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耳の聞こえない目撃者が殺人鬼から逃げる韓国発のスリラー!『殺人鬼から逃げる夜』がいよいよ劇場公開!

2021年9月17日

(C)2021 peppermint&company & CJ ENM All Rights Reserved.

 

“耳が聞こえない”目撃者が殺人鬼に追われ恐怖に耐えながら逃げ、時に立ち向かう姿と、それを楽しむように追う殺人鬼を映しだす『殺人鬼から逃げる夜』が9月24日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『殺人鬼から逃げる夜』は、耳の不自由な主人公が連続殺人鬼に追い回される恐怖の夜を描いた新感覚スリラー。聴覚障害を持つギョンミは、ある夜、会社からの帰宅途中に、血を流して倒れている女性を発見する。それは巷で起こっている連続殺人事件の犯人の仕業だった。事件現場を目撃してしまったギョンミは、殺人衝動を抑えられず人を殺してきた連続殺人犯ドシクの次のターゲットにされてしまう。全力で逃げるギョンミだったが、聴覚が不自由な彼女には追いかけてくる犯人の足音も聞こえなければ、助けを呼ぶ言葉も届かない。そんなギョンミを、ドシクはゲームを楽しむかのように追い詰めていく。

 

本作では、耳の聞こえない主人公ギョンミを『リトル・フォレスト 春夏秋冬』のチン・ギジュが演じ、スマートな表の顔とは別に殺人衝動を抑えきれない殺人鬼という裏の顔をもつドシク役を、『コンジアム』で注目されたウィ・ハジュンが務めた。監督・脚本は、これがデビュー作となる韓国映画界の新鋭クォン・オスンが担う。

 

(C)2021 peppermint&company & CJ ENM All Rights Reserved.

 

映画『殺人鬼から逃げる夜』は、9月24日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、神戸・三宮の神戸国際松竹、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSなどで公開。

「聞こえない」というハンディキャップの心細さ。自分の気持ちを伝えられない、相手が受け取ってくれない、というもどかしさや悔しさ。今までにありそうで無かった新しい設定とワンアイディアには留まらない物凄い緊張感とスピード感の傑作である。今までの映画なら、”あそこまで行けば”或いは”あの人が来れば”助かる、というパターンが通用しない時点で怖く、フラストレーションの畳みかけに悶絶。観ている最中は、「早く逃げて!」「なんで気づかないの!」と幾度も声が出そうになり、ひたすら息をのみ、悲鳴を噛み殺し、ビクッ!っと体が硬直した。目を背けたいくらい怖いのに、一瞬も目が離せない。

 

本作の英語題は「Midnight」。韓国語の原題も英語の発音をそのままハングルにした「미드나이트(ミドナイト)」。邦題は原題に情報を付け足しすぎて台無しにする、とよく言われるが、このタイトルはちょうど良い上手さだ(むしろ「ミッドナイト」だけだと後々に似たタイトルの作品群に埋もれてしまいそうな気もする)。題名の通り、主人公がひたすら殺人鬼から逃げ続ける夜の数時間を描く。恐怖をほとんどリアルタイムに近い時間の流れで体験する、絶品のサスペンスに仕上げている。

 

聾唖の主人公ギョンミは小柄な女性で、母子家庭で暮らしており、母親も聾唖者だ。様々な側面で弱い立場の要素を、一級のサスペンスのギミックとして最大限に活用しつつ、ハンデを持つ人々の様子を観た者の心に印象づけ、目を向けさせるだけの力もある。きっと、この映画を観る前と観た後とでは、今まではあまり気に留めていなかった人であっても、何か視点が変わるはずだ。「あなたなら、どうしますか?」と監督のメッセージが流れているようにも感じた。

fromNZ2.0@エヌゼット

 

王道なプロットにひとつまみのスパイスを入れてくる、これぞ韓国ノワール!な本作。逃走サイレントスリラー、すなわち「見えない」の次は「聴こえない」目撃者、というわけだ。聴覚障碍を持つ主人公のギョンミと母親コンビ VS 連続殺人鬼、さらに妹を探す元海兵隊員の兄まで加わり一夜の追走劇が描かれる。

 

周囲への助けが伝わらないもどかしさが本作の見どころだが、音に反応して光るセンサーの存在や犯人にはわからない手話を使った会話など、聴こえない・話せないことを逆手にとった演出も見事。異様に勘の悪い警官、坂の多い路地でのチェイスといった韓国ノワールの定番も散りばめられている。

 

犯人探しが肝だった一昔前とは打って変わり、近年では序盤に犯人が明かされることが多い。本作では、途中で犯人に気づいて白けてしまうことがない分、山場の作り方には手腕が問われるところ。最初は観客だけに明かされる犯人が徐々に登場人物へと迫っていく過程において、「聴こえない」というアイディアが巧みにその役割を果たしている。もちろん一筋縄ではいかないラストが用意されているので(ある意味)安心して鑑賞してほしい。そして普段であれば気づかないような視点から世界を見ることができる作品でもあった。

fromマエダミアン

 

夜中に人気のない道を一人で歩いている、としよう。すると突然、視界に白いハイヒールが転がり込んできた。まずは、驚くだろう。「うわぁ!」と派手に声を出し兼ねない状況だ。次に、あなたならどうする? 投げ出された方を確認する? それとも見て見ぬふりをして足早にそこを去る────?本作はこのような状況下で、主人公ギョンミの取った行動から、彼女自身が大変な事態に巻き込まれてしまうパニック・スリラー。

 

特筆すべき部分として、彼女は耳が聞こえないこと。普通のスリラー映画では味わえない緊張感を加速させる。鑑賞しながら動悸がしばらく止まらなざるを得ない状況に陥ってしまう。先を知ることが怖くて、スクリーンの前から去りたくなってしまった。結末を知った後でさえも落ち着くことが出来ない。こんなに恐ろしい気分にさせられた映画を観たのはいつぶりだろうか。

 

スリラー映画には必ずある、無理解な登場人物たちのやりとりや、真実を知った助っ人が殺人鬼に殺されそうになる展開もセオリーに則っていながら充実の出来栄え。演出と展開が突出して素晴らしく、観る人を崖から突き落としては、手を差しのべる脚本には恐れ慄く。本作は完全オリジナル作品であり、監督は天才だと云いたい。興味深かったのは、聴覚障害を持った人の生活を垣間見れたこと(演じたチン・ギジュ自身は健常者なので驚かされる)。映画なので誇張はあるかもしれないが、普段から身を守る手段としてどういった防犯を施しているのかを知るきっかけになった。障碍者を主題とした映画は少なく、本作のようなエンターテインメント映画がもっと増えてもよいのではないか。最高のパニック体験をぜひ大きなスクリーンで体験して欲しい。本当に怖いから。

from君山

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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