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実在する元宇宙飛行士をモデルに描いた異色のバディコメディ『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』がいよいよ京阪神の劇場公開!

2018年12月19日

(C)MEDIAPRO – RTV Commercial – ICAIC

 

冷戦時代末期を舞台に、宇宙ステーションに取り残された宇宙飛行士と彼と無線を通じて知り合った大学教授の交流を描く『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』が、12月22日(土)より京阪神の劇場で公開される。

 

映画『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』は、実在した旧ソビエトの宇宙飛行士で「最後のソビエト連邦国民」とも言われたセルゲイ・クリカレフをモデルに、冷戦終結に振り回された2人の男たちを描いた異色コメディ。東西冷戦時代が終焉を迎えようとしていた1991年。キューバ在住の大学教授セルジオは、宇宙ステーションに滞在中のソ連宇宙飛行士セルゲイからの無線を受信。2人は交信を続ける中で、国境や身分を越えて親友となる。しかし、ソ連の崩壊によってセルゲイは帰還無期限延長を言い渡されてしまう。セルジオは親友セルゲイを救うため、とんでもないアイデアを思いつく…

 

本作の監督は『ビヘイビア』などを手がけたキューバを代表する監督エルネスト・ダラナス・セラーノ。トーマス・キャオが教授を、ヘクター・ノアスが宇宙飛行士を演じる他、ロン・パールマンらが出演する。

 

映画『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』は、12月22日(土)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸の京都シネマで公開。また、12月29日(土)より、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸でも公開。

「異色のバディ・コメディ」と銘打たれている本作、クスクスと笑いつつも、かなりホロリとしてしまう、ファンタジックで優しいユーモアに満ちた作品である。

 

遠く離れた二人の男が、まさしく天文学的な確率の偶然で、無線の電波によって巡り合う。この出会いは奇跡的なのだが、もうひとつのミラクルは、この二人が住む国も母国語も異なるにもかかわらず、会話ができたことである。「私はロシア語が話せるキューバ人です!」と、自国キューバでは評価されるどころか、軽蔑の対象にすらなっているロシア語の知識が役立つことに、喜びを隠しきれずに大声を出すセルジオ。「私もスペイン語を少し話せる。キューバ人の友人がいたんだよ!」と、長い孤独を忘れるように、大喜びで答えるセルゲイ。出会う相手は誰でも良かった訳ではなく、お互いに必要な能力を備えて経験を積んでいたからこそ、奇跡の出会いは無駄にはならず、その後の展開につながってゆく。これは神様の気まぐれのような偶然ではなく、出会うべくして出会った運命的なものかもしれない、という感動がある。

 

登場人物たちの設定も興味深い。困窮しながらも必死で慎ましく暮らしているだけなのに、スパイだと疑われるキューバ人のセルジオ。地上では世界の英雄扱いだが、母国ソビエト連邦からは見放されてしまっているセルゲイ。そして、物語のカギを握る人物ピーターは、ニューヨークに長年住んでいるが、実はある悲しい過去を抱え国外から来た人物。住む国や話す言葉の壁を越えて、彼らが協力する姿には胸が熱くなる。ネット検索やSNSで溢れ、大量の文字や映像があっても気持ちを通い合わせられるとは限らない現代に比べ、伝えられる情報がほんの僅かに限られている時代だからこそ、温かい心の交流が心地良い。

 

なお、劇中で何度も登場する、無線で通信を始める時の決まった合図 「CQ、CQ」 という言葉を知っておいた上で観ると更に本作が楽しめる。「CQ」の語源は諸説あるが、「Call to Quaters(四方八方に呼びかける)」の頭文字という説が最も有力らしい。だが、私は 「CQ = Seek(探す)you」 という説を支持したい。このロマンチックな響きは、遠く離れたセルジオとセルゲイが無線の声に必死に耳を傾けていた姿に相応しい。

 

微かに届く電波の向こう、遥か彼方にいるはずの、あなたを探して…

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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