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様々な子ども達が無意識にお互いを意識し合いながら集う場があった…『ゆめパのじかん』重江良樹監督に聞く!

2022年7月22日

神奈川県の川崎市子ども夢パーク、通称“ゆめパ”に関わる人々と、訪れる子どもたちに迫ったドキュメンタリー『ゆめパのじかん』が7月23日(土)より関西の劇場でも公開される。今回、重江良樹監督にインタビューを行った。

 

映画『ゆめパのじかん』は、神奈川県川崎市で2000年に制定された「川崎市子どもの権利に関する条例」の下、2003年7月に川崎市高津区にオープンした子どものための遊び場「川崎市子ども夢パーク」、通称「ゆめパ」を舞台にしたドキュメンタリー。約1万平方メートルの広大な工場跡地につくられた「ゆめパ」は、プレイパークエリア、音楽スタジオ、創作スペース、ゴロゴロ過ごせる部屋、学校に行っていない子どものためのスペースなど、子どもたちの「やってみたい」ことを実現させるさまざまな施設がそろう。この「ゆめパ」という場所を通じ、乳幼児から高校生くらいまで幅広い年齢層の子どもたちと彼らに関わる大人たちによって生み出される居場所の力、悩みながらも自身が考えて歩もうとする子どもの力が描かれる。

 

「驚きと羨望の眼差し」と重江監督自身が話す、川崎市子ども夢パーク。前作『さとにきたらええやん』に近い要素があると感じるが「常に子どもを真ん中に置いて考える居場所で、子ども達が持つ〈子どもの力〉が発揮されているので内容は近い。僕の中では兄弟姉妹な作品となり、凄く嬉しい」と監督も喜んでいる。

 

川崎市が出資し民間団体に委託して運営しており、常設スタッフを配置しているスペースは、この規模では類を見ない規模だ。プレイパーク、と呼ばれる冒険的な遊び場は関西や東京にも存在し、地域の方が運営しているパターンが多い。運営するための理念は近く、子ども達が取り組んでみたいことを尊重しており、自己責任で自由に遊んでもらっている。とはいえ、「ゆめパ」のような特別な仕様が揃っているものは珍しく「プレイパークが存在し、施設内に学校に行けない子達の学びや居場所を保障するフリースペースがある。フリースクールではなくフリースペース。教育に重きを置いていない。子ども達が1日の中で何をするか、子ども達が決める場所」と説く。「あくまで教育施設ではない。時間割もなく強制するものはない。子ども達自身が自分で選んでいく。皆が知らず知らずのうちにお互いに無意識の中で意識し合って、様々な年齢の子ども達が集う場」だと述べ「好きなことに思い切り没頭している子がいれば、勉強が出来ないことに悩み始める子もいる。夢や進路を意識し始める子がいれば、やりたいことを仕事にしたくて学校に行くために高卒認定試験を目指す子までいる」と、ゆめパの醍醐味を話す。ゆめパを運営しているNPO「フリースペースたまりば」の理念は、常に子どもを中心に置いて、子どもの利益を大切にして考えている。「上から目線ではなく、子どもを1人の人間として捉えて同じ目線の高さで対話しながら共に過ごしていく観点を持った民間団体が運営している」と理解しており「学校復帰や学力向上を目的にしていない。どうすれば1人1人の子ども達が幸せに生きていけるか考える場なので、特色があるのかな。口出しや干渉もしないが、大怪我や命に関わる危険な事象は指摘していく。子ども達の行動を尊重していく場ですね」と真摯に受けとめていた。

 

ドキュメンタリー映画を制作するにあたり、いきなり撮影を始めず、場に馴染んでいくことから始めており「初めて会う子ども達だし、繊細な子どももいる。僕が子どもの立場なら、いきなり来た大人がカメラで撮影ばかりしていたら、反感を抱いてしまう」と子どもの立場になって考え「まずは僕を知ってもらう時間。僕が皆を知るための時間でもありました」と振り返る。撮影を始めてからも「映りたくない子はいたから、映さないようにはしてきた。ここは映画で使わないで、と云われたら使わないように」と気をつけていた。なお、最初に自己紹介で「皆には当たり前にゆめパがあるけど、ゆめパがない子が沢山いる。必要としている子が沢山いる。皆のゆめパでの日常を撮らせてもらうことで、必要としている子達の周りにも、こんな場所が出来るかもしれない」と話している。今作では特に4人の子ども達を中心にして追いかけており「虫をずっと見ていたリクトが『将来は投資家になりたい。趣味を仕事にしない』と聞けたり、木工に取り組んでいたサワが進路について模索を始めたりしたことで、映画のゴールが見えましたね」と納得して、撮影を終えられた。編集にあたり「子どもの力が感じられるカットがある良いシーンを使ってほしいので、分類して編集の方に依頼し構成してもらった」と明かし、映画的な構成を組み立てるために、構成担当と編集担当と監督による議論をしながら汲み上げ、完成に至っている。

 

出来上がった作品は、スタッフさん達に観てもらいどんな塩梅か確認し、メインで出てくれている子ども達や保護者の方に内覧試写で観てもらった。反応は様々で「思っていたより綺麗に映っていたね」「いつものゆめパだぁ」「私達の大事なゆめパをしっかり伝えてください」と子ども達にも云われ「身の引き締まる思い、頑張ります」と劇場公開を迎えている。既に東京の劇場では公開されており、前作と同じく「私の子どもにもこんな居場所があったらなぁ」「別の場所に行っていますがイマイチなんですよね」「悩むことは恥ずかしいことだと思っていたけど格好良いと思えるようになった」と様々な反応を頂いた。お客さんの中には学校の先生もおられ「遊びの中で子ども達が考えることで育っていると感じるし、サードプレイスの必要性も感じている」という感想もあり「学校と居場所が反目し合うのではなく、各々が出来ることを以て一緒に共同で一人の子どもがどうしたら楽しく生きていけるか考えられるような社会になったらなぁ」と重江監督と期待している。前作・今作と子ども達の居場所に関する作品を制作しており、拘っているわけではないが、三部作の構想は朧気には考えており「日本に来る外国人が増えているので、この国の人達は本気で外国人と共存していく考えがあるのか、様々なことが気になるので、外国にルーツがある子ども達や若者のことが興味ありますね」と語った。

 

映画『ゆめパのじかん』は、関西では、7月23日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場や、7月29日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、8月6日(土)より神戸・元町の元町映画館でも近日公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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