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男にとってはコワい話…!?『いつも月夜に米の飯』加藤綾佳監督と谷啓吾さんを迎えトークショー開催!

2018年10月13日

新潟の居酒屋で女将として働くことになった女子高生が恋や仕事に奮闘する物語『いつも月夜に米の飯』が10月13日(土)から関西の劇場でも公開。公開初日には、大阪・十三の第七藝術劇場で加藤綾佳監督と谷啓吾さんを迎えて、トークショーが開催された。

 

映画『いつも月夜に米の飯』は、『おんなのこきらい』の加藤綾佳監督が、「non-no」モデルで映画『最低。』で本格的に女優業を開始した山田愛奈さんを主演に迎え、ふたりの出身地である新潟県でオールロケを敢行した人間ドラマ。東京の学校に通う女子高生・千代里のもとに、地元・新潟で居酒屋を営む母・麗子が失踪したという報せが届く。女手ひとつで千代里を育てた麗子は以前から男癖が悪く自由奔放で、千代里はそんな母へのわだかまりを抱えながらも新潟に戻り、残された料理人アサダとともに居酒屋で働くことに。最初は嫌々だった千代里も、個性豊かな常連客たちや酒屋の息子・瑛一、父親のように気遣ってくれるアサダらに対し、少しずつ心を開いていく…

上映後、加藤綾佳監督と、『おんなのこきらい』に出演している谷啓吾さん(演劇GEAR俳優)が登壇し、トークショーを展開した。

 

加藤監督

前作『おんなのこきらい』で谷さんが出演しており、その後も関西で御活躍されていたので、登壇頂きました。

谷さん

Twitterでの話題が現実化しましたね。

 

☆本作を鑑賞して…

谷さん

いやぁ…最後の台詞には、こわっ!!って思いましたね。加藤監督による女性の視点で作られた映画ですね。

加藤監督

東京でもコワいという感想が多く、ビックリしています。え、どこが!?なんでコワいんだろう・・・

谷さん

これだけのことが起こって、また繰り返すつもり!?という怖さがある。それがあったうえで、まだ執着する!?エンディングロール後のアレを観ても、やっぱりコワいと思ってしまう。

加藤監督

アレも不穏な感じがすると言われます。

谷さん

実際、お母さんと恋仲になって、娘とも恋仲になることはありえない話。置き換えて、知り合いの女性2人と諸々あって、その2人と付き合いたいと思うかな?男から見て…

加藤監督

そういう役を演じましたよね!?

谷さん

ちょっと抵抗ないですか?

加藤監督

予想していなかったと言われることが多くて…

谷さん

『おんなのこきらい』は作為的に作られているが、今作もTwitterでの評判から、加藤監督なりのコワさが出ている作品なんだろうとは感じていました。

加藤監督

序盤から10分ぐらいで、いつコワさが出てくるのか、と思いながら観ていたわけですね。

谷さん

最後の最後に、ドン!ときた、と思ったんですが、主要3人のバックボーンを匂わせているが、他人に対する想像力の無さが…

加藤監督

大変な3人だと思いますよ。

 

☆キャラクターの魅力

谷さん

アサダさんは、生い立ちを匂わせたりするわけですから、男としては理解できる。山田さん演じる千代里の幼さは、人生経験が足りないので仕方ない。一番わからないのがお母さん。でも、いるな、とは思った。

加藤監督

今回は、全員ただの悪い人にはしたくなかった。前作とは大きく違うポイント。全員良い人に見てもらいたいと思ってやっていた。アサダさんはおそらく家族はいなかったからこそ、家族に対する不器用さが悲劇を生んだ話。元町映画館での舞台挨拶では、女性はアサダさんが格好良いと思う方と最低だと思う側に分かれ、男性はアサダさんが格好良いという意見が多い。男性は無自覚に女性を傷つけると感じた。

谷さん

僕はあぁはなりたくないと思いつつ、別の視点で格好良いと思った。アサダさんが作る料理の範囲の多さ。僕はそんなに料理しないが、作る人によって人間性が表れる。そこを踏まえた上で、その人が作るもののファンがいるということは、凄く良く、格好いい。胃袋を掴むパターンですね。会って間もない高校生と一緒に住むことを提案されて応じる男ってどうなん?とは思いましたが、距離感の掴み方が下手なところに現れているかな。

加藤監督

そうかもしれないですね。家族を知らないからこそ、年頃の女の子との距離感が分からず、急接近すると誤解されてしまうことはあるかもしれないですね。

谷さん

ちなみに、アサダさんの年齢設定は?

