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雪村葉子さんの世界観を伝えたい…!『私は絶対許さない』関西上映初日舞台挨拶開催!

2018年4月28日

15歳で集団レイプの被害に遭い、加害者たちへの復讐を胸に生きてきた雪村葉子さんによる手記を映画化『私は絶対許さない』が4月28日(土)よりいよいよ大阪・十三の第七藝術劇場で公開。公開初日には、主演の平塚千瑛さんと西川可奈子さん、和田秀樹監督を迎えて舞台挨拶が開催された。

 

映画『私は絶対許さない』は、15歳で性的集団暴行の被害に遭い、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きてきたという雪村葉子によるセンセーショナルな手記を映画化。東北地方の田舎でごく普通に暮らしていた中学3年生の葉子。そんな彼女の平凡な日々が若い男達に無理やり輪姦されたことで崩壊する。ひょんなことから出会ったレイプ犯の1人の養父と援助交際の契約を交わした葉子は、地獄からの脱出、そして男たちへの復讐のためにひたすら金を貯め続ける。高校を卒業し、東京へと向かった葉子は全身整形を施し、昼間は真面目な学生、夜は学費や生活費を稼ぐために風俗で働くという生活をスタートさせるが……

 

大阪での公開初日を迎え、大阪出身の方々が登壇する舞台挨拶であることから、劇場内は立ち見になるほどの満員御礼状態。上映前に主演の平塚千瑛さんと西川可奈子さん、和田秀樹監督が登壇。平塚さんから感謝の気持ちを伝えると共に「内容は衝撃的ですが、最後まで皆さんの目で観て頂けたら」とご挨拶。大阪府堺市出身の西川さんは「地元の大阪で舞台挨拶が出来ることを心待ちにしておりました」と嬉しさを表すと共に「この作品はセンセーショナルな内容。雪村葉子さんの世界観を目の当たりにする映像が続きます。この事実を受けとめて頂いて、性犯罪の実態を作品を通して世に発信していきたい」と訴えた。実は関西出身の和田監督は「生まれは大阪、中学・高校は神戸だったので、今朝は浜村淳さんの番組に出演させて頂き感激している」と気持ちが昂っている。だが、一転し「映画はシリアスな内容。私自身は、精神科医として1991年にアメリカに留学し、トラウマというものに出会った。当時のアメリカでは親による性的虐待が話題になっていた」と振り返った。帰国後、阪神淡路大震災後に毎週神戸に通っており「震災後のトラウマにより、昨日まで生きて生きた時間と翌日からの時間の連続性がなくなり、自分が踏みしめている地面が信じられなくなってしまうと仰る患者さんがいた。トラウマとは怖いもの」だと実感。トラウマをテーマに映画を撮りたいと長年思っていたが「良い原作がなかなか無い。性被害に遭った人が悪夢にうなされたり、男性不信になったり。引きこもりになったり、多重人格になったりする内容が多く説明的な内容」だと辟易する日々を過ごす。そんな折、本作の原作本について解説執筆の依頼を受け「これがリアルだと感じた。映像にしたい」と感無量に至った。

 

本作の撮影について、平塚さんは「クランクイン初日、成人後の葉子さんの撮影から始まった。まず、学生時代の葉子さん役である西川さんとの掛け合いに苦労したが、心強い俳優陣とスタッフに恵まれ、撮影を終えられた」と振り返る。役作りにおいて「トラウマ関連の本を読んだが、実感が掴めず…和田監督に相談し、雪村葉子さんとお会いするのが一番ということになった。直接お会いし聞いたことを役作りに反映していきました」と明かす。隆大介さんとのシーンが多かった西川さんは「初対面時から台詞合わせやディスカッションに時間を割いて頂いた。隆さん演じる早田と葉子さんの関係性がクランクインまでに出来上がりました」と安心。和田監督ともディスカッションし「トラウマの話をお聞きし、もう一人の冷静な自分との使い分けについて確認していった」ことで役作りを仕上げていった。

 

本作で多くを占める主人公の主観撮影について、和田監督は「精神医学・心理学の業界用語で『共感』という言葉があります。同情とは違う。相手の立場に立って行動すること」と解説。レイプ被害者の立場になってもらうため「撮影技法を考えた時、被害者の目から見た世界を描こうと思い、撮影監督の高間賢治さんに相談。最初は嫌がられたが、カメラが小さくなっているので撮ってみよう」と主観撮影に至った。撮り方を実際に説明しながら「主観撮影について、男性は意見が分かれるが、女性は2タイプある。マスコミ試写では、あまりの怖さに逃げてしまった方がいた。最初の5~10分を我慢してもらえれば、そんなに怖くはなく、追体験することでよく分かる。女性の立場で考えてくれて良かったと好意的なコメントも頂いた」と明かす。男性の反応は「追体験が出来る人と出来ない人がいて意見が分かれる。女性の立場に共感して頂いたり、隆大介さんに『本当に腹が立った』とコメント頂いたりしている」と性犯罪に対する怒りを感じて頂いたので、企画としては成功したと自負する。

 

主観撮影について、平塚さんは事前に聞いていたが「5秒程度のシーンでもこんなに撮り直しをする必要があるのか」と驚いた。主人公の目線による物語を作る必要があり「高間さんとの打ち合わせに多くの時間を割いた。共演相手と私の間にカメラが入ることでお互いの演技に支障があり大変だったが、2人で雪村葉子さんを作った」と振り返る。西川さんは「こんなにカメラマンと距離が近いことはない。常に密着している状態で走ったり躓いたりするので一心同体だった」と告白。和田監督は「殴られたり蹴られたりするシーンもリアルにするため、カメラに向かって叩いてもらったり蹴ってもらったりした。高間さんは相当な恐怖を感じた」と明かす。

 

最後に、平塚さんは「冒頭の5~10分で、心を抉られてしまうと思いますが、雪村葉子さんの半生を綴った実話です。ぜひ最後までご覧頂きたい」とお願いする。西川さんも「レイプは魂の殺人と呼ばれる卑劣な犯罪です。雪村さんは15歳の時に経験し、私は絶対許さない、という気持ちを今でも持ち続けています」と訴えると共に「作品に出てくる加害者は実名を使用しています。復讐心を今も沸々と持ちながら生き続けている雪村葉子さんの世界観をじっくりと感じて頂きたい」と懇願。和田監督からは「被害者の心理から見えてきた世界を追体験してもらえる映画になったと信じています。出演者とスタッフの努力の結晶です。撮影が大変であったと同時に音響設計や音楽にも拘っています。最後までお楽しみ頂ければ」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『私は絶対許さない』は、4月28日(土)から大阪・十三の第七藝術劇場で公開中。なお、4月29日には平塚千瑛さんと西川可奈子さんによる上映前の舞台挨拶を急遽開催する。また、京都・出町柳の出町座で6月公開予定。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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