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20年の中で時代の変化を深く考えさせられる…『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤 滋』伊勢真一監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年8月4日

脳性マヒにより寝たきりの生活を強いられながら、歌を詠み続けているひとりの男性、遠藤滋にフォーカスした『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤 滋』が関西の劇場で現在公開中。8月4日(日)には、伊勢真一監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤 滋』は、脳性まひで寝たきり生活を強いられながらも介助の若者たちと触れ合い、ベッドの上で数々の短歌を詠む遠藤滋さんの姿を記録したドキュメンタリー。脳性まひのため寝たきり生活を送りながらも、自ら介助者のネットワーク「えんとこ」(「遠藤のいるところ、縁のあるところ」の意)を組織した遠藤さん。ベッドの上での生活は35年を過ぎ、障がいも進行していく中、遠藤さんは50代後半から短歌を詠むようになり、心の叫びを言葉に託す日々を送る。そんな彼と介助者たちの心の交流を通して、ありのままの命を生かし合いながら生きる人々の姿を浮かび上がらせる…

 

上映後、伊勢真一監督が登壇。長年、遠藤さんを見続けてきた中で溢れてくる思いを存分に語った舞台挨拶となった。

 

伊勢監督が遠藤さんと最初に出会ったのは1968年。同じ大学の2年先輩だった。再開したのは1995年。遠藤さんは東京都世田谷区の下北沢で介助の若い人達と一緒に過ごしながら、寝たきり生活が10年を経ていた。前作『えんとこ』の頃は、介護メンバーは学生が多く、2,30代の社会人が少しいる程度。今回は、多様で、世代も広がっており、ミュージシャンが多く、谷ぐち順さんがリーダー的存在となり、人が足りなくなると、音楽仲間を引き入れていくうちに広がっていった。

 

ミュージシャン達の反応について、伊勢監督は「『セッションみたいなんですよ』と云っていました。えんとこで遠藤とやり取りする時間は音楽でセッションしている時間と似ていて、音楽と変わらない」と解説。お腹を撫でている青年は、入っていきなりスムーズに出来ており「DJの動きと同じだから何時間も出来ます」と話す。観客の反応について「観る前は身構えてしまうようですが、観た後は、爽快な気分になっていました。その感想が周りに伝わっていけばいいのかな」と考えている。勿論、重い障害により寝たきりであることは事実であり「全く隠す必要はないし、しっかりと観てほしい。少しづつお客さんが増えていっているので、大阪でもぜひ」と期待を寄せた。

 

遠藤さんが短歌を詠むようになったのは50代後半。『えんとこの歌』の撮影は2016年の相模原での事件後であり、その頃から特に熱を入れて取り組んでいる。同人誌『あけび』に毎月8首投稿しており、他にも沢山の歌を詠み、日々の暮らしにおける中心の一つとなった。夜の口腔ケアや昼間の排泄にはそれぞれ2時間近くかけており、合間に短歌を詠んでいる。以前からの変化について、伊勢監督は「短歌を詠むようになったことと声が出なくなったこと、痛みが強くなり、睡眠時間を確保できないことが今も続いている。また、年齢を経たことでの違いはあるけど、大きく言えば少しも変わっていない」と挙げていく。35年も寝たきりだが「考え続けることや若い人達と関わることはずっと変わらない。僕が撮らないといけないと思う以上に遠藤が記録してくれと云っている」と感じ取っている。「この20年の中で何が変わり何が変わっていないのか。2つの作品を観てもらうことで、時代の変化を深く考えさせられる」と伝え「一ヶ所、或いは、一人の人物を長く見続けることは、マスメディアと違う形で映像を作っている人間として僕の役割がある」と熱い思いを語った。

 

映画『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤 滋』は、大阪・十三のシアターセブンで、8月16日(金)まで公開中。8月17日(土)からは、京都・烏丸の京都シネマで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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