うさぎの着ぐるみによる2つの事件に隠された謎と悲しい真実が描かれる『FUNNY BUNNY』がいよいよ劇場公開!
(C)2021「FUNNY BUNNY」製作委員会
自殺志願者を見分ける能力を持つ青年が突飛な行動で巻き起こす騒動を、謎が謎を呼ぶ展開で描き出す『FUNNY BUNNY』が4月29日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『FUNNY BUNNY』は、自殺志願者を見分ける能力を持つ自称小説家の男が自らの正義のもとに巻き起こす奇想天外な騒動を描く。自称小説家の剣持聡と親友の漆原聡は、ウサギの着ぐるみに身を包んで区立図書館へ向かう。彼らの目的は、図書館を襲撃することだった。数年後、もう1つの事件である「ラジオ局電波ジャック」が起きる。やがて、2つの事件に隠された謎と悲しい真実が明らかになる。
本作は、『ステップ』『虹色デイズ』の飯塚健監督によるオリジナル戯曲で、2012年に上演された舞台劇を監督自らのメガホンで映画化。『虹色デイズ』でも飯塚監督と組んだ中川大志さんが主演としてを剣持聡役を務め、剣持の相棒である漆原役を『ポエトリーエンジェル』の岡山天音さんが演じた。また、関めぐみさん、森田想さん、レイニさん、ゆうたろうさん、田中俊介さん、佐野弘樹さん、山中聡さん、落合モトキさん、角田晃広(東京03)さん、菅原大吉さんがキャストに名を連ねる。
(C)2021「FUNNY BUNNY」製作委員会
映画『FUNNY BUNNY』は、4月29日(金)より全国の劇場で公開。関西では、4月29日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、5月1日(土)より大阪・十三のシアターセブン、5月8日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。なお、4月29日(金)auスマートパスプレミアムで配信も行われ、税込548円の月額料金だけで視聴可能となっている(同サービスはauユーザーに限らず、スマートフォン・タブレットを持っているすべての人が利用可能)。
本作で中川大志さんが演じる主人公の剣持聡は、自らを「人殺し」だと語る。高校生時代に起きた事件によって、自らをそう自称せざるを得ないのは切ない。作中では、正義感が強くて周りの人を救いたいと思っている一方で、自分が抱えているものには触れてほしくないと考えている人物として描かれている。貪欲に人助けをするヒーローの一面と、過去の経験を1人で抱え込もうとするダークな一面を持っており、ダークヒーローという捉え方は興味深い。矛盾している考え方であり、自分勝手のように感じるかもしれないが、このアンバランスさは誰もが持っているものであり、強さの中に弱さが垣間見え、観客が共感できる要素とも云えるだろうか。痛みを知っているからこそ、他人を助けずにはいられないキャラクターを中川大志さんが印象的に演じきっている。
剣持聡は「世界を救うのはいつだって、想像力だ」と力説していく。そうだ、自身が生きる世界に対して絶望しか抱けなくなったとしても、想像力次第で違って見えるようになるかもしれない。ひょっとしたら、奇跡みたいなことが起こるかもしれないと思ったら、まだ少しだけ生きていくことに対して夢や希望をいだけるかも。そんなことを本作は教えてくれる。映画だからこそ起こせる奇跡、エモーショナルに描き、胸を鷲掴みされてしまった。こういった体験はやはり劇場の大きなスクリーンで体験したい。スマートフォン上で楽しむのは、劇場で感じた余韻をリピートで楽しむ方でいいんじゃないかな。
なお、タイトルの『FUNNY BUNNY』だが、個人的には、バンドthe pillowsの楽曲「Funny Bunny」を想起してならない。”キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ”から始まるサビのフレーズは本作にもピッタリだと思える。もし可能なら、原作・脚本も担っている飯塚健監督にこのあたりの真相を是非とも聞いてみたい!
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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