ロシアのおばあちゃんが“自分の葬式計画”に奮闘!?『私のちいさなお葬式』がいよいよ劇場公開!
(C)OOO(KinoKlaster),2017r.
余命わずかであることを宣告された73歳の女性が、自分の葬式を準備するその過程を温かな視点で描き出す『私のちいさなお葬式』が、12月6日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『私のちいさなお葬式』は、突然の余命宣告を受けた73歳の女性が自身のお葬式計画に奮闘する姿を描いたロシア映画。村にただひとつの学校で教職をまっとうし、定年後は気のおけない友人たちと大好きな本に囲まれ、慎ましくも充実した年金暮らしを送っている73歳のエレーナ。そんな彼女が病院で突然の余命宣告を受けてしまう。都会で仕事に忙しい毎日を過ごし、5年に一度しか顔を見せないひとり息子のオレクには迷惑はかけたくないと、自分で自分の葬式の準備をスタートさせる。惨めな死に方だけはしたくない彼女の願いは、お葬式に必要な棺や料理の手配を済ませ、夫が眠るお墓の隣に埋葬されること。親友やかつての教え子たちの協力もあり、彼女はお葬式の準備を順調に整えていく。しかし、完璧かに思えたエレーナのお葬式計画に想定外の事態が持ち上がってしまい…
本作では、マリーナ・ネヨーロワがエレーナを演じ、リューダに『ボリショイ・バレエ 2人のスワン』のアリーサ・フレインドリフが、エレーナの息子オレクに『戦火のナージャ』のエヴゲーニー・ミローノフが扮した。ナタリヤ・スルコワ、『ブラック・シー』のセルゲイ・プスケパリスも参加。ウラジーミル・コットが監督を務めた。
(C)OOO(KinoKlaster),2017r.
映画『私のちいさなお葬式』は、12月6日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、12月27日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、12月28日(土)より京都・烏丸の京都シネマで公開。
自分の息子が相手をしてくれない、そんな息子の世話にならず、自らの力で葬式の準備をしていくおばあちゃんの話…いわゆる”終活”を題材にした映画で、こんなにも一風変わった設定の作品があっただろうか。
しかもロシア映画である。かつてのソ連やロシアの映画は、どこかに反体制メッセージが込められた作品が多かった。この作品にはそんな雰囲気を一切感じない。あえて考えるならば、今まで”終活”について考えてこなかったロシア人への警鐘を込めているだろうか。メッセージはあるが、基本的にコメディとして描かれているので、終活について考えるきっかけとなる作品ではある。
原題は「KARP OTMOROZHENNYY」。ロシア語で「解凍された鯉」を意味する。劇中にも桶に入れられた鯉が登場するが、73歳のエレーナやひとり息子のオレクを表すメタファに感じられて、ハッとさせられた。また、劇中では、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」がロシア語・バージョンとして流れてくる場面があり、親しみを以て鑑賞できる作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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