個人コレクターを通してゴッホに迫るドキュメンタリー『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』がいよいよ関西の劇場でも公開!
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個人コレクターとしては最大規模である、画家・ゴッホの作品約300点を収集したヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人をめぐるドキュメンタリー『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』が11月8日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』は、世界随一のゴッホの個人コレクター、ヘレーネ・クレラー・ミュラー夫人の目を通して、ゴッホを描いたドキュメンタリー。フィンセント・ファン・ゴッホ作品の個人のコレクターとしては最大規模となる約300点を収集したヘレーネ・クレラー・ミュラー。オランダ有数の資産家で、4人の子どもの母親でもあった彼女は、娘が通っていた絵画教室で芸術に接し、絵画のコレクションをスタートさせる。ゴッホ作品を中心とした彼女のコレクションは1938年にクレラー・ミュラー美術館として結実した。
本作ではゴッホ研究の第一人者であるマルコ・ゴルディンの監修により、修業時代から自殺の直前まで変化し続けたゴッホの作風を波乱の人生と重ね合わせて解説。ゴッホとヘレーネが残した膨大な手紙から、芸術と人間の生を探究する2人の深層に迫っていく。ガイド役として『人間の値打ち』『歓びのトスカーナ』で知られる女優バレリア・ブルーニ・テデスキが出演。
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映画『ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝』は、11月8日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、11月30日(土)より京都・烏丸の京都シネマで公開。また、2020年2月より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸でも公開。
ゴッホの生涯を取り上げた劇映画やドキュメンタリーは多数あるが、本作も他に負けずに見応えがある。オーヴェル=シュル=オワーズで亡くなる日の再現シーンは、経緯を知っていても緊張して見入ってしまう。だが、この作品の神髄は、ヘレーネという人物がこのゴッホという画家に惚れ込んで、ついには莫大な私財を投じて美術館を作り上げるまでの感動的な軌跡を辿ることにある。
ある芸術家のことを純粋に愛した1人の人間が、他の人々にもこの感動を伝えたい、という情熱で誰も成し得なかったことを実現してゆく。最近、別のドキュメンタリーで、大富豪が何十億を費やして「自分のために」芸術品を手に入れる様子を描いた作品があったが、それと比べると対照的だ。「成り上がりの商人が、芸術の価値もわからないくせに」と世間からやっかみを受けることまで想定し、それでも何年も何十年も先を見据えて「美術館を建設するのだ」と決意する。志の高さに敬服する。いつか行きたい美術館リストに、またひとつ追加させられてしまう秀作だ。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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