ファストファッションブランドを経営し、業界トップにまで上り詰めた人物の栄光と転落が描かれる『グリード ファストファッション帝国の真実』がいよいよ劇場公開!
(C)2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
2020年に破産した“アルカディア・グループ”のオーナー、フィリップ・グリーン卿をモデルにしたブラックコメディ『グリード ファストファッション帝国の真実』が6月18日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『グリード ファストファッション帝国の真実』は、ファストファッションブランド経営者の栄光と転落をブラックユーモアを織り交ぜながら描き、ファッションビジネスの闇に鋭く切り込んだ社会派ドラマ。ファストファッションブランドの経営で財を成したリチャード・マクリディは、自身の還暦パーティを盛大に祝うため、ギリシャのミコノス島へやって来る。イギリス当局から脱税疑惑や縫製工場の労働問題を追及されたリチャードは、このパーティでかつての威光を取り戻そうとしていた。しかし、傲慢に振舞うリチャードと周囲との間には不協和音が生じはじめ…
本作では、『イン・ディス・ワールド』『グアンタナモ、僕達が見た真実』のマイケル・ウィンターボトム監督が、「TOPSHOP」などを保有していたアルカディア・グループのオーナー、フィリップ・グリーン卿をモデルに描いた。ウィンターボトム監督とは今作で7度目のタッグとなるスティーブ・クーガンが主人公を怪演。『グランド・イリュージョン』のアイラ・フィッシャー、『トレインスポッティング』のシャーリー・ヘンダーソン、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』のエイサ・バターフィールドが共演している。
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映画『グリード ファストファッション帝国の真実』は、6月18日(金)より、京都・烏丸の京都シネマ、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSをはじめ、全国の劇場で公開。
いわゆるファストファッションとされるTOPSHOP などを経営してきたアルカディア・グループのオーナーであるフィリップ・グリーン卿をモデルにした本作。グリーン卿自身は高校を中退しながらも、独自のビジネス法を用いて莫大な資産を手に入れたイギリス屈指の実業家である。本作では、リチャード・マクリディという独自のキャラクタ–を以て描いていく。高校生時代は、周囲に対して斜に構え、自身の能力を発揮できるはずがない、と潔く中退し、ビジネスの世界に進んでいった。既に出来上がっているファッション業界に対して、強引なまでの値下げ交渉を行い、自らの利益を最大限にする手法はいつか限界が来ることを否が応でも察してしまう。しかし、彼の行動力が制してしまうことが多々あった。まさに闇の”カリスマ”だったと云えるかもしれない。その陰には母親の存在が大きかっただろうか。この子にしてこの親か…と思えるほどに憎たらしい存在だった。
アルカディア・グループは、昨年に破産している。変化していく市場に気づけば追いついていけず、人員や店舗のリストラをしても結局コロナ禍が追い打ちをかけてしまった。されど、セクシャルハラスメントおよび人種差別的行動などの疑いで警察の捜査対象にもなってしまう。本作の場合、かつての威光を取り戻そうと還暦パーティーを開催したが、衝撃の結末を迎えてしまう。正直に云えば、こうなってほしいと願ってしまったことが具現化されており、ホッとした気持ちもある。なお、本作を手掛けたマイケル・ウィンターボトム監督は『24アワー・パーティー・ピープル』をはじめ、ある人物やトレンドの様相や栄枯盛衰を描いてきた。本作の場合、モデルにした人物があったうえで、現代の世相をしっかりと取り入れている。世論を受け入れるのではなく、描くべきテーマを設定しており、仮に後味が悪く感じたとしても一種の爽快さも感じ得る作品と云えようか。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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