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『ひとくず』が多くの人達を僕に引き合わせ、集大成作品を作り上げた…!『西成ゴローの四億円』『西成ゴローの四億円-死闘篇-』上西雄大さん、加藤雅也さん、木下ほうかさんに聞く!

2022年1月28日

大阪市西成区に住む、失った記憶を一部取り戻した日雇い労働者の男が、難病を患う娘のために、多額の治療費を稼ごうとするとともに、記憶喪失の原因をつくり、家族をも脅かそうとする敵に立ち向かう姿を描くクライムサスペンス二部作『西成ゴローの四億円』『西成ゴローの四億円-死闘篇-』が大阪先行上映される。今回、上西雄大さん、加藤雅也さん、木下ほうかさんにインタビューを行った。

 

映画『西成ゴローの四億円』『西成ゴローの四億円-死闘篇-』は、大阪・西成を舞台に家族を救うため4億円を稼ごうとする男の生きざまを描いた二部作。前篇では、大阪市西成区に住む、失った記憶を一部取り戻した日雇い労働者の男が、難病を患う娘のために、多額の治療費を稼ごうとする生き様を描く。日雇い労働者の土師晤郎は腕っぷしが強く周囲から頼られる一方で、殺人罪で服役していた過去から「人殺しのゴロー」の異名を持っていた。断片的に記憶を失っていた彼は、かつて自分が政府諜報機関の工作員だったこと、そして妻と娘がいたことなどを徐々に思い出していく。やがて、娘が難病のため心臓移植を必要としていることを知ったゴローは、娘を救うため4億円を稼ぐことを決意。そんなゴローの前に、工作員時代の同僚だった日向が現れ、闇の仕事を持ちかける…
後篇では、記憶喪失の原因をつくり、家族をも脅かそうとする敵に立ち向かう姿を描く。失われていた記憶が徐々に回復する中、世間では新型ウイルスが蔓延し、西成の仲間たちも次々と倒れていってしまう。やがて、このウイルスはゴローが国外から故意に持ち込んだものだというニュースが流れる。それは、信仰団体を装う闇の秘密結社テンキングスと手を組んだ元工作員によるデマ報道だった。やがて、ゴローは元妻と娘に魔の手が伸びていることを知る…
『ひとくず』の上西雄大さんが監督・脚本・主演を務め、ゴローの最大の敵となるフィクサーを奥田瑛二さん、元同僚の日向を津田寛治さん、元妻を山崎真実さんが演じた。

 

元々は短編だった本作。上西監督は「元々の短編を作った時は、意図が全く違う西成ゴローだった。今回、ホームレスに見えるが無茶苦茶強い、というギャップを持った西成に住むヒーローを作りたかった。そこで、短編で作ったキャラクターを持ってきて生まれ変わらせた」と違いを話す。映画プロデューサーの奥山和由さんが『ひとくず』を観て絶賛しており、直接お会いする機会があり「今後の予定を聞かれ、『西成ゴローの四億円』のラッシュを観てもらい、”一緒にやりたい”と仰って頂いた。奥山さんをリスペクトしていたので、アドバイスも聞き、追加撮影もして変更して、死闘篇につながった」と明かす。

 

加藤雅也さんも『ひとくず』を観て「これは絶対に良い映画だ」と確信し、上西さんと友人関係を築いてきた。本作では、一風変わった殺し屋ゴルゴダを演じているが、加藤さん自身は「どんな役でもやりますよ。むしろこういう役の方がおもしろい。ハゲていなかったら、『BROTHER』と被るようなキャラクターになってしまう。同じことを2回演じても意味がない。本来、俳優は変わっていく。違う役のほうがおもしろい」と楽しんでいる。上西さんは、加藤さんと話し合いながらキャラクターづくりをしており「僕のイメージをお渡しして、意気投合した」と信頼を寄せていた。木下ほうかさんも、様々な異なる役を演じているカメレオン俳優であり「僕らは基本的に断らないですよ」とふまえた上で、本作について「むしろ上西監督の場合は、演じたい。こんなシナリオを見せつけられたら、誰だって出たくなる。今作を観てヤキモチ焼いている同業者は沢山いる」と断言する。

 

