第2次世界大戦時の日本兵捕虜脱走事件の背景を追うドキュメンタリー『カウラは忘れない』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)瀬戸内海放送
第2次世界大戦中、カウラ第十二捕虜収容所にて発生した日本人捕虜1104人による史上最多の集団脱走事件“カウラ事件”について生存者をはじめさまざまな人々の証言を通して事件の真相に迫っていく『カウラは忘れない』が9月9日(木)より関西の劇場でも公開される。
映画『カウラは忘れない』は、第2次世界大戦中のオーストラリアで起こった集団捕虜脱走「カウラ事件」の真相に迫ったドキュメンタリー。1944年8月、オーストラリアの田舎町カウラにあった捕虜収容所で、近代戦史上最大規模の捕虜脱走事件が発生した。1000人を超える日本人捕虜が集団で脱走を試み、日本人捕虜234人、オーストラリア人の監視兵ら4人が死亡。日本人捕虜の目的は生き延びるための「脱走」ではなく「死」であり、その背景には「捕虜を恥」とする旧日本軍の教義や当時の日本の「空気」があった。事件の生存者たちの証言を交えながら決行に至るまでの経緯を明らかにし、生存者に今なお残る悔恨、その思いを受け止めようとする若者や演劇人、そして事件を教訓に和解への道を歩んできたカウラの人々の姿を映し出す。監督は、旧日本軍の贖罪と和解に生涯を捧げた永瀬隆を取材したドキュメンタリー『クワイ河に虹をかけた男』の満田康弘さん。
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映画『カウラは忘れない』は、関西では、9月9日(木)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、9月17日(金)より京都・九条の京都みなみ会館、9月25日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。
第2次世界大戦時の日本兵捕虜脱走事件…と聞くと、過酷な強制労働からの脱出という目的があったのかな?と思ったら、そうではなかった。収容所の中という制限はあったが、敷地内での拘束はなく、バットが用意され皮を縫製してグローブを作成して野球をすることまで出来たという…一定の自由が保たれたようだ。この自由は逆恨みを恐れた故に執った措置のようである。だが、戦時中の日本兵にとっては、「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」という訓令が浸透し、”捕虜を恥”とする旧日本軍の教義や当時の日本における同調圧力が大きかったようだ。脱走には反対した日本人もいたが、当時の”空気”に追いやられことが切なすぎる。
事件の生存者も勿論存在し、無事に日本へ帰国出来た。誰も当時の出来事を忘れられない。それは、カウラの方も同様だ。事件から70年を経ても周年行事が行われている。劇団「燐光群」の舞台が披露されており、日本兵の行動に対して冷静に受けとめ、諭す構成となっていた。良い意味でこの事件を残していくための舞台となっている。故に本作のタイトルに込められた意味に気づかされた。
- キネ坊主
- 映画ライター
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