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映画には、もっと美味しい御馳走がある!まずは感じることから…『スティルライフオブメモリーズ』舞台挨拶開催!

2018年11月3日

写真家とその写真に魅了された女性キュレーター、そして写真家の婚約者によるアートを介した人間模様を映し出す『スティルライフオブメモリーズ』が、関西の劇場で11月3日(土)より公開。初日には、大阪・九条のシネ・ヌーヴォに、矢崎仁司監督と『ストロベリーショートケイクス』スタッフの花岡佐知子さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『スティルライフオブメモリーズ』は、矢崎仁司監督が、女性の肉体の美しさや神々しさを撮り続けたフランスの写真家アンリ・マッケローニとその被写体となった愛人の実話に着想を得て描いたドラマ。山梨県立写真美術館のキュレーターをつとめる怜は、偶然訪れた東京のフォトギャラリーで、新進気鋭の写真家・春馬の写真に心を奪われる。翌日、怜は春馬に連絡を取り、彼女自身を被写体にした写真を撮影して欲しいと依頼する。春馬は突然のことに戸惑いながらも怜の写真を撮りはじめ、2人は撮影を通して次第に惹かれ合っていく。そんな中、妊娠中の春馬の恋人・夏生が怜の存在を知り……

 

上映後に矢崎仁司監督と花岡佐知子さんが登壇。ギッシリ入ったお客様を前にして上機嫌な矢崎監督と花岡が挨拶を行った。

 

矢崎監督は、依頼された仕事は一切断らないとポリシーがある。ある日、監督の映画がお気に入りのプロデューサーから「四方田犬彦さんの原作を基にした作品を撮らないか」とオファーを受けた。フランスの画家・写真家であるアンリ・マッケローニが2年間に一人の女性に対し2千枚も撮り続けたという内容について、矢崎監督は「2人の間に流れた2年間の時間を僕も観てみたい」と興味を抱く。写真に関する映画を監督するにあたり「絵画を通過していきたい。撮影中、何シーンも最初の15秒程度は止まってから動き出してもらった。映画の中で止まっていたものが動き出すことを遊んでみた」と独自のアイデアを盛り込んだ。

 

主演の安藤政信さんとは『ストロベリーショートケイクス』以来、今作で久しぶりに再会。安藤さん自身も写真を撮っている。作品を見せてもらい「凄く良い写真を撮っている」と称えた。また、シナリオを最初に読んだ安藤さんに対し「よく理解してくれた」と実感。安藤さんについて「僕はこうしたい、と意志を示さない。『監督の喜ぶ顔が見たくて芝居をやっている』と仰ってくれ、耳を傾けてくれる。OKと言うと嬉しそうにしてくれる。監督にしてもらっている気がする」と絶賛。

 

なお、矢崎監督は、これまで、様々な規模の映画を手掛けてきた。だが、特にテーマをもって映画を撮っておらず「観て頂いた皆さんが何かを感じて貰えれば。皆に感じてもらうために様々なことをしました」と明かす。映画を撮り始めた初期は、10年に1本のペースでしか撮っておらず、1年かけて撮影していた。『三月のライオン』に出演の趙方豪さんから「せめてオリンピック監督になってくれ」と言われ「4年に1本かぁ」と感じたが、趙さんが亡くなって以降、毎年撮るペースに。現在では「映画は、皆さんに映画館で観てもらうことが一番。10年間あたためて発表するより、上映することが大事。今日観てもらった皆さんの顔を忘れないようにして、次は裏切るからね」と、自身の中で変わっていった。

 

 

今回、『スティルライフオブメモリーズ』公開記念として、本作を上映する映画館では、矢崎仁司監督特集を開催。矢崎監督の代表作でもある『三月のライオン』についても解説する。撮影当時は「光が一番、二番が場所、俳優が三番」がモットー。だが、趙さんが亡くなる前に「人を大切にしろ」と言われ、ハッと気づかされた。亡くなった時の遺品からネクタイを受け取り、人を大切にすることを忘れそうになった時に触ろうと思い『ストロベリーショートケイクス』以来、趙さんのネクタイをしていたが、流石にボロボロに。現在では、自身の仕事について「人を見て大切にすること。光などは撮影の石井さんに任せて、人を大切にするようになった」と変化してきた。以前は、映画1本撮ると「二度と矢崎とやりたくない」と言って居なくなる人達がいたが、最近は「またやりたい」と言ってくれる人が増えており「私も変わったのかな」と告白する。

 

『ストロベリーショートケイクス』にスタッフとして参加した花岡さんは「元々、映画の仕事をしたいと思ったきっかけは『三月のライオン』。高校生の時に観て、こんな人が日本に居るんだ、と驚いた。今後、映画を撮りたいと思ったきっかけの作品」だと明かす。その後、様々な方からの縁によって『ストロベリーショートケイクス』の制作部に加入した。矢崎さんは「花岡さんがいなかったら、『ストロベリーショートケイクス』は出来なかった。初めて商業映画として撮ったので、撮影が1ヶ月だなんて信じられなかった。花岡さんが可愛がってくれた」と絶賛。花岡さんは、自身の仕事について「ロケハンが私の仕事。ロケ場所への想いは一筋縄ではない。不動産屋さんではないので、映画の中での位置づけを教えて頂いた」と感謝している。これを受け、矢崎監督は「具体的な場所が言えれば楽だが、曖昧な定義を言ってしまう。でも、花岡さんが見つけた時に電話がかかってきた」と思い出す。矢崎監督の魅力について、花岡さんは「映画に尽きる。どの作品を観ても矢崎さんでしかない作品が魅力的で好きです」と絶賛するが、矢崎監督は「次は花岡さんを裏切ろうと…」と企んでいた。

 

 

最後に、矢崎監督は「様々な映画があっていい。今、日本で公開されている殆どの映画は一つの塊でしかない。テーブルに並んだ食事の1つしか食べていない。映画には、もっと美味しい御馳走があるので、映画を理解する為に、まずは感じることから始めてもらいたい」とメッセージを伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『スティルライフオブメモリーズ』は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで11月3日(土)より公開。また、神戸・元町の元町映画館と京都・出町柳の出町座で11月17日(土)より公開予定。なお、『スティルライフオブメモリーズ』公開記念 矢崎仁司監督特集として、各劇場で『三月のライオン』『無伴奏』『花を摘む少女と虫を殺す少女』『ストロベリーショートケイクス』を上映(劇場により上映作品は異なる)。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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