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第2次世界大戦におけるマレーシアの歴史と、1組の男女の切ない恋を描く『夕霧花園』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2021年8月10日

(C)2019 ASTRO SHAW, HBO ASIA, FINAS, CJ ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED2019 ASTRO SHAW, HBO ASIA, FINAS, CJ ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED

 

第2次世界大戦中のマレーシアの歴史を背景に、3つの時間軸を通して一組の男女の切ない恋を映し出す『夕霧花園』が8月13日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『夕霧花園』は、亡き妹の夢だった日本庭園造りに挑むマレーシア人女性と日本人庭師の切ない恋を、戦中の1940年代、戦後の1950年代、1980年代の3つの時間軸で描き出す。1980年代、マレーシアで史上2人目の女性裁判官となったユンリンは、さらなるキャリアアップを図るべく奮闘していた。そんなある日、かつて愛した日本人庭師・中村が、終戦時に日本軍が埋めたとされる埋蔵金にまつわるスパイ疑惑をかけられていることを知り、彼の潔白を証明するため立ち上がる。

 

本作は、マレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説「The Garden of Evening Mists」を原作に、『百日告別』等で知られる台湾恋愛映画の名手トム・リンが監督を務めた。主人公の中村は阿部寛さん、若き日のユンリンは『the EYE アイ』等で知られるマレーシアのリー・シンジエ、後年のユンリンはシルヴィア・チャンがそれぞれ演じる。

 

(C)2019 ASTRO SHAW, HBO ASIA, FINAS, CJ ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED2019 ASTRO SHAW, HBO ASIA, FINAS, CJ ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED

 

映画『夕霧花園』は、関西では、8月13日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、9月17日(金)より京都・烏丸の京都シネマで公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。

これまではファンタジー要素があったり、爽やかな青春を詰め込んだ恋愛ドラマを撮ったりしてきた、台湾のトム・リン監督。今回、マレーシアの作家タン・トゥアンエンによる小説「The Garden of Evening Mists」を映画化し、幻想的でミステリアスな歴史ラブストーリーに仕上げている。監督自ら阿部寛さんにダメ元でオファーしているのが興味深い。何気にこれまでに外国映画に3作出演しており、改めてアジアで知られている俳優だと思い知らされた。そして、台湾を代表する女優シルヴィア・チャンがキャスティングされ盤石な出演陣である。

 

第二次世界大戦中の1940年代、イギリスの植民地だったマラヤ(現在のマレーシア)を日本軍が占領し、現地の住民は強制労働に駆り出され、さらには惨たらしい館まで作り…かつて日本軍が占領地で行ってきた酷いことをよくぞ映像化し、昨年の大阪アジアン映画祭でオープニング作品として上映したことに畏れ入る。さらに無事に劇場公開と至る。よくぞ公開してくれた。戦後の1950年代、独立に向けて動き出していく中で共産分子からの襲撃に恐怖を感じながらも、亡き妹が望んだ庭園を実現するべく、達観した技術と美的感覚を備えた日本人庭師兼彫師の中村に教えを司った主人公のユンリン。日本人に対して悲しみと憎しみを抱えながらも、どこかミステリアスで孤独な中村に惹かれていくユンリンが次第に凛とした女性へと変化する過程を丁寧に描いていく。1980年代、マレーシアで史上二人目の女性裁判官のキャリアをユンリンは持ち、連邦裁判所事を目指していくなかで中村の真意を探る。ユンリンの背中に彫った刺青が持つ意味に気づかされた時、本作がミステリアスに練り込まれたラブストーリーであることに気づかされた。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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