AIロボットが家族の一員として暮らす近未来を舞台にした物語『アフター・ヤン』がいよいよ劇場公開!
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人型AIが普及した近未来を舞台に、ロボットの故障がきっかけで明らかになる、人型AIの秘密と家族の関係性を描く『アフター・ヤン』が10月21日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『アフター・ヤン』…
人型ロボットが一般家庭にまで普及した近未来。茶葉の販売店を営むジェイクと妻カイラ、幼い養女ミカは慎ましくも幸せな毎日を過ごしていたが、ロボットのヤンが故障で動かなくなり、ヤンを兄のように慕っていたミカは落ち込んでしまう。ジェイクは修理の方法を模索する中で、ヤンの体内に毎日数秒間の動画を撮影できる装置が組み込まれていることに気付く。そこには家族に向けられたヤンの温かいまなざしと、ヤンが巡り合った謎の若い女性の姿が記録されていた。
本作は、『コロンバス』のコゴナダが監督・脚本を手がけ、アレクサンダー・ワインスタインの短編小説「Saying Goodbye to Yang」を独創的な映像表現で映画化したSFドラマ。コリン・ファレルが主演を務め、『ウィズアウト・リモース』のジョディ・ターナー=スミス、ドラマ「アンブレラ・アカデミー」のジャスティン・H・ミンが共演。『コロンバス』で主演を務めたヘイリー・ルー・リチャードソンが物語の鍵を握る謎の女性を演じる。
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映画『アフター・ヤン』は、10月21日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、神戸・三宮の kino cinéma神戸国際や兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OS等で公開。
人型AIロボットが一般家庭に普及することは実現するだろうか。SF作家のアイザック・アシモフは、「人間に危害を加えてはならない」「人間の命令に従わなければならない」「自己を守らなければならない」というロボットの行動を支配する[ロボット工学三原則]を示した。ロボットに人間の感情なるものを搭載すること。それが技術的に、倫理的に可能な時代はやってくるのだろうか。定かではないが、だからこそ本作が制作された意義がある。
本作では、人間に対して忠実なロボットが世界に存在し、ほぼ人間のようにも扱われていた。しかし、あくまで機械である。突然動かなくなる可能性はいくらでもあるだろう。本作に登場するヤンは突然動かなくなってしまったが、日々の記録は映像として残されていた。だが、あくまで個々の映像は数秒間だけである。なぜヤンはその映像を残していたのか。何故残そうとしたのだろうか。独自のアルゴリズムが動いていた!?作中では明確な理由は提示されないが、存在し得ないヤンの感情が残したものかもしれない。…と考えてみると、純然たるSF文学作品としての美しさを感じられた。これは、日本映画『ハード・コア』にも通じる世界観すらあるように思える。
なお、前作『コロンバス』では、小津安二郎にオマージュを捧げたコゴナダ監督だが、今作では岩井俊二監督に敬意を表しており、“Lily Chou-Chou”のロゴがプリントされたTシャツを着用しているヤンの姿があったり、『リリイ・シュシュのすべて』の挿入歌「グライド」をMitskiがカバーしていたりと驚かされてしまう。韓国生まれのアメリカ人映画監督であるコゴナダ監督が日本映画を愛しA24を通してアメリカで映画を制作する意義ある作品が再び誕生した。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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