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台湾ひまわり運動とその後の課題映すドキュメンタリー『私たちの青春、台湾』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2021年1月20日

(C)7th Day Film All rights reserved

 

2014年3月、国民党の強行採決に反対した学生たちが立法院を占拠し、多くの世論の支持を得た“ひまわり運動“の中心人物と中国人留学生の活動を追い、未来を模索する台湾の理想と現実を映し出す『私たちの青春、台湾』が1月23日(土)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『私たちの青春、台湾』は、2014年に台湾で起きた学生たちによる社会運動「ひまわり運動」のリーダーと、中国人留学生の人気ブロガーの活動を通し、台湾民主化の歩みを記録したドキュメンタリー。2014年3月18日、台湾学生運動の中心人物・陳為廷(チェン・ウェイティン)は、林飛帆(リン・フェイファン)とともに立法院に突入し、ひまわり運動のリーダーとなった。一方、中国からの留学生で人気ブロガーの蔡博芸(ツァイ・ボーイー)は、台湾における“民主”のあり方をブログで伝え、書籍化されて大反響を呼ぶ。傅楡(フー・ユー)監督はそんな彼らの姿に期待を膨らませるが、ひまわり運動後、彼らの運命は失速していく。さらにカメラは、香港の雨傘運動前の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)との交流を追い、台湾・香港・中国が抱える問題、海を越えた相互理解の難しさ、民主主義の持つ一種の残酷さを浮かび上がらせていく。なお、2018年の第55回金馬奨で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。

 

(C)7th Day Film All rights reserved

 

映画『私たちの青春、台湾』は、関西では、1月23日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、1月29日(金)より京都・九条の京都みなみ会館、2月6日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

ほんの数年前の台湾の状態は、現在とは印象が大きく異なることが理解できる興味深いドキュメンタリーだ。 台湾の政治といえば、今真っ先に思い浮かぶのは、コロナ禍における透明度の高い政府の対応、デジタル担当大臣のオードリー・タン氏が主導する迅速なIT情報インフラの整備、これらの効力の高さだ。 マスコミでも度々報じられるその鮮やかな政策に感嘆し「台湾はこんなにも国民の声が届き、人々を支える政策がしっかりと推し進められているのに・・・」と切なくなった方も沢山いるのではないだろうか。私は絶望感を感じるほどに愕然としてしまう。

 

しかし、その台湾でも、ほんの数年前、2013年頃には「真っ黒で不透明」とされた政権に対し、ある法案に異議を唱える学生達が国会議事堂を占拠し全土を巻き込むデモを行っていた。1960年代における日本の学生運動を思い起こさせるような映像は、今日の台湾もこんな闘争を経て成立してきたものなのだ、と認識を与えてくれる。 ただし、このドキュメンタリーをただ眺めるだけでは、理解し切れない事情も多い。「ひまわり運動」や「サービス貿易協定」についての詳しい説明はされないからだ。本作を観終わった最初の印象は、少し驚くほどにタイトル通りの「青春」をテーマにしている。おそらく「結果的にそんなドキュメンタリーになった」のだろう。「挫折」が後味として残る。

 

世の中を変えたい、と願う熱意溢れる若者の代表として存在する屈託のない青年、中国出身で台湾を愛し2つの存在の架け橋になろうとする女子学生、そして、彼らの姿を逃さずカメラに収めようとする30代になったばかりの監督自身。まだ確定していない未来に夢を馳せ、怖いもの知らずに突き進む彼らの行きついた先の姿は、本当に意外なかたちで一区切りを迎える。 本作を観ることで、台湾が現在の姿になる少し前の姿を知り、その歴史をもっと深く学ぶきっかけになることを願う。さらに詳しいことはネットの情報などから自分で補う必要があるが、まずはデモに参加した若者たちのありのままの姿をしばし見つめて頂きたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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