若き消防士が原発事故に命懸けで挑む『チェルノブイリ1986』がいよいよ劇場公開!
(C)≪Non-stop Production≫ LLC, (C)≪Central Partnership≫ LLC, (C)≪GPM KIT≫ LLC, 2020. All Rights Reserved.
1986年のチェルノブイリ原発事故で命を懸けた消防士の苦悩や混乱する避難民を市民の視点で描く『チェルノブイリ1986』が5月6日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『チェルノブイリ1986』は、1986年4月、当時ソビエト連邦だったウクライナのプリピャチで起きたチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故で、未曾有の事態に命を懸けて挑んだ消防士の姿を描いたドラマ。恋人と10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩もうとしていた若き消防士アレクセイ。しかし、地元にあるチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、彼の穏やかな日常が一変する。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発により、溶け出した核燃料が貯水タンクに達した場合、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまき散らされる事実を知らされる。アレクセイはタンクの排水弁を手動でこじ開ける決死隊に志願するが、その先には想像をはるかに超えた数々の試練が待ち受けていた。
本作では、『ハードコア』『マチルダ 禁断の恋』のダニーラ・コズロフスキーが主演と監督を務めた。
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映画『チェルノブイリ1986』は、5月6日(金)より全国の劇場で公開。
人は皆、映画の中のヒーローに夢中になる。本作は、チェルノブイリ原発事故の悲劇とそれに立ち向かう人々をヒロイックなドラマで描いたエンターテイメント映画だ。これまでナチスとの戦争を舞台にしたヒロイックな映画を数多く輩出してきたロシア映画界であるが、同じようなプロットで、ソ連時代の負の遺産であるチェルノブイリ原発事故を引き出してきた。放射線への無知からくる被ばくの描写に目を覆いたくなりながらも、緊迫した事故処理の場面でのスリリングなやり取りでは息をのむ。申し分のないエンターテイメントだ。
主人公である消防士のアレクセイをはじめに、本作の登場人物からはアメリカ映画の”古きよき”ヒーローを思い起こさせる。まるで子どものころにロードショーで熱中したアーノルド・シュワルツェネッガーと仲間達がロシアの人々に生まれ変わったかのようだ。女性と子どもを守り、家族と国を守る男の信念には不思議な懐かしささえ感じる。本作の悲劇を舞台にしたヒロイックな物語が政治的に危ないチェルノブイリを、政治的に無害なものに上書きした一面は見逃せない。誰もが共感できるスリルと感動のエンターテイメントが覆い隠したものに思いを巡らせながらの映画鑑賞も一考である。
fromにしの
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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