実在の韓国人スパイが工作戦を繰り広げるサスペンスドラマ『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』がいよいよ劇場公開!
(C)2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
北朝鮮への潜入に成功したものの、政府間の取引により祖国に裏切られそうになった韓国諜報員の奔走を、スリリングに描き出す『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』が7月19日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』は、北朝鮮の核開発をめぐり緊迫する1990年代の朝鮮半島を舞台に、北への潜入を命じられた韓国のスパイの命を懸けた工作活動を描き、韓国で数々の映画賞を受賞したサスペンスドラマ。1992年、北朝鮮の核開発により緊張状態が高まるなか、軍人だったパク・ソギョンは核開発の実態を探るため、「黒金星(ブラック・ヴィーナス)」というコードネームの工作員として、北朝鮮に潜入する。事業家に扮したパクは、慎重な工作活動によって北朝鮮の対外交渉を一手に握るリ所長の信頼を得ることに成功し、最高権力者である金正日と会うチャンスもつかむ。しかし1997年、韓国の大統領選挙をめぐる祖国と北朝鮮の裏取引によって、自分が命を懸けた工作活動が無になることを知ったパクは、激しく苦悩する。
本作の監督は『悪いやつら』のユン・ジョンビン、主演は『哭声 コクソン』『アシュラ』のファン・ジョンミンが務め、イ・ソンミン、チョ・ジヌンらが共演する。
(C)2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』は、7月19日(金)より、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋、7月20日(土)より、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・元町の元町映画館で公開。
「『タクシー運転手』、『1987、ある闘いの真実』に続く衝撃作」と謳われているが、本作品が前述の二作品に関係しているのは衝撃度だけではない。史実をベースにしているため、本作を含む三作品が別々の作品として独立しながら、韓国という国のひとつの歴史の中で襷を繋ぐかの如く、密接に絡み合っている。本作を観た後に、舞台となる韓国の歴史を勉強するも良し、また、鑑賞前に予習して本作をより楽しむのも良い。
そして、本作は史実ベースでありながらエンタメ作品としても非常に良く出来上がっているのが注目ポイント。例えば、パクの工作員の活動の一部始終は息をも付かせぬ緊張の連続で、観ているこちら側でさえ、文字通り呼吸を忘れてしまう程スリリングな追体験が可能となっている。さらにはスパイ映画としても好きと言わざるを得ない展開の数々や、琴線に触れるような展開まで、他にも予想だにしない様々な要素が盛り込まれている。また、登場人物それぞれが祖国に懸ける思いが非常に興味深く、各個人の夢、思想、欲が混じりつつも、祖国を愛しているという皆の共通の概念に狂わされていく様子があまりにも儚く、美しさすら感じさせてしまう。
普段何気なく観ているニュースにも裏を返せば真実があり、またさらに裏を見ようとすれば衝撃の真実が隠れているかもしれない。
fromねむひら
「この話のほとんどが、実話だなんて!」…というのが、この映画を観た誰もが抱く感想だろう。もはや、韓国映画のひとつのジャンルとして定着した感すらある、20~30年前の政治が関係する事件を描いた作品。韓国がこのようなまだ古くない歴史の取り扱いにくい問題を、「映画」という娯楽作品の体裁を用いて公に語ることが出来る底力を持っているのだと思うと、同じことが日本では出来ているのだろうかと羨ましさと危機感を感じてしまう。
そして、今回も最後には泣かせて締めくくる。これも誰もが思うであろう『タクシー運転手 約束は海を越えて』『1987、ある闘いの真実』に並ぶ、引き締まった緊迫感と爽やかな感動。韓国の歴史を何も知らなくても構わない。むしろ知らないからこそ、この作品が興味を持つきっかけになればよい、という製作者の熱い気持ちが伝わってくる。とにかく観てみて欲しい、と出来る限りの人々に薦めたい傑作だ。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!