英国史上初の“時代を創った”究極のアーティスト、ノエル・カワードの大ヒット喜劇『プレゼント・ラフター』がいよいよ劇場公開!
(C)Sara Krulwich
1900年代前半のロンドンを舞台に、中年の喜劇役者が個性的な面々に囲まれ、本音を言えず笑いを演じきろうとする姿を描く、松竹ブロードウェイシネマ『プレゼント・ラフター』が3月12日(土)より全国の劇場で公開される。
松竹ブロードウェイシネマ『プレゼント・ラフター』は、1900年代イギリスで劇作家・演出家・俳優として活躍し、ファッションアイコンとしても注目を浴びたノエル・カワードによる大ヒット喜劇で、中年喜劇俳優と彼を取り巻く人々の日々をコミカルに描く。1900年代前半、ロンドン。人気喜劇俳優のギャリーは、腐れ縁の元妻や自分のことを親よりも知っている秘書、恋仲にある女性作家、ギャリーに好意を寄せる男性作家ら個性的な人たちに囲まれながら、本心を言い出せずにいた。私生活さえも演じてしまううちに境界線を見失い、人生という名の迷路に迷い込んでいくギャリーだったが…
本作は、イギリスの名優ケビン・クラインが主演を務め、2017年の第71回トニー賞で演劇主演男優賞を受賞した舞台をスクリーン上映。共演に『アベンジャーズ』シリーズのコビー・スマルダース。ニューヨーク・ブロードウェイの傑作舞台を映画館で上映する「松竹ブロードウェイシネマ」シリーズの1作である。
(C)Sara Krulwich
松竹ブロードウェイシネマ『プレゼント・ラフター』は、3月12日(土)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都。神戸・三宮の神戸国際松竹で公開。
ニューヨークのブロードウェイで上演されている舞台を映画館で上映する<松竹ブロードウェイシネマ>。今回は、喜劇であるため、観客の盛大な笑い声も存分に収録されているため、シットコム作品や日本で気軽にTV等で観てきた喜劇を観ているような気分になった。ブロードウェイの舞台と聞くと高尚なイメージがあり、理解できるだろうか、と不安があるかもしれないが、一切の遠慮は不要。寧ろ、ニューヨークに行かずとも、気軽にブロードウェイの舞台が観られるということが、どれだけ有難いことだろうか、と思えてくる。
本作の主人公であるギャリーは、ミドルエイジの大人気喜劇役者。自分に親しくしてくれる人達に囲まれて幸せはあるが、親しくしてもらうために動いていた結果、自分の意思を見失いかけていた。一種のミドルエイジ・クライシスに嵌ってしまったかもしれない。今こそ本心を曝け出して思うにように生きたいと動こうとするが、周囲の思惑から思うようには動けない。考えようによっては、切なくも歯がゆくなってしまうストーリーであるが、あくまで本作はコメディである。コメディアンの苦しみは蜜の味の如く、観客にとっては可笑しみがあり、自然と笑い声があがってしまう。最終的には儚くも胸にグッとくるものがある喜劇として仕上がっていた。ブロードウェイをはじめ様々なエンターテインメントで活躍してる役者が勢揃いしている本作を是非とも思う存分に楽しんでもらえたら幸いだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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