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捕虜となった息子を救うためISと戦う母親描く『バハールの涙』がいよいよ劇場公開!

2019年1月16日

(C)2018 – Maneki Films – Wild Bunch – Arches Films – Gapbusters – 20 Steps Productions – RTBF (Television belge)

 

戦地取材を続ける片眼の戦場記者の目を通し、ISの捕虜となった息子を救うため、クルド人女性武装部隊のリーダーとなった女性弁護士の戦いを描く『バハールの涙』が、1月19日(土)より全国の劇場で公開される。

 

映画『バハールの涙』は、今もイラクやシリアで続くISとの戦闘の現実を見つめた社会派ドラマ。弁護士のババールは夫と息子と幸せな生活を送っていたが、ある日クルド人自治区の町でISの襲撃を受ける。襲撃により、男性は皆殺しとなり、バハールの息子は人質としてISの手に渡ってしまう。その悲劇から数カ月後、バハールはクルド人女性武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとして戦いの最前線にいた。そんなバハールの姿を、同じく小さな娘と離れ、戦地で取材を続ける片眼の戦場記者マチルドの目を通して映し出していく…

 

本作は、『青い欲動』のエバ・ウッソン監督が、自らクルド人自治区に入り、女性戦闘員たちの取材にあたって描いた。『』のゴルシフテ・ファラハニが、捕虜となった息子の救出のためISと戦うこととなったクルド人女性を演じる。

 

映画『バハールの涙』は、1月19日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮の神戸国際松竹で公開。

とても重いテーマながら、観やすい作品。語弊を承知で書くならば、ヒロインを全面に押し出したアクション映画を観ているようなエンターテインメント性すら感じた。

 

事実をベースにした物語だが「バハール」という人物は実在しない。理不尽に虐げられた主人公が、反抗の戦士として立ち上がる。ISが故郷を突然襲い、目の前で奪われた家族。拉致されて受ける恐怖と屈辱。決死の脱出。レジスタンスへと生まれ変わる主人公。美しい戦士とその姿を追う隻眼のカメラマン。カタルシスをともなう銃撃戦では、バハールだけは弾が当たらないのではないか、と感じてしまう。

 

IS兵士たちの描き方も、敵として明快に描かれる。個々のキャラクター描写は殆ど無く、ただ残酷で不気味な武装集団。彼らはこう信じる。「女に殺された者は、天国に行けない」 女なんかに殺された者は、と言い捨てる姿勢は、観客にも怒りを覚えさせ「そんなこと以前に、こんな非道なことをしておいて、あなたたちは天国へ行けるとでも思っているのか?」と抗議したくなった。

 

ここまでシンプルにまとめた手法が、実に見事。本来なら、とても見ていられない凄惨な悲劇であるがゆえ、あえて分かりやすいドラマにしている。ISによる被害を被った、数えきれないほど沢山の人々が抱える辛く悲しい無念な想いが、バハールという1人のキャラクターに集約された。悲劇のヒロインを描く寓話のような接しやすい内容。さらに観終わった後に、これは現実だ、と重い余韻を残す。

 

エピローグで語られる、深く心に響くメッセージを受け取るだけでも、多くの人に観て欲しい。

fromNZ2.0@エヌゼット

 

美しい景色にそぐわない銃声の音、武器。不安な人々の顔。

「私はここにいる!」───────別の部屋に連れ去られ、性的暴行を受けようとする妹に向かって叫ぶババールのセリフが観終わった後も印象に残る。母として、女として、そして、なにより戦闘部隊”太陽の女たち”のリーダーとして戦うババールは観ていて辛い。嘗て弁護士だったババールに大切な日常があったからだ。

 

本作はクルド人自治区でISと対抗する抵抗部隊に女性部隊が存在することと、そのリーダー、ババールの壮絶な人生の一部を垣間見れる構成になっている。フィクションであるが、ベースにしている話は実際にあった出来事。ゆえに現実に有り得る話だと受け止めている。果てしなくファクトに近いフィクション。だが、このレビューを書いている瞬間も、誰かが苦しみ、助けを求めていても知らないふり、知らないままでいようとしている感覚が怖い。「世界は必死に悲劇から目を背ける」マチルドが放つ台詞に自身の至らなさを感じた。

 

映画として海外から運ばれてこないと想像出来ない現実も存在する。「知ること」は大切だと『バハールの涙』は教えてくれた。

from君山

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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