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『タクシードライバー祗園太郎THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』大阪で上映開始 初日ティーチイン開催

2017年4月1日

4月1日(土)より大阪・十三のシアターセブンで京都の人気劇団「ヨーロッパ企画」がお贈りする、世界にたった一つの紙人形(ペープサート)映画『タクシードライバー祗園太郎THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』が公開開始。公開初日には永野宗典監督とFM802DJの野村雅夫さんを迎えてお客様参加型形式の「映画の質問丸ごと受けます!ティーチイン」が開催された。

タクシードライバー祗園太郎THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』は、京都の人気劇団「ヨーロッパ企画」が贈る世界にたった一つの紙人形(ペープサート)映画。タクシードライバーの祗園太郎は、生まれも育ちも古都・京都。これまで一度も京都盆地から外に出たことはない。ある日、京都駅から美しい女性客を乗せた太郎は、テレビニュースでその女性が、祇園で製作される映画でヒロインを演じる女優だと知る。彼女に再会したい一心で地元キャストのオーディションを受け、見事合格。下見のために彼女とデートをすることに。そこで何者かに追われている外国人と出会い、祇園の老舗和菓子店「鍵善良房」のご主人に助けてもらう。ドタバタの中、映画はクランクインをするのだが、果たして映画は完成するのか。太郎の恋の行方は?そして外国人の正体は…?

シアターセブンでの公開初日、上映後に永野宗典監督はFM802DJの野村雅夫さんを迎え、本作を知ったきっかけから伺った。野村さんは「もともとTV放送を観ていて祗園太郎を知っていた。ふとした拍子にTwitterのタイムラインに祗園太郎の文字が流れてきて、今回の映画化を知り驚いた」と明かす。今回のイベントに出演に関しても「紙人形のプレゼント企画に興奮して関係者に連絡し、紙人形が欲しい旨を伝えたことから、つながりがうまれた」と語る。

野村さんは、祗園太郎について「NHK Eテレで放送していたのを何度か視聴していた。NHK総合でまとめて放送されていた時に遭遇し永久保存版で録画し、折に触れて何度も視聴した。撮影で使用された『喫茶チロル』へは聖地巡礼に伺った。祗園太郎と同じ街に居るという感覚が楽しかった」と話す。

祗園太郎の映画化に関して、野村さんは、TV版におけるストーリーが進んでいくテンポの良さがどうなるのか、TV放送のダイジェスト版になるのでは、と懸念していた。しかし、映画を鑑賞し「思っていたのと違い、一本のストーリーがあって、映画らしいスケール感があった。映画の中で映画を撮っているというメタ構造を取り入れられている」と述べた。「どんどん場面が変わっていき目まぐるしい展開が維持されたうえで、新しいところに話を広げていった。回顧的になるより前に向かった」と感じた。「細かいところに仕掛けがあって、それが積み重なって大きな物語になっていく。情報量が多くて台詞も細かいが、観客の心をくすぐってくる」と分析した。

永野監督は、祇園を舞台に映画をつくるにあたって「実際に祇園を散策し、葛切りに出会った。葛が緑化運動に使われていることを知り、街の復興に緑化運動が絡められる」と考えた。また、祇園祭について調べ「疫病によって荒廃した祇園の街を復興するために、街の人々が起ち上がったことで始まった祭りだと分かった。街の歴史を重ねて映画にできる可能性が高まった」と明かす。

 

今回のイベントはティーチイン形式であることから、鑑賞直後のお客さんが記入した質問・感想シートをFM802のDJである野村雅夫さんがラジオ風に読み上げ永野監督が答えていった。

映画の構想をどのように練ったのか、と問われると「今作をつくるにあたって煮詰まっていた。祇園をロケハンし祇園の人々や伝統といった魅力と深みを知り、煮詰まりから抜けた。自身の経験を置き換えてシナリオにしていった」と永野監督は語る。

撮影方法について聞かれると「ブルーバックによる合成の手法は使わず、全部ロケで撮影した。人が通ると縮尺がおかしくなるので、NGを重ねながら撮影した」と答えた。

キャラ造形について聞かれると「ヨーロッパ企画の角田貴志さんにデザインを一任した。とはいえ、声優さんの顔に似せるようにした」と話す。

撮影時に台詞は言っているのか、と問われると「自身で台詞を読んで紙人形を動かしてもらいながら撮影すると、芝居を確認できない。そこで、芝居の台詞をスマートフォンのヴォイスメモで記録したうえで、芝居の内容を観て確認しながら撮影した」と明らかにした。

祗園太郎の人形は何体ぐらい用意しているのか、と問われると「映画版では、基本は正面、背中、左右の4体。顔が割れるシーン向けにレプリカをいくらか用意し、変化する顔の表情も合わせて作成し7体はある」と答えた。野村さんは「観客が表情を読み解いていくバランスがおもしろい。変化をつけすぎてもおもしろみが削がれる」と分析。永野さんは「横顔に対して感情移入ができる」と紙人形の魅力を伝える。

 

最後に野村さんは永野監督に祗園太郎の今後について伺った。永野監督は「(本心としては)またやりたい。だが、当時のスタッフは皆大変な苦労をして紙人形を用いた作品の撮影を行った。『しばらくは作品をまともに観られなかった』とスタッフから打ち明けれられ、第2弾をやります、となかなか言えない」と心境を語る。だが「韓国とアメリカの映画祭のアニメ部門で最優秀賞を受賞し、スタッフの苦労が報われた。認められたといえる機会を得られたことが嬉しい。それがなければ大阪での上映はなかった」と永野監督は思っている。永野監督は「舞子の世界をやりたい。本作をつくる過程で祇園の街の人達と物凄く深くつながることができた。舞子の映画はいくつかあるが、セットだったり京都でなかったりする。本格的な舞子の世界を描いた作品を第2弾で撮影したい(スタッフの反応をうかがいながら)」と話した。

映画『タクシードライバー祗園太郎THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』は大阪・十三のシアターセブンで4月1日(土)から4月14日(金)まで公開。4月1日(土)~4月7日(金) 18時:30分~19時31分、4月8日(土)~4月14日(金)19時50分~20時51分にて、料金は一般1,500円シニア1,100円シアターセブン会員1,000円となっている。なお、4月2日(日)上映後には永野宗典監督を迎えて、お客様参加型形式で「映画の名シーンを完コピ!撮影体験」が開催される(4月1日(土)か4月2日(日)の映画鑑賞者が参加可能)。実際に劇中使用した紙人形を使って、たった今観たばかりの映画の名シーンを完コピし、その映像をその場で早速観てみようという撮影体験イベントとなっている。動画カメラはiPhone、iPad(Lightningコネクタ式)を使用するので、参加したい方はご持参を(なくても大丈夫)。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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