韓国でのジャーナリストの戦いを追った『共犯者たち』と北朝鮮スパイ捏造事件の真相を暴いた『スパイネーション／自白』ががいよいよ関西の劇場で同時公開！
(C)KCIJ Newstapa
イ・ミョンバクとパク・クネ、ふたつの保守政権による言論弾圧とメディアの存在意義をかけたジャーナリストたちの闘いを追ったドキュメンタリー『共犯者たち』と、韓国・中国・日本・タイをめぐる長期の追跡取材を敢行し４０年間にわたる“北朝鮮スパイ捏造“を暴くドキュメンタリー『スパイネーション／自白』が１２月８日（土）より関西の劇場で同時公開される。
映画『共犯者たち』は、イ・ミョンバク（李明博）とパク・クネ（朴槿恵）政権の約９年間にわたる言論弾圧の実態を告発した韓国製ドキュメンタリー。２００８年、米国産牛肉BSE問題などの報道によって国民の支持を失いかけたイ・ミョンバク政権は、公共放送局KBSや公営放送局MBCをターゲットに、メディアへの露骨な介入を開始。政権に批判的な経営陣は排除され、調査報道チームは解散、記者たちは非制作部門へと追いやられた。両局の労働組合はストライキで対抗したものの、政権が送り込んだ新たな経営陣は解雇や懲戒処分を繰り返し、検察も容赦なくストを弾圧。両局は政府発表を報じるだけの「広報機関」となったが、それでもあきらめない本物のジャーナリストたちがいた。自身も２０１２年にMBCを不当解雇されたチェ・スンホ監督と非営利独立メディア「ニュース打破」取材班は、韓国のジャーナリズムを骨抜きにした「主犯」と、権力に迎合した放送業界内の「共犯者たち」にカメラを向け、その実態と構造を明らかにしていく…
映画『スパイネーション／自白』は、韓国・国家情報院による北朝鮮スパイ捏造事件の真相を暴いた韓国製ドキュメンタリー。ソウル市の公務員が北朝鮮のスパイとして逮捕された。しかし国家情報院が提示した明白な証拠は、彼の妹の自白証言のみ。疑念を抱いたチェ・スンホ監督と非営利独立メディア「ニュース打破」取材班が調査を開始すると、国家情報院の協力者が証拠書類の捏造を暴露し、自殺を図る。さらに取材班は韓国・中国・日本・タイをめぐる長期追跡取材を行い、４０年間にもわたって途切れることなく続いてきた国家権力によるスパイ捏造の真実に切り込んでいく…
映画『共犯者たち』と『スパイネーション／自白』は、１２月８日（土）より、大阪・十三の第七藝術劇場、京都・烏丸の京都シネマで公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開予定。
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今年は韓国での歴史的な出来事を描いた作品『タクシー運転手 ～約束は海を越えて～』『1987、ある闘いの真実』が日本でも公開された。１９８０年代の韓国についての映画だが、翻って、現代の韓国はどうなのか。結局、本質的には変わっていないのか！？と思えてしまうのが今回の２作品。
『共犯者たち』公的メディアは権力に負けてはいけない…
公共放送局KBSと公営放送局MBC、公営ではあるが、近くも遠くもこれほどまでに何らかの国からの圧力が介入してもいいのかと思ってしまう。本来、国を冷静に見極めようするジャーナリズムがあるべき放送局がこのような事態が起こっていたなんて…日本人にとってみれば外国からのニューストピックスにある話題の１つでしかなかったが、その実態には驚いた。日本の報道メディアにはここまでの出来事があるのかは定かでないが、隣国で起きていることはこの映画で知っておくべきだと思える。
『スパイネーション／自白』スパイは本当にいるのか…
『タクシー運転手 ～約束は海を越えて～』『1987、ある闘いの真実』はスパイがいる前提で、戒厳令下にあったかつての韓国を描いているが、近年においても、まだ疑惑がかけられた人々がいたとは…現在の情勢下では変化しているのかもしれないが、スパイを抑えたという事実をつくるためには、捏造も厭わないそのマインドには恐怖すらおぼえる。その調査をするということは、逆に国から狙われる立場にもなりえるわけで、ジャーナリストの姿勢には頭が上がらない。一つの独立したメディアがここまでの作品を作り上げる。日本国内でも一部のドキュメンタリー映画では国の中枢に迫ろうとした作品があった。やはり野放しにしておけない現在の情勢を捉えた作品が今後も世に届けられることを楽しみにしたい。
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- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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