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第93回アカデミー賞主演男優賞・脚色賞受賞!アンソニー・ホプキンスが迫真の演技で認知症を体現した『ファーザー』がいよいよ劇場公開!

2021年5月13日

(C)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATIONTRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

 

父と娘の絆と家族愛を、認知症の父の視点から映し出す『ファーザー』が5月14日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ファーザー』は、老いによる喪失と親子の揺れる絆を、記憶と時間が混迷していく父親の視点から描き出す。ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは認知症により記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配した介護人を拒否してしまう。そんな折、アンソニーはアンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる。しかしアンソニーの自宅には、アンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男が現れ、ここは自分とアンの家だと主張。そしてアンソニーにはもう1人の娘ルーシーがいたはずだが、その姿はない。現実と幻想の境界が曖昧になっていく中、アンソニーはある真実にたどり着く。

 

本作は、日本を含め世界30カ国以上で上演された舞台「Le Pere 父」を基に、原作者フロリアン・ゼレールが自らメガホンをとり、「危険な関係」の脚本家クリストファー・ハンプトンとゼレール監督が共同脚本を手がけた。名優アンソニー・ホプキンスが認知症の父親役を演じ、アン役を「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマンが務めている。第93回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、助演女優賞など計6部門にノミネートし、ホプキンスが『羊たちの沈黙』以来に2度目のアカデミー主演男優賞のほか脚色賞を受賞した。

 

(C)NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATIONTRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

 

映画『ファーザー』は、5月14日(金)より全国の劇場で公開。関西では、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。また、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマTOHOシネマズなんば等でも近日公開。

是非、本作を予備知識を全く持たずに観てほしい。スクリーンから放たれる驚愕の展開によって、戸惑いの快感をクライマックスまで得られる。今年における傑作の1本となることを願いたい。

 

本作は、アンソニー・ホプキンス演じる主人公アンソニーの視点で展開していく。時折、アンソニーの娘アンによる視点で語られるが、基本的にはアンソニーの物語が綴られる。また、アンソニーの周りで起こる出来事は断片的に映し出されていく。アンソニーがいる場所は結局どこなのか。アンソニーは時計をしきりに気にしながらも具体的にいつのことなのかも分からない。さらには、目の前にいる相手が誰なのか本質的には分からずじまいだ。観客も戸惑うことしかできないと思っていたら、いきなり次の場面に切り替わる。ひょっとして、とあるストーリーを切り取ってランダムに並べ替えたのか。所謂カットアップの手法を用いた作品なのか、と推測してしまった。クライマックスで全ての謎が繋がった時、思わず唸ってしまう。驚愕の連続を経た後にズシリと重い本作のテーマに気づかされた。

 

今作は、元々はフランス・パリ出身の作家・劇作家であるフローリアン・ゼレールによる戯曲。世界30ヶ国で上演され、日本でも橋爪功さん主演で公演されている。ロケーションの数が少なく、舞台作品の映画化と云われると納得するが、自らが監督・脚本を担い、映画化のための脚色が十分に織り成されており、アカデミー賞を受賞したことも納得の出来だ。アンソニーの目の前で繰り広げられる世界について、彼の頭の中にいながら感じられるような体験が出来る。まさに、これまでありそうでなかった認知症を疑似体験できる傑作だ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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