加藤監督

36歳と脚本上は設定しておりました。

谷さん

歳が近いだろうと思ってました…

加藤監督

お母さんの設定が42歳。

谷さん

なるほどなぁ。お母さんに対して、アサダさんは母性を求めているでしょうね。

加藤監督

アサダさんは否定したくても実際はそうだったし、もしかしたら千代里は父性を求めていたかもしれないが、結果的に恋愛感情を抱いた。

谷さん

僕も36歳なんですけど、女子高生と結婚するつもりで一緒に暮らすなんて、ファンタジーだと思うんです。実際、女性にとっては、どんな感覚ですか?

加藤監督

谷さんなら大丈夫!

谷さん

一緒に暮らすことって、そういうことじゃないでしょ!

加藤監督

私はアリだと思っている。女性はどこかでマセている。大人が意識していなくても、女の子が意識している。思春期特有の感情を映画で表現した。これが20代の男女だと今作のようにはしない。

谷さん

山田さんは可愛いですね。作っていない雰囲気や可愛くない笑い方が逆に可愛い。

加藤監督

今回は、山田さん本人の当て書き。初対面の時から人見知りで打ち解けていない演技もそのまま。ストーリー通りの順撮りで、最後は顔が変わった。

谷さん

最後と最後で全く顔が違いますね。

加藤監督

山田さんの成長物語としても観てもらえたら嬉しい。

谷さん

少女の顔から女性の顔になったとも受け止められる。だから、怖さを感じる。

加藤監督

なるほど!腑に落ちました。

 

☆映画とご飯

谷さん

加藤監督の作品は、ご飯との関係性が重要ですよね。

加藤監督

食べ物が大好きですね。今回は、私と山田さんが新潟出身で、新潟ロケという設定が最初に挙がった。新潟なのでご飯モノをやりたかった。大事なシーンで食べ物を出したがる癖は、前作を終えて自分でも分かっている。

谷さん

お菓子やジャンクフードと家庭の味の違い等、舌先と心の感覚が密接に感じる人かな。

加藤監督

冒頭のハンバーガーとお米の対比は、意識していますね。食べ物が好きなので、何が鍵となるか考えることが楽しかった。

谷さん

今作は、特にトミさんの登場シーンが印象的。口の中に食べ物を淹れながら煙草を吸う人のアウトローな雰囲気は舌ざわりが変でおもしろい。そこから、登場人物が何を食べているか想像していた。

加藤監督

田舎ならではの雰囲気がありますよね。

谷さん

しっかりとした店構えでありながら、厨房の中は丸見えな雰囲気に共感できる。いいお店を選択したなぁ。

加藤監督

あのお店は私の実家近くにある。子供の頃、親に連れていってもらった居酒屋さんに相談し、撮影用に貸してもらった。よく知っている店や街の風景だったので、嬉しさや恥ずかしさもあり、不思議な感覚だった。知らない街の空気感が伝わったらいいなぁ。ご当地映画ではないが、リアルなご当地映画としても向き合っている。

谷さん

旅行者の観光気分ではなない視点がある。生活している人達の視点を生々しく切り取り過ぎずに撮影しているように見えましたね。

 

映画『いつも月夜に米の飯』は10月13日(土)より19日(金)まで大阪・十三の第七藝術劇場と神戸・元町の元町映画館で公開。10月20日(土)から26日(金)までは同じく十三のシアターセブンで上映。また、10月26日(金)から京都・桂川のイオンシネマ京都桂川、11月3日(土)から出町柳の出町座でも公開予定。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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