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ご自身の気持ちがどのように動くか、観る方によって様々な受け止め方が出来る…『PLAN 75』河合優実さんと早川千絵監督を迎え舞台挨拶開催!

2022年7月4日

75歳以上の高齢者が自ら死を選び、国が支援する制度”プラン 75”施行後の日本を舞台に、命の選択を迫られる女性に姿を描く『PLAN 75』が全国の劇場で公開中。7月3日(日)には大阪・難波のなんばパークスシネマに河合優実さんと早川千絵監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『PLAN 75』は、75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらた。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。本作が長編デビュー作となる早川千絵監督が、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一編として発表した短編「PLAN75」を自ら長編化。年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれた。ミチ役で倍賞千恵子さんが主演。磯村勇斗さん、たかお鷹さん、河合優実さんらが共演する。

 

上映前に河合優実さんと早川千絵監督が登壇。多くの感想を受け取りながら、満を持しての舞台挨拶となった。

 

自身の仕事や前作『十年 Ten Years Japan』の舞台挨拶で大阪に来たことがある早川監督は、コロナ禍で観光が全く出来ない中であったが、本作の美術を担ったチームで大阪・奈良・京都の方と再会し「今日は本当に嬉しかったです。551の本店に連れて行ってもらいました。551、って名前が格好良いな。豚まん、美味しかったです」と満足げ。河合さんも仕事で何度か大阪に来ており「今、大阪で舞台公演中です。前回も大阪公演があり、私も”551”を買って帰りました。点天の餃子を買って家で焼きました。今回も前回もコロナ禍で、あまり外に出れてなく…太陽の塔を見たいですね」と願っていた。

 

様々な感想を早川監督は受け取っており「観た後に人と話したくなる映画だ」とよく聞いてる。今回、様々な方から取材を受けている中で「質問そっちのけで”自分はこう思った”と熱く語って頂く方が多かった」と驚き「観て下さった観客の方が『久しぶりに家族と映画について話した』『友達と何時間も話した』と聞いたので、とても嬉しいな」と喜んだ。公開前は「説明が少ない映画なので、分からなくて伝わらないんじゃないか、という心配する人達もいました」と危惧していたが「観て下さる方の感受性を信じており、観客の方の感想を聞くと、自分が思っていた以上に深く感じて頂いているな、と分かったので、間違っていなかったな」と自信になった。河合さんも「この映画に出てくる設定を、自分だったら利用したい、という声が思ったより多く届いてきた。それだけ生きるのが辛いな、って肌で感じている方が沢山いるんだな」と驚いたが「これを観て、生きることが希望に映ればいいな」と願っている。河合さんと同じ世代からは「75歳に近い自分の家族や親類に思いを馳せる感想が多い」と受けとめていた。

 

コールセンタースタッフの成宮揺子という役について、河合さんは「彼女がそれまで生きてきた人生がありますが、この人物像より、倍賞さん演じるミチと出会ってからの時間をどう描こうかな」と考察。倍賞さんについて、早川監督は、脚本を全部書き終わってからオファーしており「ミチという女性が追い詰められていく話ですが、観た人が同情するだけの主人公ではなく、凛とした強さがあり人間的な魅力のある方に演じてもらいたい」と考え、一番最初に倍賞さんが思い浮かんだ。脚本を送り、読んで頂いた後に「『監督と話して決めたい』と一度お会いする機会を作って頂いた。何故この映画を作りたいか話させて頂いて、引き受けて頂きました」と出演に至っている。河合さんは今まで沢山の方と共演してきたが「倍賞さんと共演出来たことが凄く大きな経験になりました。人として素晴らしい方で、あれだけキャリアを積まれているのに全く偉ぶるところがなく、純粋に目の前のことに感動している人だなぁ。完成した作品を観ても、倍賞さんが映っている様が素晴らしかった」と感動。撮影終了後は「ハグしてくれて『あなたなら、頑張っていれば誰かが見てくれているからね』と言ってくれて、宝物な体験でした」と大事な思い出になっている。

 

河合さんについて、早川監督は、本作の企画段階から、ご一緒したいとずっと思っており「揺子という役は、もう少し年上の役を設定していたんですが、どうしても河合さんとご一緒したいと思っていた時に、揺子を若くすればいいんだ」と機転を利かして、脚本を書き直してオファーした。実際にお会いしてお話しして「若いのに落ち着いているし、話す言葉が深く、賢い方で惚れ惚れしながらご一緒させて頂いた」とお気に入り。なお、出演している作品を観る前に、所属されている事務所のホームページで写真を見て決めており「この人は素敵だなぁ、と思った。一目惚れのような感覚で気になっていた役者さんなんです」と明かした。河合さんは「嬉しいですね、設定まで変えて頂いて」と喜びながら、早川監督の現場について「倍賞さんと通ずるところがあります。感動して自分が応える方で、撮りたいと思ったことを直ぐに行動に移していく監督さん。それに皆さんがついていく現場の雰囲気があり、早川さんに協力したくなる空気が流れていた。素敵だな」と印象に残っている。なお、早川監督は本作について「ご自身の気持ちがどのように動くか集中して頂きたい」と願っており「観る方によって様々な受け止め方が出来る映画です。私達が作ったのは半分まで。後の半分はお客さんのもの。どのような映画にして頂くか、お客さんの心と感情かな」と期待していた。

 

最後に、早川監督は「ご家族やお友達と来て頂いている方はお話頂きたいと思いますし、1人で来て頂いている方も他の方にお勧めしたくなったら是非お話して頂きたいな」と伝えていく。河合さんも「強い問いかけをしている映画ですが、フィルターをかけずにご自身の中で自由にご覧になって頂きたいです。全世代の方に、自分を照らし合わせられる側面がありますので、楽しんで頂けたら」と願い「私が演じた役を通して、75歳から離れた立場で演じていたので、自分がどうやって社会の一員になっているか考えたので、ぜひ同世代の方にも観て頂けたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『PLAN 75』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinéma 神戸国際等で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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