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ヒップホップ黎明期を映したドキュメンタリー『Style Wars』(デジタル修復版)がいよいよ劇場公開!

2021年3月18日

(C)MCMLXXXIII Public Art Films, Inc. All Rights Reserved

 

1970~80年代のニューヨーク・サウスブロンクスで生まれたスプレーアート“グラフィティ”を題材に捉えたドキュメンタリー『Style Wars』(デジタル修復版)が3月26日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『Style Wars』(デジタル修復版)は、ヒップホップ黎明期を記録したドキュメンタリー。1970~80年代初頭のニューヨーク、サウスブロンクスで生まれたスプレーアート「グラフィティ」を題材に取り上げた作品で、ラップやブレイキン(ブレイクダンス)など、後に「ヒップホップ」として世界中の人々を魅了するカルチャーが誕生する貴重な瞬間が捉えられている。同時期に製作された映画「ワイルド・スタイル」とともに、ヒップホップファンのバイブルとして語り継がれてきた。

 

本作は、貧困や犯罪が蔓延する地区で、まったく新しいサブカルチャーを生み出した少年たちの姿を映し出す。ラップやブレイキンが誕生する貴重な映像も収められた伝説の一作が、約40年の時を経てスクリーンでよみがえる。

 

(C)MCMLXXXIII Public Art Films, Inc. All Rights Reserved

 

映画『Style Wars』(デジタル修復版)は、3月26日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田と心斎橋のシネマート心斎橋と京都・烏丸御池のアップリンク京都、5月15日(土)より神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開。

1970年代にニューヨークのブロンクス地区で生まれたヒップホップ。1981〜83年に製作された本作は、カルチャー創成期の空気をそのままラッピングした貴重なドキュメンタリーだ。しかしアンダーグラウンドなものの実情を晒すことに当時は批判もあった、という(バンクシーの作品が美術館に並んでいる滑稽さを考えると、その気持ちはよく理解できる)。だが、本作が記録したものは単なるアートの制作過程ではない。グラフィティを取り巻くパラドックス、つまり一部の若者を熱狂させる一方で、社会問題とされ、理解されないまま浸透していくことの歪さを誠実に映している。

「社会」にとって、電車が汚れることこそが問題なのだ。という皮肉的なメッセージのようでもあり、一方で文化が生まれた背景として、コインの表裏のように切り離すことのできない両者の関係が対比される。何より製作から40年もの時が経った今もなお、本作が追いかけたものに魅了されている人々がいることを考えると、その歴史的な意義は計り知れない。まさしくタイムカプセルのように開けた瞬間、目の前でヒップホップが生まれる瞬間を目撃し、混沌とした時代の中に生きて高揚する気持ちを体験するだろう。

 

”数はともかく 心は少数派”は、言わずとしれた日本語ラップの名曲、RHYMESTERによる『B-BOYイズム』の一節。ヒップホップがどれだけメジャーになっても、メインカルチャーのカウンター文化として生まれた精神こそ、それに傾倒する我々が持ち続けるべき「イズム」だ、とは言っていたんだろう。本作を観ながら、ぼんやりそんなことを考えた。

fromマエダミアン

 

近年、音楽の流行として様々なジャンルにその一面を取り入れられ、すっかりスタンダードとなってきた「ヒップホップ」。ヒップホップとしてのカルチャーを学ぶ時、決して避けられない2本の映画がある。ひとつは、ヒップホップ誕生前夜に生まれ、このムーブメントの源流となった『ワイルド・スタイル』。そしてもう一つが本作、『スタイル・ウォーズ』である。ヒップホップの4大要素と云われる、グラフィティ、ラップ、DJ、ブレイキング。その中でも、本作はグラフィティを中心に描かれたドキュメンタリーとなっており、新しいカルチャーを手探りながらも、自ら表現して行くその様、葛藤を、垣間見る事ができ、当時のリアルを肌で感じられる。

 

タイトルの通り、それぞれの立場、スタイルを、どちらの視点からも切り取り、対決の構図を撮る事で、この作品自体がヒップホップを体現している。「ヒップホップ」が、如何にして現代にまで残るカルチャーへと進化したのか、その秘密は、黎明期に撮影された、2本の映画にキッチリと収められていた。日本での初の劇場公開となる今回、映画館から、40年前のサウスブロンクスへ「ヒップホップ」のルーツ探す旅をしてみるのは、いかがだろうか。

from関西キネマ倶楽部

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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