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湊かなえさん原作の映画『望郷』京阪神の劇場で公開!大東駿介さん菊地健雄監督を迎え舞台挨拶開催!

2017年9月30日

9月30日(土)より大阪・梅田のテアトル梅田で、湊かなえさんの小説を原作とする映画『望郷』が京阪神の劇場で公開。公開初日には、公開を記念して主演の大東駿介さんと菊地健雄監督を迎えて舞台挨拶とサイン会が開催された。

 

映画『望郷』は、湊かなえさんの1つの島を舞台にした全6編から構成される短編集『望郷』から、「夢の国」「光の航路」の2編を貫地谷しほりと大東駿介の主演で映画化。しきたりを重んじる家庭に育ち、島で故郷に縛られる生活をしていた夢都子は、大人になり幸せな家庭を築いていた。そんな中、子どもの頃から自由の象徴として憧れていた本土にある「ドリームランド」が今年で閉園することを知り、彼女がずっと思い続けていたことを語り始める。一方、転任のため9年ぶりに本土から故郷の島へ帰ってきた航のもとに、1人の男性が訪ねてくる。教師をしていた父の教え子を名乗る畑野の話から、航は父の本当の姿を知ることとなる…

上映後、満員立ち見状態の中、大東駿介さんと菊地健雄監督が登壇。大東さんから「今観終わったばかりなので、本当は2、3時間かけて感想を聞きたい」、菊地監督からは「テアトル梅田は大東君の出身地である大阪の映画館なので、僕も非常に楽しみにしてきた」と今回の来阪への想いを伝えると共に舞台挨拶は始まった。

 

大東さんは大阪府出身であることから、今回の舞台挨拶について「嬉しいです。向かいの劇場で舞台に出演した際、昼公演のみの日はテアトル梅田に鑑賞しに来ていたので、ここで自分が出演した作品を上映でき、皆さんの前で話すのは恥ずかしくも不思議な感覚です」と照れた。前日に大東さんと共に関西入りした菊地監督は「実は、昨日は有馬温泉に2人で泊まり、一晩中映画談義をしていた。大東君は時間さえあれば劇場に通う役者さんなので、僕にとっても信頼できる役者さん」だと大東さんを讃える。

 

菊地監督は栃木県足利市出身。助監督時代に日本全国津々浦々を訪れているが、大阪ロケは経験していなかった。映画監督デビュー作『ディア―ディア―』や『ハローグッバイ』上映の際には来阪し舞台挨拶に登壇。大阪の印象について「来る度におもしろい街だと感じる。人の活気が東京含め関東とは違う。鑑賞後のお客さんからは率直な感想を伝えてもらう印象があり、作り手としては嬉しく、僕らも励みになる」と感謝している。

 

大東さんをキャスティングした決め手について、菊地監督は「まず、湊かなえさんの原作を映画化しようとプロデューサーと組んで制作が始まり、小説のモデルになった因島で撮影したいと早い段階から伝えていた。シナリオをつくっていく中で、誰に主演してもらうか決める段階になると、キャスティングは島の中での存在感に拘った」と明かす。そこで白羽の矢が立った大東さんについて「出演している作品は何度も観てきたので、幅広い役柄を演じられ、お芝居が上手い役者さんという印象があった。きっと大東君なら、普通の先生の役でありながら、主人公として注目される絶妙なバランスで演じてくれるんじゃないか」と期待した。出演にあたり「大東君は意外とエキセントリックで個性が強い役柄を演じている印象があったので、自分としてもチャレンジだ」と思っていたが、お願いしてみると快く引き受けてもらい、有難く感じている。

主人公を引き受けた大東さんは「僕は悪い役か色っぽい役が多く、初めてどちらでもないことから挑戦だった。台本と原作を読ませてもらい、どうしても自分の過去や故郷と向き合う瞬間が何度もあり、自分と対話しないといけない」と腹を括った。主人公を担うにあたり「因島で本作を全編撮ろうと言った監督を即信頼した。『望郷』という作品は、湊さんの故郷である因島がモチーフになっている小説であり、因島で撮影する意味は間違いなくあった」と確信。現場入り後の大東さんは「なるべくホテルに籠らず、因島の人と時間を過ごそうと心掛けた。主人公の航が過ごしてきた時間、『望郷』が描かれた因島の時間を自分に取り込む作業に勤しんだ」と役作りに集中した。

 

撮影現場での大東さんについて、菊地監督は「因島で生活されている方達の生の声を誰よりも聞いていた。軽々と現場に入っていき、気付いたらレモン農家の人と知り合いになっていたり、行きつけのお肉屋さんと仲良くなりコロッケを差し入れてくれたりした」と振り返る。大東さんからも「3世帯ぐらいの家族の食事会になぜか呼ばれた」とエピソードを漏らす。他にも、大東さんがレモン農家の今後や地域活性化について助監督と議論が白熱するに至ったことまで明かされた。因島で撮影したことについて、菊地監督は「大東君が因島に対する想いを持ってくれたので、相手も応えてくれる。映画撮影は、現地にお邪魔しつつも、現実に入り込めないことが多い。島も1つの登場人物として因島についての話を映画にしたい」と考えていた。本作を完成させ「進水式の撮影含め、島の人達の協力によって立体的な映画に仕上がった。俳優以上のお仕事をしてくれた」と満足し、10月末には因島にまた訪れることを約束した。

 

菊地監督は日本の映画業界についても触れ「映画を取り巻く状況は厳しいが、僕らはドラマ等もやりつつ、基本は映画をやりたいという想いがある。そのためにも、まず映画館を盛り上げていきたい。普段、劇場に足を運べない方も多いかと思うが、特に『望郷』は映画館で観てもらいたい」と願いを込める。菊地監督は東京以外の地域をテーマに映画をつくってきており「東京に負けないぐらい、大東君の出身地である大阪の皆さんと共に盛り上げて頂きたい」と意気込む。

 

最後に、大東さんは「今回、因島で全編撮らせてもらった。故郷を想う本作のテーマから、僕は大阪を想いながら作品と向き合った」と告白。本作の魅力について「因島と接し、これまで知らなかった関わりのない土地で故郷のように友達ができ、土地の素敵なところや問題を知ったり悩んだり考えたりできること」だと話す。「今作で大阪に帰って来て劇場を回らせてもらうと、いつ、誰と、どういう風に、何処の劇場で映画を観たかが、本作に影響を与えることに気づいた。これからも映画館で映画を観てほしい。こういう映画館がずっと残っていけばいいな」と劇場への愛情と感謝の気持ちを込めた。菊地監督は「『望郷』は、自分にとっては初めて小説を映画化することになり不安もあったが、結果として、素晴らしいキャストの皆さんが集まり、誰一人欠けてもこの作品はできない」と完成後の本音を打ち明ける。パンフレットの内容にも触れ「全キャスト・スタッフやエキストラの皆さんの名前が載っている。特にスタッフは、今後の日本映画を背負って立つ人材がおり注目して頂きたい」と映画の楽しみ方も提案。「これからも劇場に足を運んで頂けるように僕らも良い作品を作っていきたいので宜しくお願いします」と決意と共に感謝を伝え、舞台挨拶を終えた。その後、大東さんと菊地監督は時間ギリギリまで長蛇の列となった多くの来場者の感想を聞き入りながら、パンフレットへのサインに応じていた。

 

映画『望郷』は、9月30日(土)から大阪・梅田のテアトル梅田と京都・烏丸の京都シネマで公開中、10月7日(土)からは神戸・元町の元町映画館でも公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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