人生どん詰まりのアラフォー女性に恋の予感!?『チャンシルさんには福が多いね』がいよいよ劇場公開!
(C) KIM Cho-hee All RIGHTS RESERVED/ ReallyLikeFilms
プロデューサーとして支えてきた映画監督の急死により失職した女性に、思わぬ恋の予感が訪れる様を描く『チャンシルさんには福が多いね』が2021年1月8日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『チャンシルさんには福が多いね』は、長年にわたりホン・サンス監督作のプロデューサーを務めてきたキム・チョヒが初メガホンをとり、自身の体験を投影させながら描いたオフビートなコメディ。映画プロデューサーのチャンシルは、ずっと支えてきた映画監督が急死したため失業してしまう。人生の全てを映画に捧げてきた彼女には家も恋人も子どももなく、青春さえも棒に振ってきたことに気づく。そんな彼女に、思わぬ恋の予感が訪れる。
https://www.youtube.com/watch?list=TLGGUvMGuEvzsbUyODEyMjAyMA&v=Kz1XwrenMlA
本作で、チャンシルを演じたのは、30歳で演劇界に入り舞台や短編映画に出演してきたカン・マルグム。ドラマ「愛の不時着」で“耳野郎”と呼ばれる盗聴係を演じたキム・ヨンミンが、自分は香港の大スターだと言い張る男の役で出演している。
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映画『チャンシルさんには福が多いね』は、関西では2021年1月8日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、1月15日(金)より京都・烏丸の京都シネマで公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
映画プロデューサーは、映画を企画・立案し、作品にする総合責任者。映画監督にとっては必要不可欠な存在。でも、映画監督が亡くなってしまったら、不要な人間!?様々な方々と関わりながら映画は制作されるので、誰かにとっては必要な存在のはず。本作は、ある日、突然に映画プロデューサー職を失ってしまったチャンシルさんが遭遇する小さな幸せに気づいていく物語。
それにしても、監督を失ってしまったら、映画プロデューサーはそんなにも惨めな存在になってしまうの!?数々の実績があるのなら、他の企画についても引き合いに出されるのではないか、と感じてしまう。しかし、1人の監督にずっと張り付いていたら、周囲からは、それ以外は出来ない人に思われてしまうのか。簡単に用無し人間となってしまうのは、余りにも切な過ぎる。とはいえ、義理堅い女優がいたおかげでちょっとした仕事も出来たし、心ときめく出会いもあった。それだけでチャンシルさんにも十分たる福があると気づかされていく。ほっこりする瞬間はいくつもあって、ずっと観ていたくなる作品でもある。
そして、香港の大スターだと言い張る謎の男には何度も気になってしまう。なんだか変な男が横切っていなかった!?と気づくと、いつの間にやら頻繁に登場してくる。気づけば、チャンシルさんの心を癒していくように、我々も癒さていたかもしれない。本当に不思議な作品なんだけど、かつての日本映画にあったようなテイストもあり、劇中でチャンシルさんが云うように小津映画というのは言い得て妙だ。なお、チャンシルという言葉は、韓国語で「燦々と輝くような果実」を意味する。彼女の魅力を最大限に表現した言葉であり、その果実を少しだけお裾分けしてもらったような気分だ。新年早々、心地良い作品に出会えますよ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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