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太平洋戦争終結後も約30年にわたりフィリピンに潜伏していた旧日本陸軍少尉小野田寛郎の壮絶な日々を描く『ONODA 一万夜を越えて』がいよいよ劇場公開!

2021年10月7日

(C)2021映画『ONODA』フィルム・パートナーズ(CHIPANGU、朝日新聞社、ロウタス)

 

太平洋戦争後、フィリピン・ルバング島にて小野田寛郎旧陸軍少尉が、日本に帰還するまで、約30年間にわたり過ごした壮絶な日々を描く『ONODA 一万夜を越えて』が10月8日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ONODA 一万夜を越えて』は、太平洋戦争終結後も任務解除の命令を受けられず、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に51歳で日本に帰還した小野田寛郎旧陸軍少尉の物語を、フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督が映画化。終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で秘密戦の特殊訓練を受けていた小野田寛郎は、劣勢のフィリピン・ルバング島で援軍部隊が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命じられる。出発前、教官からは「君たちには、死ぬ権利はない」と言い渡され、玉砕の許されない小野田たちは、何が起きても必ず生き延びなくてはならなかった。ルバング島の過酷なジャングルの中で食糧も不足し、仲間たちは飢えや病気で次々と倒れていく。それでも小野田は、いつか必ず救援がくると信じて仲間を鼓舞し続けるが…

 

本作では、主人公である小野田の青年期を遠藤雄弥さん、成年期を津田寛治さんが演じ、仲野太賀さん、井之脇海さん、イッセー尾形さんらが共演。2021年の第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された。

 

(C)2021映画『ONODA』フィルム・パートナーズ(CHIPANGU、朝日新聞社、ロウタス)

 

映画『ONODA 一万夜を越えて』は、10月8日(金)より全国の劇場で公開。

太平洋戦争が終わったと知らず、そのまま任務を全うしようとした人物がいた…ということは社会科の授業で教わったことがあった。実際には何人かいたのだろう。教わったのが小野田寛郎さんだったか正確には覚えていない。本作は、小野田さんの自伝ではなく、小野田さんが辿った道のりを纏めた書籍をアルチュール・アラリ監督が独自の視点で映画化している。第三者による描写であるため、言葉で多くを語らずとも、微細な表情の変化を以て、小野田さんの心象風景を丁寧に表現していた。

 

そもそも、小野田さんが備えていたポテンシャルは特別なものがなかった。空軍に入隊することを目指したが高所恐怖症により適性がなく自暴自棄になっていたところを、特別な任務によって拾われる。彼が参画し教わったのは、言いなり人間になるのではなく、自分の頭で考え最後まで生き抜くこと。大日本帝国の下にある軍隊の中で、本当にそんなことが伝えられる隊があったのか、気になるところではあるが、これまで作られてきた戦争映画にはない観点のある作品であり興味深い。この教えによってサバイバル能力を身につけ生き長らえたとも考えられる。だが、現実にある出来事の情報を与えられたとしても、素直に受け取ることが出来ず、さながら陰謀論として解釈してしまうのが切なくも憤りを感じてしまった。戦争はこうまでして人々を変えてしまうものだったのか、と痛感させられる。様々な情報が行き交う現代においても通ずるテーマが含まれており、今観る価値が大いにある意義深い作品だと云えようか。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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