NYで暮らす3世代のベトナム人描く『ベトナムを懐う』がいよいよ関西の劇場で公開!
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ニューヨークで暮らす父親と息子、孫娘の3世代のベトナム人の姿を通して、長く戦争が続いたベトナムの歴史とベトナム移民の苦難を描く『ベトナムを懐う』が、5月11日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『ベトナムを懐う』は、祖国ベトナムを離れ、ニューヨークに暮らすベトナム移民たちを描いたヒューマンドラマ。1995年、冬のニューヨーク。雪が降る中を老人ホームから抜け出してきたトゥーは、息子のグエンと孫娘のタムが暮らすアパートに転がり込む。ボーイフレンドの誕生日を祝おうとしていたタムは想定外だった祖父の乱入に困惑。タムとトゥーは口論となり、トゥーは家を飛び出すこととなる。そこへ残業を終えて帰ってきた父グエンは、ベトナム移民である家族の歴史、そして故郷への悲しい思いを娘に語り始める。
本作は、ベトナムで有名な舞台作品を、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のベトナム版リメイク『輝ける日々に』を手掛けたグエン・クアン・ズン監督が映画化。主演を務めたのは、ベトナムの人気コメディアンで俳優のホアイ・リン。
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映画『ベトナムを懐う』は、5月11日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。6月15日(土)からは、神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開。また、6月より、京都・出町柳の出町座でも公開予定。
世代の家族の間の深刻な確執がテーマなのだけど、どこかほのぼのとしていて、あまりハラハラしない。かなりベタな展開が、朝ドラ風な日本人向けテイストのせいか、90分という尺の短さもあって、とても観やすかった。
昨年に開催された「ベトナム映画祭2018」の一本に選ばれたこともあり、ベトナムの強い陽が差す熱帯の風景の見せ方がとても美しい。冬のNYの凍える雪景色と対照的に映す様にも見とれる。本当にベタなストーリーなのでドラマ的な驚きは無いかもしれないけれど、ひと昔前の若者たちの純愛、祖父母が息子と孫娘を想う優しさ、など定番の描写でお話を進めるのは、終盤に少しだけ語られるベトナムの悲しい歴史を、重すぎないように伝えたかったからかもしれない。
原題の「Da Co Hoai Lang」は、本編でも流れるとても美しい歌の題名。戦時下のベトナムで、この歌に思いを託した恋人たちが数多くいたことを、心の片隅に留めて観ていただきたい。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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