2014年に香港で行われたデモ「雨傘運動」を捉えたドキュメンタリー『乱世備忘 僕らの雨傘運動』がいよいよ関西の劇場で公開!
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香港の若者が“真の普通選挙“を求めてデモを起こし、警官隊と衝突した事件を、当時27歳で実際にデモに参加したチャン・ジーウン監督が記録した映像をとおして映し出す『乱世備忘 僕らの雨傘運動』が10月13日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』は、2014年に香港で起こった「雨傘運動」の一部始終を、運動に参加した若者たちの視点から記録したドキュメンタリー。2014年、将来的に普通選挙で行政長官を選ぶことができるようになるはずだった香港で、民主主義的な普通選挙の道を閉ざす「8.31決定」が下される。これを受けて「真の普通選挙」を求める若者たちが街を占拠するデモ活動を開始し、警官隊から浴びせられる催涙弾に対して雨傘を手に抵抗したことから、一連のデモは「雨傘運動」と呼ばれた…
本作は、当時27歳の若手映像作家チャン・ウージン監督がデモの前線でカメラを回し、その中で出会った学生らに焦点を当て、ごく普通の若者たちが「香港の未来」を探し求めた79日間を記録した。2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭「アジア千波万波」部門で小川紳介賞を受賞。
映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』は、10月13日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、京都・出町柳の出町座で公開。また、11月10日(土)より神戸・元町の元町映画館でも公開予定。
「一国二制度」が保たれていた香港において、「普通選挙」が導入される予定だったはずが、中国本土の力が介入してきたことで、高校生や大学生らが立ち上がった。彼らにしてみれば、これから選挙権を得て、一票を投じれると期待していた中で、そんな決定が下されたら、いても立ってもいられないだろう。でも、そこに立ちはだかるのは「国」を背負った立場である警察という無機質なものでしかなかった。国を動かすということは相当なものである。
隣の国から見れば、あくまで雨傘運動が起きていることが報道されるだけ。そこに善悪の判断はしようがない。どのような動きがあったのか詳細は計り知れない。チャン・ウージン監督は、まさに学生と警察の境界に立って現場をカメラで捉え作品に作り上げた。でも、結局、デモによって何を変えられたのか。世界に向けて報道されたのに、なんらかの変化があったのか。この運動は、いつか未来を変えられる一石を投じられたのか、日本でのSEALDsの活動も含め、考えていきたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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