メイドカフェで働く人見知りな津軽弁少女の奮闘と成長を描く『いとみち』がいよいよ劇場公開!
(C)2021『いとみち』製作委員会
津軽三味線が特技の内気な少女が、自分を変えるためにメイドカフェで働き、多くの人と触れ合いながら成長する様を描く『いとみち』が6月25日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『いとみち』は、青森県・津軽を舞台に、メイドカフェで働く人見知りな津軽弁少女の奮闘と成長を描いた青春ドラマ。弘前市の高校に通う16歳の相馬いと。三味線を弾く時に爪にできる溝「糸道(いとみち)」を名前の由来に持つ彼女は、祖母と亡き母から引き継いだ津軽三味線が特技だが、強い津軽弁と人見知りのせいで本当の自分を誰にも見せられずにいた。そんなある日、思い切って津軽メイド珈琲店でアルバイトを始めたことで、彼女の日常は大きく変わり始める。
本作は、『ウルトラミラクルラブストーリー』の横浜聡子監督が越谷オサムさんの小説を実写映画化し、『名前』の駒井蓮さんが主演を務めた。いとを心配しながらも見守る父を豊川悦司さん、津軽メイド珈琲店の怪しげなオーナーをお笑いタレントの古坂大魔王さん、シングルマザーの先輩メイドを『二十六夜待ち』の黒川芽以さんがそれぞれ演じる。
(C)2021『いとみち』製作委員会
映画『いとみち』は、6月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、6月25日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田と心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋と京都・烏丸の京都シネマ、6月26日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。
美しいタイトルバックに息をのみ、ラストカットに笑みがあふれる。青森の自然の風景も街並みの景色も、人々のゆったりした優しさも、すべてが気持ち良い。本作は、今春に開催された「第16回大阪アジアン映画祭」で「グランプリ」と「観客賞」をダブル受賞した。審査員と会場の一般客との両方からダントツに支持されたという証であり、本映画祭でも滅多にない(これまで2015年に一度だけあった)。今年は海外からの審査員を招くことが出来なかったため、日本人だけによる審査で邦画を選ぶことについては熟考が求められたが、満場一致での結果だった、という。
劇中では、県外から青森に移り住んだ人物に「聞き取れるようになるまで、だいたい30年くらいかかった」と言わしめる津軽弁。時には聞き取りづらいセリフもあり、日本語字幕も無い。だが、登場人物達が話していることはほぼ分かるため、会話が理解できなくなることはない。「あ、『へばな~』は『バイバイ~』という意味なのか」と気づくようなシーンが多く、観ていて楽しいくらいだ。カメラが向けられた青森の画には想いが強く込められており、劇中のとある職業の人達からは「もしかしたら俳優ではなく本職の方々なのかな」と思わせるような目くばせもあり、現地への親しみやすさを後押ししている。前の戦争での青森への空襲について語られる場面もあり、短くも印象に残らざるを得ない。次に青森を訪れた際は「ごすずんさま、おがえりなせいませ」と迎えてくれ、三味線の演奏が聴けるメイドカフェはないけれども、青森のリンゴで作られた美味しいアップルパイが食べられるカフェを探してみたいな。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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