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女人禁制の伝統儀式に飛び込んだ女性の受難を描く『ペトルーニャに祝福を』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2021年6月8日

(C)Sisters and Brother Mitevski Production, Entre Chien et Loup, Vertigo.Spiritus Movens Production, DueuxiemeLigne Films, EZ Films-2019 All rights reserved

 

北マケドニアの小さな街を舞台に、女人禁制の伝統儀式に参加してしまった女性が巻き起こす騒動をユーモアと皮肉たっぷりに描き出す『ペトルーニャに祝福を』が6月11日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『ペトルーニャに祝福を』は、北マケドニアの小さな町を舞台に、女人禁制の伝統儀式に参加してしまった女性が巻き込まれる騒動を、オフビートな笑いにのせて描いたドラマ。北マケドニアの小さな町、シュティプに暮らす32歳のペトルーニャは、美人でもなく、太めの体型で恋人もおらず、大学を出たのに仕事はウェイトレスのアルバイトしかない。ある日、主義を曲げてのぞんだ面接でも、セクハラを受けたうえに不採用になってしまう。その帰り道、ペトルーニャは地元の伝統儀式に遭遇する。それは、司祭が川に投げ入れた十字架を男たちが追いかけ、手に入れた者には幸せが訪れるというものだった。ペトルーニャは思わず川に飛び込み十字架を手にするが、女人禁制の儀式に参加したことで男たちから猛反発を受けてしまい…

 

本作は、2019年の第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、エキュメニカル審査員賞他を受賞。監督は旧ユーゴスラビア(現・北マケドニア)出身で、これが長編5作目となる女性監督テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ。“女性の幸せ探し”というテーマを、今日的な視点で追求した一作である。

 

(C)Sisters and Brother Mitevski Production, Entre Chien et Loup, Vertigo.Spiritus Movens Production, DueuxiemeLigne Films, EZ Films-2019 All rights reserved

 

映画『ペトルーニャに祝福を』は、関西では、6月11日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、7月9日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

女人禁制の伝統儀式にて偶然にも”幸福”を手にしてしまった主人公のペトルーニャ。本来ならば祝福されるべきことなのに、待ち構えていたのは男性から非難の嵐。罪を犯したわけでもない警察に連行されてしまう始末。いかんともしがたい不条理としか言いようがない。されど、ペトルーニャは負けなかった。堂々としている。大学で歴史を学び、さらに活かした仕事が出来ずとも、紹介してもらった縫製工場の面接を受けたらパワハラ・セクハラを受けたとしても己の確固たる意思を以て生きてきたペトルーニャは強い。

 

警察に連行された後も堂々とした佇まいだ。勿論だ、何も悪いことはしていない。警察だけでなく、ペトルーニャの姿を独自で取材して一躍有名になろうとしているジャーナリストの女性は単なる意識が高いだけの人間にしか見えなかった。ペトルーニャを守ろうとしている建前だけは見せる司祭に至っては、正教本部からの圧力との板挟みによって立ち位置が定まらない。”幸福”を獲得し損ねた男性の大群は最早愚か者にしか見えず。ペトルーニャにとっては解放されるまでの時間を待つしかないが、むしろリラックスしているようにすら見えてしまう。取り調べを受けている際の背景にある写真のような壁紙は実際には存在しないように思えるが、ペトルーニャを讃えているかのように思えて、矛盾が起きていることを暗に示しているかのように感じる。

 

最終的にペトルーニャのところに戻ってきた”幸福”は、もはや本物には見えなかった。そんな”幸福”をいつまでも大切に持っておこうとはせず、不要なものとして返している。彼女が進んでいく道には明るい光の兆しがあるように受けとめた。その先に本当の幸福があるのだと信じたい。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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