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皆が観ていて楽しくハッピーになれるエンターテイメントな大相撲ドキュメンタリー!『相撲道 ~サムライを継ぐ者たち~』坂田栄治監督に聞く!

2020年10月26日

1500年以上もの歴史と伝統を誇り、日本の国技となった相撲の知られざる世界に迫ったドキュメンタリー『相撲道 ~サムライを継ぐ者たち~』が10月30日(金)より全国の劇場で公開される。今回、坂田栄治監督にインタビューを行った。

 

映画『相撲道 ~サムライを継ぐ者たち~』は、1500年以上の歴史を持ち、国技として日本人の暮らしに深く根付いている相撲の世界を追ったドキュメンタリー。2018年12月から約半年間、境川部屋と高田川部屋の2つの稽古場にカメラが密着。力士たちの本場所での熱い闘いの姿を迫力のある映像と音声で捉え、歴史、文化、競技と、さまざまな角度から相撲の魅力をひも解いていく。監督は「マツコの知らない世界」など長年テレビの演出家として活躍し、本作が映画初監督作品となる坂田栄治さん。元大相撲力士で、日本相撲協会の公認漫画家として知られる琴剣淳弥さんがコーディネートプロデューサーとして参加。ナレーションを遠藤憲一さんが務める。

 

TBS社員としてバラエティー番組をずっと作ってきた坂田監督。2つも人気番組を作り「やることをやったなぁ」と達成感があった。しかし「自分が前に進めていない」と感じていく。「このままずっとやっていても3,4年後も同じ立場でいられる。だが、自分にとって成長がない。新しい挑戦をしたい」と沸々としていた時、東京オリンピックの開催が決まり「日本人として、日本のために自分の映像制作技術を使いたい」と考えるようになった。しかし、スポーツ局に異動したり、現在の番組制作環境で特集を組んだりしても「日本のためにはならない」と熟考。そんな時、ふと、大相撲部屋の朝稽古を見に行ってみた。「お相撲は日本人にとって馴染みがある」と思っていたが「自分は全く相撲を知らない」と気づかされる。「稽古場に土俵は1つしかなく、限られた時間で土俵に上がれる人数は決まっている」と発見し「その中で『(自分は)取り組みたいんだ』とアピールして何が起ころうが頑張った力士が強くなっていく。強くなるほど体型が変わっていく」と驚くしかない。当初、ドキュメンタリー番組の制作として検討していたが、その後に両国国技館で実際に相撲の取り組みを見て「お客さんが声を挙げて盛り上がる様子や稽古以上に激しくぶつかり合う力士達の音等、全てが衝撃的で本当にビックリしてしまった。これを撮ることが日本人としてやるべきことだ。俺しかいない」と確信。すぐ琴剣さんに連絡し、撮りたい意志を伝え、本作の制作に取り組み始めた。

 

大相撲の文化を撮ることが本作の目的であるため、琴剣さんに「昔ながらの文化が残る部屋はどこですか?」と尋ね、境川部屋を紹介してもらう。実際に現場を見に行き、恐ろしい空気を実感していく。マスコミを好まないと聞き、尚更に「俺が撮らなきゃ」と思いを強め「他の人が簡単に入れないところを撮ることに意味がある。他のものが混ざっていない純粋さを映像に残したい」と志願し、撮らせてもらうことになった。とはいえ、境川部屋のドキュメンタリーを撮るわけではない。大相撲のドキュメンタリーを作ることが狙いであり、更なる1部屋を相談し「高田川部屋はおもしろいですよ」と云われ、伺った。全然違う空気があると察し「親方の話もおもしろい。こんな感じの力士もいるんだあ」と新鮮さを感じ、取材する相撲部屋を決定。現場では様々な力士に取材し、多様な場面を撮影していく。インタビューをする前には、1ヶ月前から会話しながら距離感を保ち「普段と同じように僕と喋っているところにカメラを置いています、という空気感にしている。相手との距離感を掴まないと仲良く話せない」と意識し、力士や親方の本音を引き出すことに成功している。両国国技館の中でも取材しており「沢山のカメラが入れるわけではないので、どのサイズで撮るか決めないといけない。絶対に邪魔になってはいけない。今この瞬間に何を撮るべきか選択していく」と十分に配慮しながら撮影が行われた。なお、現場に入る前に何を撮るか決めており、本作では「事前に取材しながら興味深く感じたことから、撮影場所を撮決めている。撮影している最中に頭の中で編集している。『今日はこんなシーンが撮れたので、こういう風に繋ごうかな』とパズルのピースを組み合わせている」と撮影から編集まで一切の迷いがない。また、遠藤憲一さんがナレーションを担っており「TBSのドラマ『JIN−仁−』関連の映像で局内のエレベーターにて遠藤憲一さんの声が聞こえました。まさに”良い声だな。いつか仕事してみたいな”と思っていた」とオファーの経緯を明かした。

 

完成した作品は、大相撲の魅力が十分に伝わってくるエンターテイメントなドキュメンタリーに仕上がっている。大相撲ファンではなくとも、おもしろく楽しめる構成になっており「自己満足な作品にしていない。観ている人が飽きる映像は要らない」と意識していることを明かす。なお、現在の大相撲を知らなかったことを認識し「刺激的だった映像を繋いでいきました。撮影中、周囲には『情報を入れないでください』と断っていた。自分が目にしたもの、自分で聞きだしたもの、おもしろかったことを全部詰め込んでいる」と、自身の無知を翻って武器にして撮影したことを告白する。また、近年の大相撲に対する世間のイメージやメディアによる報道の内容に対して「相撲は変わっていない、等と語るコメンテーターは分かっていない。イメージだけで話している人が多過ぎる」と嘆いており「俺は真実を見ている。こんな風に変化していっている人もいる、ということを伝えたかった。変わっていないところもありますが、変わるべきところは変わっています」と話す。今作を通じて「”大相撲の世界は格好良い”、”力士は素晴らしくて超人だ”、”こんな人たちがやっているんだ”と知ってほしい」と期待しており「TV番組でも映画でも、観ていて楽しくなってハッピーな気分になるのが俺の好きな映像作品。本作でも皆が元気になってくれたらいいな」と願うばかりだ。

 

映画初監督作品としてドキュメンタリー映画を撮り「しっかりとヒットしたら第2弾も撮ってみたい」と今後の作品制作も楽しみにしているが「監督という肩書が付くのは良いけど、映画監督になりたいわけではない。映像を撮影したり構成したり編集したりする能力が自分にあると思うので、この能力で勝負できるところで勝負していきたい」と真摯に語り「次はMVかCMかもしれない、ドラマかもしれない。様々な挑戦をしていきたい。映像以外では漫画を描きたい。漫画原作をやりたい」と更なるチャレンジ精神は止まらない。

 

映画『相撲道 ~サムライを継ぐ者たち~』は、10月30日(金)より全国の劇場で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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