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亡くなっていく方に対して優しく暖かい心をもって看取ってあげてほしい…『痛くない死に方』高橋伴明監督と長尾和宏さんに聞く!

2021年3月2日

どこで最期を迎えるのか、どのような死に方を選択するのかの葛藤を、在宅医師と患者とその家族の交流を通じて描き出す『痛くない死に方』が関西での劇場でも3月5日(金)より公開。今回、高橋伴明監督と長尾和宏さんにインタビューを行った。

 

映画『痛くない死に方』は、在宅医療のスペシャリストである長尾和宏さんによるベストセラー「」「痛い在宅医」を『禅 ZEN』『赤い玉、』の高橋伴明監督・脚本で実写映画化。在宅医師の河田仁は、末期の肺がん患者・井上敏夫を担当することに。敏夫は娘の智美の意向で、痛みを伴いながら延命治療を続ける入院ではなく「痛くない在宅医」を選択したのだが、結局苦しみ続けてそのまま亡くなってしまう。あのまま病院にいさせた方が良かったのか、自宅に連れ戻した自分が殺したことになるのではないかと、自分を責める智美の姿に衝撃を受ける河田。在宅医の先輩である長野浩平に相談した彼は、思わぬ事実を突きつけられる。主演は「火口のふたり」の柄本佑さん。

 

まず、在宅医の苦しみから描く本作。高橋監督は「医者とはいえ、様々なものを抱えている」と認識し「国の方針に則って取り組み、ビジネスとして在宅医を捉えている医者もいる」と理解を求めた。とはいえ「主人公の河田とはどういう男なのか知ってもらうための情報の一つ」と添える。長尾先生は、自らの経験から「24時間対応は大変。夜中でも電話が掛かってくる。人の生死は、常に夜中も呼び出しがある。病院なら当直医が担う。在宅医の担い方も様々。深夜対応はドクターの自己犠牲で対応している」と冷静に解説。「労働基準法からは違反です。24時間365日対応するなら、実は5人の医者が必要」と踏まえ「仕事に熱中すると家庭が疎かになる実例は沢山ある。家庭が破綻した人を何人も知っている。自分を見ているようなリアルがあった」と感想を添えていく。そのうえで「患者さんにとって良い医者は家庭では最低の大人」と現実的にコメントする。

 

撮影前には、高橋監督は柄本さんと共に長尾先生の往診に付いていっており「長尾式の診察をしっかり見ています。彼が成長した時に発揮しよう」と模索。長尾先生は「在宅医療は、距離が近い」と挙げ「医師の個性は皆違いますから、患者さんとの相性があります。総じて病院より近い」と説く。また、長尾先生の「生きることは食べること」という発言を受け、高橋監督は患者さんの食事シーンには気を遣った。長尾先生も医療監修については、桜新町アーバンクリニックの遠矢 純一郎さんや訪問看護師の方にも協力頂き、余貴美子さんからの質問にも細かく対応している。初めて、映画の撮影現場を見て「びっくりすることばかり。一般の方が手術現場に入るのと同じ感覚。役者も大変だけど、支える裏方チームの大変さも分かり、医療以上に映画製作は大変だな」と実感した。

 

本作が完成し、高橋監督は「その時に考えられる自分の理想の死について考えた結果が作品に表れている」と身を以て感じている。「在宅で亡くなりたい」と考えるようになり「家族の集合写真は良いな」と身に染みる日々だ。さらに、自宅についても考え「いつ在宅医療になっても大丈夫な住まいになった」と明かす。これには、長尾先生も「凄い出来事。早すぎるんじゃないですか」と驚くばかり。10年前に65歳を迎え、自らの死について強く意識し出した高橋監督は「どう死ねばいいんだ」と考えるようになり、本作の監督を依頼され「延命治療は嫌だ。リヴィングウィルも家族に伝えてある。妻も同様にしており、フォローしてくれる」と自らにとって最良の手段を選択した。

 

長尾先生は、今作について「癌の映画」だとも捉えており、癌の在宅医療について「癌は、短期決戦型。平均在宅医療期間は、1.5ヶ月。長期戦には介護保険制度を使うことになります」と説明。現実的な問題として「世の中は、おひとりさまだらけ」と挙げ「尼崎においても、天涯孤独で戸籍がない方もいます。誰か分からない。本人が望んだら、やりやすい。お看取りも普通に行っています。家族がいても、悩み込んでしまう」と現状を話す。「日本の医療問題は家族の問題」とも言い切り「癌であれ認知症であれ、おひとりさまは100%看取れる。短期決戦型でもう一つ大事なのは緩和ケア。痛みを緩和してあげる。モルヒネや座薬、医療用麻薬等を使う技術がなく、なんとなく在宅医療を行っている未熟な在宅医も沢山いる。家族にとっても迷惑。介護保険と緩和ケアがあることを知ってほしい」と訴える。最後に、高橋監督は「死んでいく人に対しては、優しい暖かい心を持ってあげてほしい。若いうちは死ぬことなんて考えなくていい」と述べ。医者の卵に対して「今習っていることが人間として正しいことなのか自分にといったことをずっとといかける気持ちになってくれるといいな」とメッセージを送ってもらった。

 

映画『痛くない死に方』は、関西では3月5日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、難波のなんばパークスシネマ、堺のMOVIX堺、京都・烏丸の京都シネマ、桂川のイオンシネマ京都桂川、神戸・三宮の神戸国際松竹で公開。また、3月12日(金)より兵庫・尼崎の塚口サンサン劇場、豊岡の豊岡劇場、4月2日(金)より兵庫・尼崎のMOVIXあまがさきで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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