動物に対する考え方を見直す必要がある…!『アジア犬肉紀行』北田直俊監督を迎えトークショー開催!
近年国際的に問題視されている東アジア地域(中国・韓国・日本など)に於ける犬猫肉食にまつわるドキュメンタリー映画『アジア犬肉紀行』が、4月13日(土)より、大阪・十三のシアターセブンで公開。初日には、北田直俊監督を迎えトークショーが開催された。
映画『アジア犬肉紀行』は、年間3,000万頭を超えるアジア圏の違法な犬肉産業の実態を炙り出し中国、韓国、日本と15,000キロ以上のロケを決行した驚愕ドキュメンタリー。インターネットの発達により、近年ようやくその実態が明るみなりつつあるアジア圏の犬肉産業。撮影クルーは、中国の広西チワン族自治区の玉林(ユーリン)で毎年6月に開催される犬肉祭レポートを筆頭に、広東省、河南省、天津市、吉林省と移動撮影を続け、7月には韓国にて毎年、暑気払いの名目で行われる「ボクナル」という犬食の悪習にも焦点を当て、カメラを回し続けた。なお、アジアの先進国と言われて久しい日本に於いても、この違法な犬肉は輸入され続けてきた。日本で昭和40年頃まで続いたと言われる地方での犬食の実態調査委まで言及し、この民族間を超えた犬食という、殆ど資料も残っていないダークな題材を記録している。
上映後、北田直俊監督が登壇。お客さんからの質問や意見に応えながら、考察を深めるトークショーとなった。
北田監督の活動は、2011年の原発事故に遡る。そもそも、監督自身は動物は好きであったが、思い入れは深くなかった。2011年6月、警戒区域に取り残された動物達が救助されたというニュースが報道される。その内容を信じていたが、実は多くの動物達が取り残されており、餓死や殺処分が続いている現状を知った。そこで、一念発起し、カメラを持ち現地に入っていく。「日本は動物に対して優しい国だ」と思っていたが、現実は報道と全く違うことに驚くしかなかった。
その後、数年をかけて1本の映画を制作。その際にSNSを利用し始めた。同時に、アジアの犬肉に関する画像を初めて観ることに。最初は「これは一体なんなんだ」と衝撃があった。以来、「どうにかしないとけない」、と2,3年程度は考えて、本作の制作を手掛けていく。
本作では、残虐なシーンを取り入れることなく、どうやったら1本の映画を撮れるか検討している。当初は、中国・韓国・日本の活動家の3人を中心に動物愛護活動に取り組んでいる人達の日常とのギャップを描きたかった。だがトラブルを経験しながら、各地での撮影を敢行。なお、中国政府としては犬肉祭は認めていない。玉林では逮捕されることも覚悟しており「誰かが犠牲にならないと発表できない作品がある。後世に残さないといけない使命感を以て取り組んでいる」と現在は志を高く持って活動している。
お客さんとは様々な質問や意見を受け、議論は白熱しつつ、最後に「人間は動物に対する考え方を見直す必要がある。最近は、動物が人間の考え方に合わせているようにも感じる。今まさに概念を見直す必要がある」と訴え、トークショーは締め括られた。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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