名バイプレーヤーと呼ばれる俳優が多く出演している本作。上西さんは「『ひとくず』のおかげですね。皆様に観て頂いて、納得して出演して頂いている」と真摯に話す。防衛大臣役については、松原智恵子さんをキャスティングしており「よくこんな役を演じさせたな。こんな松原さんは観たことないな」と云われることを狙っており「シリーズ化を狙っているので、最終的には松原さんを総理大臣にしたい」と展望は止まらない。木下さんは「僕は腹立つような役しかやっていない」と述べ「演じる時は『あんな役をよく受けたなぁ』と云われるようになってほしい。つまり、当たり前ではない役を僕達に割り当ててほしい。前例通りの役ばかりを当てられることはありがたいけどウンザリ。誰も依頼してこないけど、僕にラブストーリーの主役をやらせてほしい」と望んでいる。加藤さんも「本来は『この人にこういうことをさせたらどうなるんだろう』と考える。現在は、無難なキャスティングになってしまっていますよね」と認識しながらも「『加藤さんならこういう役ね』と、ずっと思われてきた。その牙城を崩すためのことをかなりやったけど、徐々に…」と活動してきた。本作のキャスティングに対し「上西監督はオイシイことをやっている」と評しており「僕等にとってはプラスなんですよ。この映画がヒットして皆が観てくれたら『あんな役をやるんやぁ』と思ってもらえる。皆のハードルが下がってオファーが来れば、僕にとって良いね」と期待している。松原さんに対しても「まんざらでもない。乗り気やった。普段の役にウンザリしている、と思うよ。役者として生まれた以上は、おもろいことやりたいなと思っているから、嬉しいんじゃないかな」と察した。木下さんも「松原智恵子さんを救ったんですよ。今後も違う発想をして誰かにオファーするんじゃないですか。おもしろいよね。どんどん崩してほしい」と楽しみにしている。

 

撮影現場では大いに楽しんだ上西さん。「苦労は何もなかったですね。撮れた映像が作品になっていた。役者としての喜びがある」と実感しており「演じることは人間による受け渡しなので、力のある俳優さん達とぶつかりながら撮影できることが幸せでした」と感慨深い。とはいえ、毎回のアクションは大変であり「今回は加藤さんと共演させてもらえることもあり、大変だけどワクワクした。頑張るしかないですね」と力説する。加藤さんは「アクションもお芝居なんですよ」と改めて説きながら「体力に任せて殴り合ったり蹴り合ったりしていない。お芝居であるということを前提に僕等はやらなければいけない。勿論リアルに見えることは必要であり、効果的な動きでないといけない。気合で演じて本人が満足していても映像を観たら意味が分からないこともあるので、考えてやらないといけない」と諭す。今作では、クライマックスの戦いについて「人間のぶつかり合いになれば、アクションの凄さより、人間がどのようにぶつかっているかと見せられたら」と東映セントラルフィルムのようなアクションを意識している。

 

今作が集大成作品だと捉えている上西さん。「『ひとくず』が多くの人達を僕に引き合わせてくれて、力を添えてくれた」と受けとめており「観てもらえれば楽しんでもらえる自信があります。観てもらえなければ、伝わらない。観てもらえないで上映期間が終わってしまえば消えてしまう。多くの人に関心を持ってもらって、映画館に様々な人が来てもらって口コミが広がって、沢山の人に観て頂きたい」と心から望んでいる。木下さんは、上西さんについて「しぶとくしがみついている。『ひとくず』では、繰り返し舞台挨拶を行い、お客さんの対応をしている。そんなことはできない」と称えた。加藤さんも「『ひとくず』を良い映画と云っている人が多いが、最初の頃は見向きもしなかった人が今こぞって良い映画だと云っている。人が入っているから良い映画だと云っている。人が入ったのは本人達が舞台挨拶を何度も行い1年間ずっと上映し続け、我が子のように可愛がっているから。自分が作ったものに対しての愛情がある。本人達が作り上げたもの。なかなか出来ませんよ。必死な姿に皆が心打たれる」と揺るぎない信頼を寄せている。

 

映画『西成ゴローの四億円』は1月29日(土)より、映画『西成ゴローの四億円-死闘篇-』は2月5日(土)より、それぞれ大阪先行上映。関西では、大阪・十三の第七藝術劇場や心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋、京都・九条の京都みなみ会館や烏丸御池のアップリンク京都、神戸・元町の元町映画館で公開される。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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