日本ではじめて映された”映画”がよみがえる 立誠シネマで映画伝来120年新春シネマ会開催
京都・木屋町の立誠シネマで、リュミエール・シネマトグラフ日本伝来から120周年を記念し、リュミエール作品集の上映と伴奏に活弁を付けたサイレント作品の上映を行う「映画伝来120年新春シネマ会」が2月3日(金)に開催される。
1895年にリュミエール兄弟によって発明されたシネマトグラフは、1897年にパリから日本へ輸入された。フランス留学時にリュミエール兄弟と級友だった稲畑勝太郎が、1896年に万国博覧会の視察と商用を兼ねてフランスを訪問し、シネマトグラフの興行権と試写機を購入、映写技師兼カメラマンのコンスタン・ジレルとともに帰国。稲畑は帰着した神戸港から実家のある京都へシネマトグラフを運び込み、試写実験に挑んだ。立誠小学校だった場所は当時は京都電燈(現在の関西電力)があり、協力を得てシネマトグラフが日本国内で初めて投影された。11897年1月あるいは2月初旬の雪の降る日だったとされている。そのため、元・立誠小学校は日本映画原点の地とされ、2010年6月には京都市によって駒札が設置されている。
今回、映画伝来120年を記念し、次の作品を上映する。
「リュミエールシネマトグラフ作品集」(1985〜1900年)
スクリーンに投影して大人数で鑑賞する形態はリュミエールの発明したシネマトグラフによって成り立った。最初期、リュミエール社のシネマトグラファーたちが撮った1シーン1ショット1分の作品たちをまとめた小特集。鳥飼りょうさんによる演奏付きで上映される。
「祇園小唄絵日傘・第一話 舞の袖」 (1930年)
マキノプロダクションを代表する金森万象が祇園を舞台に撮った「小唄映画」。サイレント時代のミュージカルメロドラマは、ロケーション撮影も活かし、祇園を舞台に悲劇が展開する。鳥飼りょうによる演奏、月亭太遊さんが弁士、中崎静秋さんによる台本・演出にて上映される。
また、「シネマトグラフと日本」と題して、京都文化博物館の森脇清隆さんとプラネットプラスワン代表の富岡邦彦さんによるトークも予定されている。
「映画伝来120年新春シネマ会」は2月3日(金)18時開場で立誠シネマにて開催される。立誠シネマにて受付を行い、上映会は同じ階の「自彊室」にて行う。会費は2,000円、中学生以下は無料となっている。
120年前に日本で初めて上映された作品を2017年の現在に鑑賞できる機会があるのは大変に貴重で嬉しいことだ。技術の発達と共に多様な作品がある現在において、改めて原点を辿ることも大切なことだ。リュミエール兄弟がいなければ、私も多くの作品を観る機会はなかった。原点を顧みた上で、改めて映画の素晴らしさを感じていきたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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