暴力にさらされた女性たちの苦難を映すドキュメンタリー『済州島 声たち』がいよいよ劇場公開!
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国家権力によって赤狩りと称して弾圧され、多くの人が命を落としたとされる済州島四・三事件に迫ったドキュメンタリー『済州島 声たち』が11月7日(土)より全国の劇場で公開される。
映画『済州島 声たち』は、韓国の済州島で1940年代から1950年代にかけて起きた済州島四・三事件での虐殺を生き延びた4人の証言を通して、闇に覆われてきた女性たちの被害と苦難の道のりを明らかにしたドキュメンタリー。1947年3月1日から1954年9月21日までの7年7ヶ月にわたり、済州島の島民が国家権力により“赤狩り”の名目で弾圧され、推定2万5千人から3万人が死亡したとされる済州島四・三事件。この惨劇は軍事政権下で隠蔽され続け、50年近い歳月を経た2000年にようやく真相究明と犠牲者の名誉回復がなされることとなった。しかし、犠牲者の2割を占めた女性たちが受けた性暴力被害は積極的に語られることなく、その証言が可視化されるようになったのは2019年になってからだった。本作では、済州島四・三事件の研究者による聞き取り作業に同行し、生き延びた4人の女性の証言を軸に、国家権力と家父長制という二重の暴力にさらされた女性たちの苦難を描き出す。企画・プロデュースを務めたのは、韓国のテレビ局で40年以上にわたりドキュメンタリー番組制作に携わってきたキム・オギョン。監督は『アングリーバードとバナナ合唱団』のドキュメンタリー作家チ・ヘウォン。2024年の第25回全州国際映画祭で特別部門ドキュメンタリー賞を受賞した。

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映画『済州島 声たち』は、11月7日(土)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、京都・出町柳の出町座や神戸・元町の元町映画館でも近日公開予定。
今年、『済州島四・三事件 ハラン』が劇場公開され、改めて、済州島四・三事件について知ることになった。本作はドキュメンタリーであり、軍事政権によって隠匿されてきた彼女たちの受けた被害の実態やその後の苦難を映しだす。そもそも、戦後、南北に分断された朝鮮半島で軍政が敷かれていた中で、1947年3月1日、済州市内で南北統一された自主独立国家の樹立を訴えるデモを行っていた島民に対して警察が発砲し、島民6名が殺害される事件が起きた。この事件をきっかけにして、抗議の全島ゼネストが決行され、これを契機として、在朝鮮アメリカ陸軍司令部軍政庁は右翼青年団体を済州島に送り込み、白色テロが行われることに。反共を掲げて島民への弾圧が重ねられ、島民の反乱組織の壊滅を図った。そこで、島民の不満を背景に力を増していた南朝鮮労働党は、1948年4月3日、島民を中心とした武装蜂起を起こすに至っている。そういった経緯を知らなければ、罪なき人達が無差別殺人の被害を受けなければならなかったか理解できない。たとえ理解できなかったとしても、歴史として知っておく必要があるのではなかろうか。『済州島四・三事件 ハラン』では惨い銃殺シーンを見せられたが、本作では、映し出すことが憚られるような、女性の被害について伝えていく。戦争が起きた後、弱き立場に置かれてしまった人々は守るべきなのに、何故このような生き地獄ととすら思えてしまう状況に追い込まれてしまうのか。こういった被害を受けながら生き抜いた人々は、やはり過去を封じたいものだろう。国家権力は、そういった感情を利用しているようにすら思えてしまう。だが、闇の歴史についても十分に理解した上で、後世で同様の出来事が起きないようにするためにも、こういった作品が作られていくことに意義があるのだ。目や耳を覆いたくなるような出来事が映し出されるかもしれないが、真摯に向き合わなければならない事実を伝えられていくので、しっかりと観ておきたい一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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