インド繊維工場で働く人々の過酷な実態捉えた『人間機械』がいよいよ関西の劇場で公開!
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著しい経済成長を遂げているインドの巨大な繊維工場にカメラを持ち込み、劣悪な環境で働く労働者たちの姿や、グローバル経済がもたらした過酷な現実を映しとったドキュメンタリー『人間機械』が10月6日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『人間機械』は、インドの出稼ぎ労働者たちが直面する苛烈な現実を長回しの撮影で追ったドキュメンタリー。インドの北西部グジャラート州にある巨大繊維工場。劣悪な環境下で働く労働者たちの姿をカメラが淡々と追う。宗教画を思わせる画面構成と工場の機械音を捉えた音響設計によって、著しい経済成長を遂げるインドのもう1つの現実を観客に訴えかけていく…
本作の監督は新鋭ラーフル・ジャイン。山形国際ドキュメンタリー映画祭2017のインターナショナル・コンペティション部門上映作品(映画祭上映時タイトル「機械」)。宗教画を思わせるほどの美しさが漂う流麗なカメラワークや、作業機械から出る音の反復がもたらす圧倒的な音響がカタルシスさえもたらす、異様な迫力を持った怪作である。
映画『人間機械』は、10月6日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開。また、10月20日(土)より京都・出町柳の出町座でも公開予定。
過酷な労働条件の中で作られた製品がなぜこのように美しく見えるのだろうか。真っ白な繊維を以てして不思議でならない。それらが世界中に出回っているとしたら、なんともいえない気分になる。工場の95%以上に労働組合はなく、残業時間は週70~80時間を超え、そのほとんどが無賃金あるいは低賃金だという。まさに強制労働としか言いようがない。作品に登場した工場は、その地域の中では最も労働環境が良いとされている工場だという。とすれば、周りの工場はどれほど劣悪な環境なのだろうか。奴隷として働かせているといっても過言ではない。
新鋭ラーフル・ジャイン監督は、この記録映画を以て、中流・上級階級の人達に向けて訴えている。この作品を観て何も思わないのか、行動を起こそうという気にならないのか、と。凄まじい音響がある環境の中でありのままをカメラが捉え、生の声を収めた監督の力は世の中を少しでも変えていくのか、続きを楽しみにしたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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