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石川瑠華を中心にしたスキがなく恐ろしい作品が世に放たれた…『猿楽町で会いましょう』児山隆監督とミルクマン斉藤さんによるアフタートーク開催!

2021年6月6日

渋谷の猿楽町を舞台に、純朴そうだが実は嘘だらけの女の子と、新前カメラマンの恋愛を描く『猿楽町で会いましょう』が全国の劇場で公開中。6月6日(日)には、京都・出町柳の出町座で児山隆監督と映画評論家のミルクマン斉藤さんによるアフタートークが開催された。

 

映画『猿楽町で会いましょう』は、駆け出しのフォトグラファーと読者モデルの関係を軸にした物語。鳴かず飛ばずの写真家・小山田と読者モデルのユカ。2人は次第に距離を縮めていくが、ユカは小山田に体を許そうとはしなかった。そんな中、小山田が撮影した彼女の写真が2人の運命を大きく変えることになる。
本作は、第2回未完成映画予告編大賞MI-CANでグランプリを受賞した児山隆監督が、受賞作を長編監督デビュー作として映画化。『劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD』の金子大地さんが小山田役、『イソップの思うつぼ』『左様なら』の石川瑠華さんがユカ役を演じるほか、栁俊太郎さん、小西桜子さん、前野健太さんらが脇を固める。

 

上映後、児山隆監督と映画評論家のミルクマン斉藤さんが登壇しアフタートークを展開。昨年いち早く本作を鑑賞したミルクマン斉藤さんならではの作品に関する読み解きを聞ける機会となった。

 

  • 【石川瑠華が世に知られる絶好の作品】

ミルクマン斉藤さん:

(くまもと復興映画祭2020 で本作を鑑賞し)こんなにもスキがなく恐ろしい作品。打ち上げでも、プロの技術者が絶賛していた。

児山監督:

僕の周りだけおじさんが取り囲んで、最高でしたね。

ミルクマン斉藤さん:

石川瑠華という恐るべき女優が出てきたことに衝撃を受けている方が多い、と思います。役と本人を同一視してしまうことがあるが、彼女はよく映画を観て分析している。

児山監督:

彼女は理系なんですよね。話していることが論理的。だけど、論理性と感情の矛盾が彼女にはあり、不思議な佇まいになっている。彼女自身も演じたことで変わったかもしれない。映画の中で疑似体験してしまったが故に変わったように感じる。

石川さんの友人から「瑠華を見つけてくれてありがとう」と言われました。この映画で石川さんは様々な人に見つかっていくんだろうな、と感慨に耽っています。

ミルクマン斉藤さん:

あまりにも強烈な役だからイメージづいてしまうかもしれない。でも、すり抜けていくかもしれない。

児山監督:

結局、どんな人なのか分からない。ユカを定義づけられない。

ミルクマン斉藤さん:

金子(大地)君は前編に渡って受けの芝居。しっかり石川瑠華を立てていて素晴らしい。今までのベストアクトだね。

児山監督:

金子君は、舞台挨拶後に「最初から関係者の視点は石川瑠華に向いていた。自分は最初から石川瑠華の業を引き出す役割をやるしかない」と語った。ずっと金子くんは彼女をどうしていくか考えて演じてくれていた。石川さんの演技に彼も引っ張られることもあり、彼自身も驚いた。しかし、自分はこの映画の主役だという思いもあり、最後のシーンは現場で考えました。

 

  • 【石川瑠華を中心にしたバランスあるキャスティング】

児山監督:

石川さんだけ決まっていました。企画立ち上げの時、有名ではなかった。そもそもInstagramで偶然見つけ、未完成映画予告編大賞MI-CANでの作品への出演をオファーした。「本編は石川さんでしか撮れない。他の人なら石川さんの真似だと思われる。その人にとっても大変、生半可には演じられない」とプロデューサーに話しました。

ミルクマン斉藤さん:

柳俊太郎や小西桜子は一年前ではあまり知られていなかった。

児山監督:

本編を撮るにあたり、石川さんの次に柳さんが頭に浮かんでいました。でも、舞台挨拶では柳さんがかなり緊張していて…皆が驚いていた。

ミルクマン斉藤さん:

前野健太さんを選ぶセンスが凄いな。嫌な中年男の典型。

児山監督:

マエケンさんは勉強熱心ですね。キャスティングの方に勧めてもらった。どうしようか悩んでいた。前野さんっぽい人か年を取って格好良いファッション雑誌の編集長のどちらか。どちらが小山田が嫌がるか考えてみた。キャラクターのリアリティか経験値があるが見た目はおじさんになっているか。こっちでも敵わないと思ってしまうような配置も必要。ミュージシャンには独特の色気がある。

ミルクマン斉藤さん:

大窪人衛さんは舞台俳優ですね。

児山監督:

キャスティング担当者が勧めてくれた。オーディションに来て、あの声がいいなぁ、と。

ミルクマン斉藤さん:

それぞれがキャラクターがあり、役を演じている。バランスがとれている。基本的には二人だけの世界の映画なので。

児山監督:

ユカに関わる人はユカに負荷をかける。どのような負荷をかけるか、キャスティングの段階で安定していないと厳しい。石川さんのリズムがあり、石川に対するあらゆる負荷をかけるバランスが必要。

 

  • 【春ねむりによる映画を追体験できる主題歌】

児山監督:

元々、彼女を知っており過去の音源を聞いていた。劇伴のプロデューサーと話していくなかで、映画を観ておらず、予告編だけを観た中でデモを書いてもらっていた。一節目に登場するのは、片方だけのイヤリングというリリック。映画を観ていないのにシンクロしていて驚きながら、正式にお願いした。先入観がなくて良かった。観過ぎて感情移入し過ぎると拡がらない。映画は時間の芸術。あのエンディングは数カ月間の話で時間を凝縮した2時間を更に凝縮しており、追体験できる。

ミルクマン斉藤さん:

とんでもない映画を観た、地獄の青春映画だ、と皆が言う。大阪のメイン劇場はまだやっていないので、関西文化圏としてメインの大阪が開けばもっと広まる。その前に京都で話題に上って大阪で公開されたらどぉ〜と行くんじゃないかな。間違いなく今年の日本映画界のベスト1候補です。

 

ミルクマン斉藤さんによる絶賛の声と共に、お客さんからの質問に答えながらさらに盛り上がったのちに、アフタートークは締め括られた。

 

映画『猿楽町で会いましょう』は、全国の劇場で公開中。関西では京都・出町柳の出町座で公開中。また、7月2日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田でも公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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