると、新海監督は「違う場所に行かなきゃいけないな、と思っているんですけどね。どうすればいいんですかね」と迷っていた。原さんも「新海監督が大好きなので、何を作ってくれても『ありがとうございます』の気持ちしかないので、何でも見たいですね」と応援し、新海監督は「宇宙とか行けばいいんですかね。全然分からないんですけど(笑)。ちょっと考えてみますね」と応じていく。松村さんは「次の作品を作って下さるだけでも嬉しい」と喜び、原さんからは「呼んで下さいね、ちょっとだけでも」と頼まれ、新海監督は「そんな迂闊なことは言えないな」と言いながらも喜んでいた。

 

椅子役へのオファーについても聞かれ、松村さんは「収録に入る前に、疑問点や不安点は新海さんとお話しする時間を頂けた。椅子には草太がギュッと縮小されて入ってしまった。声色や喋り方の基本は草太のまま。最初に全体像を見て『もしかしたら、椅子になった後の方が、演技の上では許されることが増えそうだな』と感じていた。椅子になるとハマってくる演技がある。新海さんがそういうディレクションをして下さった」と振り返る。原さんも「椅子になると表情が見えないから、演技するのが難しいかな、と思っていた。椅子になった草太さんの方が本当の気持ちが伝わってくる。椅子に愛着が沸く。口がついて目の表情が見えるような気がして、不思議だったな」と思い返す。

 

また、役を通して影響されたことを聞かれ、松村さんは「自分が持っていない声を現場で作っていく作業が沢山あった。何気ない日常で出した声で『新海作品過ぎ』と言われることが身近なメンバーやマネージャーさんから時々…今まで聞いたことが無いような声を当たり前のように使うようになったんじゃないかな」と感じていた。また「人に対して落ち着いて優しくする立ち振る舞いがやりやすくなりましたね。ずっと鈴芽を守ってきた草太を演じることで、人を身近なものに感じるようになりました」と明かす。原さんは「度胸がついたな。分からないものに飛び込んで一生懸命に食らい付いていく毎日だった。鈴芽の真っ直ぐさや思い切りの良さに背中を押されていた。自分も少しずつ良いところが似てきているかもしれない」と感じるようになった。アフレコの様子を見ながら、松村さんも「日に日に目つきが鈴芽になっていくんですよ。挑む時の姿が鈴芽に似てきたな」と感慨深い。

 

最後に、新海監督は、RADWIMPSによる「カナタハルカ」の歌詞に触れながら「2人も含めて、素晴らしいスタッフが僕にないものを寄せ合って作り上げてくれました。その人達の中には観客の皆さんも含まれています。皆さんが次はこういうものが観たいという気持ちを持ち続けて下さってこの映画が出来ました。気に入って頂けた方は『あの映画は私も手伝ったんだよ』という気持ちでまた観て頂ければ嬉しいです」と伝えていく。そして、松村さんと原さんが、改めて本作の旅立ちを告げる画の如く、台詞を放ち舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『すずめの戸締まり』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田大阪ステーションシティシネマ、難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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