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肩ひじ張らず、一人の人間として描いた…『岬の兄妹』片山慎三監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年3月16日

仕事を解雇された兄と、知的障がい者の妹がさまざまな試練に見舞われながらも、必死に生き抜いていく姿を描く『岬の兄妹』が全国の劇場で公開中。3月16日(土)には、大阪・梅田のテアトル梅田に片山慎三監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『岬の兄妹』は、ポン・ジュノ監督作品や山下敦弘監督作品などで助監督を務めた片山慎三さんの初長編監督作。ある港町で自閉症の妹・真理子とふたり暮らしをしている良夫。仕事を解雇されて生活に困った良夫は真理子に売春をさせて生計を立てようとする。良夫は金銭のために男に妹の身体を斡旋する行為に罪の意識を感じながらも、これまで知ることがなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れることで、複雑な心境にいたる。そんな中、妹の心と体には少しずつ変化が起き始め…

 

上映後、片山慎三監督が登壇。大阪出身の片山監督は、制作時には大阪公開まで想定しておらず、今回の凱旋舞台挨拶を大いに喜んでいる。現在、本作は当初の予定から拡大上映中となっており「作っている時は、どうやって上映しようかとずっと考えていた」と明かす。感謝しながらも「この内容なので、広まるのは嬉しいが、大丈夫かなぁ」と本音を漏らしていく。

 

主人公の良夫役を演じた松浦祐也さんとは、助監督時代からの知り合いで「友達のような感覚で話しやすい人なので、オファーした」と告白。真理子役の和田光沙さんはオーディションで選んでおり「和田さんは、明るい人で、悲壮感がないので良かった」と印象を話す。演技指導にあたり、自閉症ドキュメンタリー映画『ちづる』を和田さんと観ながら演技を研究し「最初は目や手の動きを指導して、途中からは細かい指導がなくてもリアルに演じてくれ、お任せした」と解説する。

 

本作に対し「なぜ福祉サービスを利用しなかったか」とよく聞かれてきたが、片山監督は脚本に当初は書いていたが「描き始めてみたら、掘り下げないと辻褄が合わなくなる。敢えて描かずに自分達でどういう風に生きていくか描きたかった」と述べていく。真理子を描くにあたり、ボランティア活動に参加したが、主催者の方に「自閉症や障害を持った方にも様々な方がいる。人それぞれに個性があるから、個性をしっかり描けば人間になる」と云われ、肩の荷が下りた。そこで「肩ひじ張らず、一人の人間として描いた方がいい」と念頭に置き、制作していく。中盤では、強烈なバトルシーンが映し出されているが「戦国時代の戦法としてあり、それで思いついた。あの状況下で脱する方法を考えた時、思い出してました」と解説。登場する物体について「本物です…嘘です」と冗談交じりになりながら「リアルに見えるように時間をかけて作りました。研究して2日かけた力作です」と自信を持っている。

 

自主製作映画として公開された初長編作品の本作対し、片山監督は「日本映画界は、コンプライアンスを気にして、映画なのに自粛していることはある。今こそ、原作もの以外が観たい時期だ」と訴えている。最後に「この映画は2年近くかけて、自分のお金を貯めて全部自費で作りました。自分自身も思い入れがある映画です」と思いを込め、感謝の言葉と共に舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『岬の兄妹』は、全国の劇場で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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