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気持ちの奥の心の機微まで伝えられるような役者でありたい…『お嬢ちゃん』萩原みのりさんに聞く!

2019年10月28日

不満や不安、ストレスを抱えながら鎌倉でアルバイト生活を送る21歳の女性の本音とひとつの生き方を鮮やかに描き出す『お嬢ちゃん』が関西の劇場で公開中。今回、萩原みのりさんにインタビューを行った。

 

映画『お嬢ちゃん』は、俳優として活動するかたわら映画監督として作品を手がけ、劇場デビュー作『枝葉のこと』が第70回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門に出品される等、国内外で注目される新鋭・二ノ宮隆太郎が、夏の鎌倉を舞台に、ひとりの若い女性の生き方を描いた。鎌倉に暮らす21歳の女性みのりは、観光客が立ち寄る小さな甘味処でアルバイトをしながら生活していた。一見普通の女性に見えるみのりだが、実は彼女は普通ではなく…

 

本作への出演オファーがあった頃、萩原さんは、「表面的な人間関係が寂しい」と上京以来に一番感じていた時期だった。そんな頃に二ノ宮監督と出会い、様々な言葉に感激し『枝葉のこと』を観て説得力を感じ、どのような作品であっても出演したいと切望していく。

 

主人公の「みのり」を演じながら、萩原さんは、そのキャラクターに強く憧れた。「こんな風に強くはいられない。だから、見ていて気持ちが良い」と捉えており、同世代の女性からは「格好良かった」「救われました」と云われ、嬉しく感じている。しかし、目の前に「みのり」が実在したら「怖いことを言われそうで話したくない。核心を突かれたくない」と嫌がってしまう。「私は小心者でメンタルも弱いので、絶対嫌です。対峙したら大人しく横に座っています」と正直に告白する。むしろ、共演した植田萌さんが演じた役が、無言になると共有できず話を詰めていくタイプであることから、共感を覚えた。

 

だが、本作では、何も喋らず一人でただ煙草を吸っているシーンに意味がある、と萩原さんは感じており「ベランダや公園で煙草を吸っているシーンがお気に入り」と話す。また、パチプロ役の大河内健太郎さんとの会話は聞き入っており「みのりから話しかけているのは大河内さんだけ。みのりに対する興味が表面的ではない」と受けとめ、お客さんとの距離を感じられ救われていく。

 

なお、ファーストカットとラストカットの撮影は困難を極めた。ファーストカットは海でのシーンから始まっており、3パート分が1カットで進行する。お盆の時期に鎌倉での撮影だったため、映り込みも多く様々な出来事があり、萩原さん達が登場するまでに何度も撮影が止まり「撮影が終わらないのではないか」と心配だった。印象的なラストカットは、台詞の間や声のトーンまで二ノ宮監督が指定しており、『枝葉のこと』を観た時の言葉に出来ない自らの思いを信頼し、演じていく。当時を思い出し「1つ1つの言葉に体力と神経を遣ったので、再現できない。今までの役者人生において最も幸せを感じた」と振り返りながらも「二度と演じたくない特別なシーン」と語る。

 

関西の劇場でも公開を迎え、本作について、萩原さんは「誰が観ても違う刺さり方をする映画」だと表現した。既に東京では公開から1ヶ月が経ち、様々な感想を読んでいるが「視点がかなり違い、似たような感想が少ない」と感じており「さらに様々な意見を聞いてみたい」と望んでいる。また「救われた」と仰る女性が多く「女性にもっと届いたらいいな」と願っていた。

 

2013年に女優デビューし多くのドラマや映画に出演してきた萩原さんは、小説が好きな読書家の父親が映画も観るようになり「役者は言語化出来ない表現を描いていて凄いね」と言われ、役者が素晴らしい仕事だと実感する。今後も様々な作品への出演を予定しているが「気持ちの奥の心の機微まで伝えられるような役者でありたい」と目を輝かせ語っていた。

 

映画『お嬢ちゃん』は、大阪・十三の第七藝術劇場で公開中。また、京都・出町柳の出町座、神戸・元町の元町映画館でも公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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