1933年のソ連に潜入した実在の英国人記者を描く『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』がいよいよ劇場公開!
(C)FILM PRODUKCJA – PARKHURST – KINOROB – JONES BOY FILM – KRAKOW FESTIVAL OFFICE – STUDIO PRODUKCYJNE ORKA – KINO SWIAT – SILESIA FILM INSTITUTE IN KATOWICE
1933年の世界恐慌中、スターリン体制下のソ連で命がけの取材を敢行した勇敢なジャーナリストの姿を描く『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』が、8月14日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は、スターリン体制のソ連という大国にひとり立ち向かったジャーナリストの実話をもとにした歴史ドラマ。1933年、ヒトラーへの取材経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズは、世界中で恐慌の嵐が吹き荒れる中、ソビエト連邦だけがなぜ繁栄を続けているのか、疑問を抱いていた。ジョーンズはその謎を解くため、単身モスクワを訪れ、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、疑問の答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。しかし、凍てつくウクライナの地でジョーンズが目にしたのは、想像を超えた悪夢としか形容できない光景だった。
本作では、ジョーンズ役をドラマ『グランチェスター 牧師探偵シドニー・チェンバース』のジェームズ・ノートンが演じ、『ワイルド・スピード スーパーコンボ』のバネッサ・カービー、『ニュースの天才』のピーター・サースガードが顔をそろえる。『太陽と月に背いて』『ソハの地下水道』で知られるポーランドのアグニェシュカ・ホランドが監督を担った。
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映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は、8月14日(金)より関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
推定300万人のウクライナ農民が飢死したと云われるホロモドール。ソ連が行った農業の集団化政策等によって引き起こされた意図的な大飢餓の実態を本作では描いている。一部が裕福な暮らしをしている裏では、想像以上の事態が起きていた。その実態を自らを以て伝えようと挑んだ知られざる英国人記者ガレス・ジョーンズ。彼の不屈な魂を大いに称えたい。
また、本作の監督を担ったのは、ポーランド出身の女性監督アグニェシュカ・ホランド。政府による情報統制が行われ、不安や恐怖に満ちていた1930年代を表現しようと挑んでいる。なぜ90年前の出来事を現代で再現しようとしたのか。世界の報道に対してフェイクニュースだと騒ぎ立て、SNS等で垂れ流されていく”ノイズ”の危うさや複雑さや恐ろしさに重ねようとしているとも感じてしまった。いつの時代においても事実を隠そうとしている裏側では、とんでもないことが起きているに違いないのかもしれない。
ウクライナの方にとっては、自国で実際に起きていたことが本作によって伝えられていくことは大変に喜ばしいことだろう。誤った政策によって二度と同じようなことが起きないためにも本作の意義は十分にある。それは、現代のロシアにとっても同様ではなかろうか。ガレス・ジョーンズのその後は悲しい限りではあるが、彼の精神を後世に伝えていくためにも、かの国の闇を改めて見つめるに相応しい作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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